大曲小学校が提起したこと(4)~授業力向上の研修~
大曲小の実践で最も注目したいのは、「授業力の向上」という課題である。
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今、学校現場では教師たちが授業の技量を上げていくことができない。
研究授業が、その任を担っていたはずであるが、それができない。
教師たちの中には、授業を繰り返しておけばそのうちに授業は上手になると誤解している人がいる。
初任者は8割方そう思っている。
これも幻想である。
現実的にそうなっていない。
中堅やベテランになっても、ひどい授業をしている。
他の職種ではありえないことである。
仕事を積み重ねていけば仕事の腕は自然に上がっていく。
しかし、教師の授業についてはそうならない。
なぜか?
意図的に授業をしていないからである。
毎日の「日常授業」を、「ぶっつけ本番」で授業をしている。
赤刷りの指導書などを横目にその場で教材研究(?)しながら授業をしている。
それはたとえば大工さんが「家の作り方」のマニュアル本を横目に家造りをしているみたいなものである。
それで家が作れるだろうか?ありえないはずである。
もちろん、やることが多くて授業の準備などに時間を取れない結果がこうなっている。
H県では、4:15に子供たちが帰り、それから会議や研究会がある。勤務時間に教材研究、授業準備などはできない。
子育てしているママさん先生などはどうしているのだろうか?
5時から保育園に子供を迎えに行き、10時頃に子供を寝かせ、それから2時まで学校の仕事をするか、あるいは2時まで寝て、それから学校の仕事をするのか、という話を聞いた。
溜息が出る。こんな生活が長続きするのだろうか?
★
大曲小では、「授業力向上」の方法を習得する「研修」がなされている。
「研修」体制に変えたのは、教師の授業技量を上げていくためであったのであろう。
しかも、この学校は上意下達方式の「研修」をしていない。
全員参加のワークショップ型に変えている。
私は、何度もこの学校へ足を運びながら、見る見るうちに授業力を上げていく先生たちを目にしてきている。
この授業力とは、「ごちそう」授業をこなしていく技量ではない。 毎日の「日常授業」をこなしていく技量。
ベテランの数人の先生は、「新しい授業スタイル」を確立しているように思えた。
「新しい授業スタイル」とは、「すごい」という「ごちそう」授業を作り出すスタイルではない。
毎日の授業を「手応えのある授業」に改善していくスタイルなのだ。
見栄えの良い授業ではない。
確実に、全員参加の授業を作り出し、基礎学力を身に付けさせていく授業力。
そのベテランの先生たちに続く若い先生たちが伸びている。
これにも驚く。
短期間で「手応えのある授業」ができるようになる。
この大曲小は、「研究」から「研修」体制に変えていくことによって、「授業力向上」の方法を蓄えたのかもしれない。
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