壁の前でうろうろすること~mota先生へ~
このコメント欄で何度も登場してもらったmota 先生が、次のようなことを書かれている。このコメントを読んで、すぐに北海道へ行ったために、その返事がそのままになっている。
また、スイちゃん先生から暖かいコメントが書き込まれている。
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野中先生、いつもブログ楽しみに読ませていただいています。motaです。
学級の状態は、1学期よりは少しましになってきているようです。私は渦中にいて、よくわからないのですが、同僚の先生方には、そう言われます。けれど、良くなってきたからなのか、今まで心身に溜め込まれたストレス、不安要素が噴き出し始め、体がザワザワしたり、子どもの前でも涙が止まらなかったり…。ひどくなりそうなのがこわく、パニック障害気味で投薬治療をし始めました。ちょっとした子どもらとのやりとりでスイッチが入り、涙がとまらないのです。
私は、3月まで、なんとか子ども達と一緒に凌ぎたいと思っているのですが、不安定な担任と一緒にいても子ども達にも良くないかな…担任が変わった方が、のびのびやれるのではないかと後ろ向きになってしまいます。コメント欄に書かせていただく内容とはずれていることをお許しください。
★ ★ ★
mota 先生は、十分に闘ってこられました。
普通の先生たちが想像できない世界で闘ってこられたと思っています。
私はそう認識しています。
その結果、パニック障害気味になられています。
当然のことです。
そんなに人は強くないのですから。
その闘う姿を教室の子供たちは見ていたはずです。
教室が少し落ち着いてきていると書かれています。
分かるような気がします。理解している子供がいるのですよ。
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mota 先生は後ろ向きになっていると言われています。
私は、毎日学校へ通っていける体調があれば、ぜひとも続けてほしいと願っています。薬を飲みながら、涙をぽろぽろ出しながら、そのまま子供と対応していただきたい。そのままのmota先生で対応していただきたい。
ほとんどいい加減でいいのです。
担任がそこにいてくれるというだけで、子供たちは安心します。 それだけでいいのですよ。
しかし、体調が無理であれば、潔く休むのですよ。
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哲学者鷲田清一さんが、朝日新聞の「折々のことば」(9/9)に次のようなことを載せている。
大きな壁にぶつかったときに、大切なことはただ1つ。壁の前でちゃんとウロウロしていること。 玄田有史
●越えられない壁に直面したとき、うずくまっていないでその前でうろつくこと。すると壁の下に小さな穴が見つかり、トンネルが開くかもしれない。ヘリコプターが上空から見つけてくれるかもしれない。「希望は、無駄とか損とかという計算の向こうにみつかったりするもの」だと、労働経済学者は言う。「希望のつくり方」から。
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人生は何度もつまずきがあり、失敗があり、停滞があり、挫折がある。
そんなことがない人なんていない。
でも、次のことを自分の「考え方」の中に持っておけば必ず耐えていける。
私は『必ずクラスを立て直す教師の回復術!』(学陽書房)に書いたことがある。
Q7 野中先生は「人生の本質は繰り返しだ」と言って、繰り返すことの大切さを強調されていますが、どんなことを言いたいのですか?
この問いかけの答えになる。
一日の時間も、毎日の生活も、学校の授業も、……自分の人生も、その共通点を探していけば、「繰り返し」に行き着く。
だから、この「繰り返し」に耐えて、少しずつ前へ進み出ていくことがその本質になる。
毎日を規則正しく、できるだけ生活を変えないで過ごすこと。
その平凡さに耐え続けること。
mota先生、日常の中でこれを身に付けて下さい。
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そして、もう1つだけ。
精神科医の中井久夫さんがどこかで書いておられたことがある。
「家に帰ってまでも、患者のことが思いだされたら、患者の担当を変わらなければならない」と。
精神科医という仕事の過酷さは、尋常ではない。
それでも、この言葉が教師の仕事にも当てはまる。
これからものすごく必要になる言葉でもある。
クラス担任を変わることはできないが、早く家に帰って、すっかり学校のこと、子供たちのことを忘れていくことは必要なことだ。
すぐにはできない。
でも、そのように自分を変えていく訓練を自分に課していくことはしなくてはならない。
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こんなことを思いました。
mota先生、がんばらなくていいんですよ。
そのまま、そのままでうろうろしてほしいというのが、私の思いです。
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