初任者の先生へ答える~覚悟を持って取り組め!~
鳥取から帰ってくると、次のようなコメントが初任者の先生から入っていた。
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はじめましてこんにちは。今年度より新卒で初任者として小学校で働きはじめた者です。先生の日々の暖かいお言葉に触れ、コメントをさせていただきます。現在、私は27名の二年生の担任です。クラスの問題は朝から放課後までざわざわし指示を聞かない、時間にルーズであるということだと思っています。指導者の先生からは授業のテンポが悪く子どもが飽きていることが全ての原因だと言われました。しかし、テンポを速めようとざわざわしているなかで進めても児童は話を聞かず、黙るまで待てば授業が遅れます。黙るまでに3分はかかるからです。叱っても大声で私に話しかける児童が三人いるためもぐらたたき状態です。今は黙るまで待つ方法をとっていますが授業が大幅に遅れていています。校長先生にはこのままだと学級崩壊するがどうするのかと言われています。指導者の先生からも楽しい授業と提案を頂きますが、授業のイメージが沸かず困っています。教材研究をする時間も気力もなく毎日がただ過ぎている状態です。乱文になりましたが、なにか一言でも頂けましたら幸いです。
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初任者のクラスは、このような状態になることがよくある。
<現状>
①一日中、ざわざわしていて指示を聞かない。
②時間にルーズ。
③授業の最初は黙って待つが、3分ぐらいかかる。
その結果、授業が遅れていく。
④叱っても大声で話しかける子供が3人いる。モグラ叩き状態。
<原因>
●初任者指導の先生は、授業のテンポが悪いので、子供が飽きて
いくと言われている。それが大きな原因。だから、教材研究をして「楽しい授業」をすべきだという結論になっている。
<野中の診断>
①このような結果になったのは、授業が原因ではない。
結果として授業が原因のように見えるだけである。
私が担当した初任の先生たちは、「楽しい授業」なんかやった ことなんかほとんどなかった。いつも精一杯に下手な授業をやっていた。それでも子供たちは何とかついていっていた。
「楽しい授業」なんかやろうと身構えることはない。そんなことに時間を使う必要もない。また、やろうとしてもできない。
今できる授業を精一杯やればいい。
初任者の多くの授業を見て、初任者指導を多く手がけてきた私が言うのだから、確かなことだと思ってほしい。
ただ、子供たちが乗ってくる授業というのはあるのである。
私たちは「味噌汁・ご飯」授業としてそれを提起している。
今できることは、2つ。
1つは、子供が活動する時間を確実に持つこと。
2つ目は、活動したことをできるだけ数多く褒めたり、認めたりすること。
②じゃあ、なぜこのようなことになったのか。
結論は、4月の1ヶ月の間に、きちんと縦糸、横糸をバランス良く張ってこなかった結果である。
特に、教師としてきちんと「学習規律」「ルール作り」などの縦糸を張らなかった結果である。
今更このことを言っても始まらないが、結論はそうである。
子供たちとの「関係づくり」が甘かったのである。
多分、そんなことを知らなかったのであるから、仕方ないことであるが…。
<今後の方向>
クラスの状況を見ていないので、適切な助言を出せない。
(半日でも見せてもらえば、適切な助言を指摘できるのだが…。)
だから、これから私が指摘する助言は、あくまでも一般的な助言として聞いてほしい。
①7月まではまだまだ立て直していくことは可能である。
それにどれだけ真剣に取り組めるかにかかっている。
子供たちは、2年生であっても見くびってはいけない。
きちんとあなたのことを判断しているはずである。
教師としての姿勢、教師としての「考え方」が問われるところである。
A 授業の最初、黙って待つというのは効果がない。
授業はすぐに始める。日直にはすぐに始めなさいと指示を出す。
B すぐに「全員起立!」と全員を立たせて(立たない子供はほっといて)何かの行動をさせる。
「1から20まで数えたら座りなさい」
「(黒板に書いた)5つの計算の答えが全部言えたら座りなさい」
フラッシュカードを作っていて、その答えを言わせる。
……
というように、授業の最初(全部の授業でなくてもいいですよ)に言わせることや行動させることをいくつも考えてください。それをぶつける。
しばらくはうまくいかないかもしれないが、粘り強く続ける。
そして、ちゃんと言えた子供は、うんとほめる。ほめてほめてほめまくること。
今、大切なのは、<待つ>ということではなく、<スピード>である。とんとん進んで行くスピードである。クラスにスピードがなくなっているので、それを回復させなくてはならない。
②時間を守ること。
クラスは今いい加減な時間になっているはずである。
だらだら、ずるずる、まったり、という時間状態。
これを回復させて行くには、先生自身がきちんと時間を守って日課表の時間帯で動いていくように持っていくことである。
何人かはついてこれないが、そのうちについてこれるようになるはずである。
③叱るときには、真剣に叱る。
口先で叱るのではなく、叱らなければいけないときは、真剣に叱ること。
④でも、叱るだけでは、子供たちは育たない。
叱るだけでは、モグラ叩きになる恐れがある。
2年生の子供たちは、理想主義者である。
ほめたり、認めたりしたことに右習いしていく傾向がある。
前回のブログでも薦めたことであるが、「個人目標達成法」を導入したらどうだろうか。
今までは、ちょろちょろするやんちゃたちに目を向けていたが、今度は、この方法でちゃんとできている子供たちに目を向け、その子供たちを増やしていく試みである。
覚悟を持って、取り組んでいけば必ずクラスは回復する。
がんばってほしい。
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