大学3年生の水準以上の授業
玉置崇ゼミ生の1人Mさんが小学校の教育実習に行った。
帰ってきて、「校長先生から、『明日から勤めてほしい』と言われました」と伝える。
玉置先生は、苦笑して「校長先生のヨイショだよ」と返してしまう。
3年生の教育実習生が、そんなことを校長から言われるほど授業がうまいはずはない。誰でもがそう思う。
ところが、それからそのMさんが中学校の教育実習へ行き、彼の授業を玉置先生が実際に見ることになる。
実際に目にして、校長先生の「明日から勤めてほしい」という言葉がヨイショではなく、本当の言葉だったことを認めてしまう。
それほどにうまいのである。
玉置先生は、「教育実習生とは思えない!実に授業がうまい!」と書いている。
玉置流教師論の第4回「基本の授業技術で水準以上の授業ができる」に書かれている。
http://www2.schoolweb.ne.jp/swas/index.php?id=ai_school&frame=column38_04
★
以前このブログでも、このことは取り上げたことがある。玉置先生から実際に聞いてとても興味があることだったからである。
どんな授業をしたのかが気になる。
玉置先生は、次のようにまとめている。
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授業記録をもとに、彼の学びをヒアリングしたのです。自分自身の今後の講義に生かしていきたいという考えからです。
授業がうまい!と思ったのは、要所要所で、適度に「野口流○×」や「○つけ法」を取り入れ、授業に締まりがあったらです。向山洋一先生による授業の原則でいえば「全員参加の原則」「個別評価の原則」がきっちり守られていたからです。
★ ★ ★
野口芳宏先生の「○×法」や「○つけ法」(多分、志水廣先生が最初に提唱されたものではないか)を使っているということ。
私たちも強く主張している「全員参加」の原則を駆使しているのである。
最後に玉置先生は、大事な一言を残している。
★ ★ ★
彼の授業を見て、あらためて思いました。授業経験がほとんどない学生でも、基本の授業技術を誠実に取り入れると、水準以上の授業ができるということです。
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大学3年生の水準以上の授業。
しかも基本的な教育技術を使っての授業。
この話を玉置先生から聞き、また今回の提案を読み、改めてしみじみ私も思う。
私たちは「味噌汁・ご飯」授業として「日常授業」の改善をテーマに研究を続けている。
何のためにこんなことをしているのか。
子供に教えることが好きで、教師であることが好きで、必死になって教師を続けている子育て中のママさん先生。
くたくたになりながら、必死で教材研究に苦闘している初任者の先生たち。
そして、現場で頑張り続ける多くの先生たち。
このような先生たちに、短い時間で、簡単な教育技術で、それでも「『日常授業』を豊かにできますよ!」という声を届けたいためである。
今、連続テレビ小説『ととねえちゃん』でクローズアップされている花山伊佐次のモチーフになっている花森安治は、「ぼくらに、守るに足る幸せな暮らしがあれば、戦争は二度と起こらないはずだ」と語ったことがある。
そして、「ぼくはペンの力で『あたりまえの暮らし』を守る」と宣言している。
戦争加害者としての自分に打ちのめされての一言である。
教師は、「日常授業」を豊かにするということを基盤にしなれば、幸せな教師生活を送ることはできない。
教師が元気で、幸せでなければ、子供たちがうまく育つはずはないではないか。
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