中2 いじめ自殺事件をどのように受け止めるか(1)
岩手県矢巾町で5日、中学2年の村松亮君(13)が電車にはねられ死亡した事故は、いじめ自殺として特定されようとしている。
「生活記録ノート」に自殺をほのめかす記述が3ヶ月にわたって残されていて、担任のコメントがあまりにもひどすぎるという批判を浴びている。
教育評論家尾木直樹氏は、次のようなコメントを残している。
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尾木氏は8日に更新したブログで、生徒のいじめ被害を見過ごした学校側を厳しく批判。「驚くべき学校!これが現代日本の学校なのか!?これじや生徒殺人学校!こんな学校が存在するのでしょうか!?」と怒りをあらわにした。
さらに9日に更新したブログでは担任の女性教師に対し、「彼のこと心のどこかで軽く見ていた?だからこそ いじめのあれほど具体的な訴えや死にたいというあんなに差し迫ったアピールを軽く『いなすこと』が出来たのでしょう!!生活記録ノートへのあの小馬鹿にしたような『返信』しか書けなかったのかも知れないです」と糾弾した。 読売新聞7月12日(日)
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その「生活記録ノート」のやりとりとは、たとえば次のようなもの。
6月28日
ここだけの話、ぜったいだれにも言わないでください。もう生きるのにつかれてきたような気がします。氏(死)んでいいですか?(たぶんさいきんおきるかな。)
担任のコメント
どうしたの?テストのことが心配?クラブ?クラス?元気を出して生活しよう。(男子生徒の名前)の笑顔は私の元気の源。
6月29日
ボクがいつ消えるかはわかりません。ですが、先生からはたくさん希望をもらいました。感謝しています。もうすこしがんばってみます。もう市(死)ぬ場所はきまってるんですけどね。まあいいか
担任のコメント
明日からの研修たのしみましょうね
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ここだけ抜き出せば、いなしたり、小馬鹿にしたような印象を受ける。尾木氏は、その印象でコメントをしている。
教師経験がある尾木氏なのに、ひどい印象批評である。
どんな状況で、その生活ノートは書かれたのか。村松君は日頃どんな生徒だったのか。
そのことをきちんと把握しなければ、こんな批評はしないはずである。ましてや、その生活ノートはあくまでも教師と村松君の2人のやりとりで成り立っているものである。
公開されることを前提で書かれているものではない。
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この担任の女教師に対する批判に反論する記事もある。
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担任教諭は自殺した生徒と直接話し合うなど誠実に向きあい、ふたりの間で交わされたノートにも「先生相談に乗ってくれてありがとう」との文面が残されていたそうだ。
問題となっている「研修楽しみましょうね」との文言も、自殺した生徒やクラスでしっかり話し合ったという前提がある上で、発せられたものだと強調。その上で、この生徒は「あんないい先生が、チグハグに切り貼りされた報道で頭おかしい人のように扱われるのは納得行かない!」と、マスコミの偏向報道に怒りを覚えているという。
この発言の真偽は現在のところ不明だが、一部報道では、担任教諭がいじめの加害者を叱っていたという証言を紹介している。
(2015.7.10 トピックニュース)
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私の推測では、この女教師は生徒思いで、とても熱心な教師だという印象を持つ。
いじめの加害者にも、対応はしている。そして、いじめは一応収まったという思いを持っていた。
これも推測だが、女教師は、村松君を、どうしても悪く考えてしまう性格があり、何とかそうならないように励まそうとしていたのではないか、と思ってしまう。
私も、37年間の教師生活の中で、何人もそういう生徒に出会ったことがある。
どんなにくわしく調べてみても、さほどのいじめの事態がないのに、悪く悪く考えてしまう。そんな子供がいたのである。
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しかし、現実は、はっきりしている。
村松君は、いじめ自殺で死んで行っている。
生活記録ノートには、SOSを3ヶ月間書いていたと、結果的にははっきりと捉えることができる。
このことをどのように考えたらいいのだろうか。
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