クラスが軌道に乗っているかどうか(3)~目標達成法~
初任者指導で見事に「学級づくり」を成功させた先生のルール作りは、「目標達成法」である。
この方法を使ってクラスをまとめていった。
その実践は、すでに『新卒教師時代を生き抜く学級づくり3原則』(明治図書)に明らかにしている。
この「目標達成法」は、私が提唱したもの。
この方法も、いくらか手直して進化させている。
それを提案しておこう。
★
「目標達成法」の進め方
<ねらい>
○ルールを作り、秩序ある、安心・安全なクラスを作り
上げる。
1 導入
黒板に画用紙に書いた1つの目標を貼り付ける。
┌──────────────────────┐
│授業が始まったら(チャイムがなる場合は「チャ│
│イムがなったら」とする)、すぐに席につく。 │
└──────────────────────┘
そして、伝える。
「この目標がうまく守れていません。先生はすぐに勉強
を始めて、勉強の終わりもきちんと守りたいのです(趣
旨説明)。そのために、この目標をぜひとも守れるよう
になってほしいです。挑戦してみましょう!」(例)
このような話をして導入する。
(1)確認(チェック)
<低学年>
低学年は、2時間目から1時間ごとに確認する。
この確認がとても大切である。
2時間目が始まったら、
①この目標が守れた人は起立します。
②人数を数える。
③目標の紙の下に記入する。
5/24 2時間目…○人
④そして言う。
┌───────────────────────┐
│2時間目で、もうこれだけの人数の人が目標を守れ│
│ました。いいですね。でも、おしいなあ。残念!ま│
│だ、何人か守れない人がいます。3時間目はがんば│
│ってほしいです。 │
└───────────────────────┘
3時間目が始まったら
①②③を繰り返して、そして言う。
┌───────────────────────┐
│ 3時間目になったら、もっと増えました。 │
│ さすが、2年1組、すばらしい! │
└───────────────────────┘
┌─────────────────┐
│「おしい、残念」→「素晴らしい、さすが」│
│を繰り返す │
└─────────────────┘
このフォローは、福山憲市先生から学んだものである。
<中学年以上><中学校>
○朝の会で目標を確認し、終わりの会で目標チェックを
行う。挙手で確認をする。
○あとは、同じように行う。
(2)確認の終了
○次のように話をしたらどうだろうか。
┌──────────────────────┐
│ この目標は、このクラスの人が35人いますので │
│ 32人以上(人数は子供たちと確認すればいい) │
│できるようになったら合格というようにしましょ│
│う。何人かはうっかりする人がどうしてもいます│
│ので、全部できるまでというのは止めましょうね。│
└──────────────────────┘
○合格になったら何かの印をつけるようにする。
(折り紙で花を作って貼るなど)
2 本格的に「目標達成法」を始める
最初、導入で1つか2つの目標が合格になったら、本格的
な目標達成法を始めていく。
(1)手順
①朝の会で、日直が全員復唱させてその日の目標を
確認する。1つか2つの目標にする。
②終わりの会で、再び日直が「目標確認をします。全員顔
を伏せます」と指示をする。そこで、担任が「この目標
ができなかった人は手を上げます」と指示。
できなかった人が、目標達成(32人以上)以内だったら
「今日は達成しました。すばらしい、さすがです」と。
※顔を伏せさせるのは、できない子供たちに挙手させるた
めである。その場合、全員の前で「できない」という挙
手はなかなかできない。できた子供を数えるのは時間が
かかるので、そうしている。終わりの会を早く終わらせ
る試みの1つである。
(2)合格基準
クラスの状態に合わせて考えればいい。
例
1,2年生…1日か2日
3,4年生…2日か3日
5,6年生…4日か5日
(中学校)
(3)どんな目標がいいのか
どうしても必要になる目標から始めていけばいい。
たとえば、次のような目標があげられる。
○当番の仕事を忘れずにしっかりやろう。
○友達へのあいさつをしっかりやろう。
○朝自習をおしゃべりしないでやろう。
○机の中の整理整頓をきちんとしよう。
○ロッカーの整理整頓をきちんとしよう。
○名前を呼ばれたら、「はいっ」と返事をしよう。
○手は天井につきささるようにあげよう。
○給食を食べ終えたら55分までに片付けよう。
など
クラスがうまく軌道に乗っているどうかを測る目安は、次
の目標が合格したときと判断すればいい。
┌────────────────────┐
│○席をはなれるとき、きちんといすをいれる│
│ ようにしよう。 │
└────────────────────┘
(4)目標選びで考えること
教師の指導方針やクラスでどうしても徹底していないこ
と、困っていることなどから目標を選んでくればいい。
①目標は、~しよう、~気をつけよう、~かたづけよう
などの表現をすればいい。教師が基本的には目標を作る。
②完璧主義(全員できるまで)にしないこと。
③目標は、チェックできる数字やタイムなどが入ったもの
がいい。
(5)ごほうび
この目標達成法は、掲げた目標(ほとんどルール)を数多
く合格させることで子供たちの達成感や成功感を高めていく
試みである。
小学校の場合は、「ごほうび」を用意すると子供たちは意
欲的になる。
例
○5個合格したら、席替えにする。
○10個合格したら、「10個合格パーティをする」など
(6)目標選びで気をつけること
目標を考えていくとき、次のような手順を踏む必要がある。
○目標づくりは、「個人達成目標」から「助け合い目標」
の順番にする必要がある。「個人達成目標」は、個人で
がんばれば達成できる目標、「助け合い目標」は、班の
人たちやクラス全員で助け合わなければ達成できない目
標である。
○「助け合い目標」には、「班で協力して……」「みんな
で協力して……」というような目標にすればいい。
・班で協力して、13時14分までにそうじを終わらせる
ようにしよう。
・みんなで協力して、おおなわ大会で新記録を出そう。
など
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