「日常授業の改善」の本が出版された!~春日井市立出川小学校の実践~
春日井市立出川小学校から、『学習規律の徹底とICTの有効活用~わかりやすい授業の実現をめざして』(教育同人社)という本が出版された。
監修が、東北大学の堀田龍也先生。
ICT教育では第一人者である。
この本はいわゆる「日常授業の改善」をICTを活用して実現したものだということが言える。
堀田先生は、「はじめに」で「出川小学校の実践を支えた思想」を書かれている。
5つ。
簡略して記せば、次のようになる。
1つ目は、日々の授業そのものを研究対象にしているということ。
2つ目は、学校中で学習規律を整えることを第一歩に選んでいること。
3つ目は、ICT活用を成功させる方法として、教科書重視の教材研究を選んでいること。
4つ目は、公開研ではなく、公開校内研を行うということ。
5つ目は、公開校内研の際の授業公開数が多いということ。
1つ目について、堀田先生は次のように書かれている。
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まず一つ目は、日々の授業そのものを研究対象にしているということです。当たり前のように聞こえるかも知れません。しかし一般には、研究授業となると、普段よりはるかに深く教材研究をして、パワーポイントでスライドを作り込み、やたらと授業中に黒板に貼紙をし、普段はあまり行わない学習活動を行うものです。児童は、今日の先生がいつもと違うように見え、学習も何だかぎこちなく行われます。出川小学校では、こういう研究授業は行いません。普段の授業の形態をそのまま見せることにこだわります。普段の授業に対して相互に確認し、普段の授業をよくしようというのがこだわりなのです。
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私が提唱している「味噌汁・ご飯」授業とほぼ同じ趣旨である。
ここには、「授業研究」の研究対象が「ごちそう」授業 から「日常授業」にシフトしている様がよく分かる。
子供たちの学力向上をほんとうに望むならば、必ずこのように変わらなければいけない。
それは当たり前のことなのである。
考えてみてほしい。
日頃やっていない、さまざまに飾り付けた「研究授業」を皆さんに見てもらい、それを検討しあうということにどんな意義があるのか。
私たちは、こんな根本的な問いかけを今までスルーしてきているのである。
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堀田先生とは、昨年、橫藤雅人校長の大曲小学校で、一緒に講座を設けてもらったことがある。
北海道教育委員会の「学校力向上」のアドバイザーを共に勤めている。
道教委では、「学校力向上」の重点項目の中に、「日常授業」の改善を入れている。
だから、すでに「日常授業の改善」をテーマに授業研究している学校は、かなりある。
これから北海道発の「日常授業」改善の実践がさまざまに打ち出されてくることであろう。
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私は、「味噌汁・ご飯」授業本(明治図書)の「はじめに」に次のように書いた。
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時代の風が吹き始めている。
今までこのような「日常授業」を真正面から「授業研究」としてターゲットにしてきたことはなかった。
今まで研究授業として、「ごちそう」授業づくりに奔走してきた。「授業研究」と言えば、「ごちそう」授業づくりだったわけである。(もちろん、1年間に一度や二度「ごちそう」授業に挑戦することはぜひとも必要なことである)
その取り組みが、崩壊していっている。おおげさな研究テーマや研究仮説にがんじがらめになって、ほとんどまともな研究成果を出せないでいる。
時代の風が吹き始めている。
「出発点に戻ろう」という風である。
私たちは、「日常授業」を真正面に据えて「授業研究」を始めることを提案している。
始まったばかりの研究であり、ささやかな提案でもある。でも、このシンプルな提案が多くの疲弊した現場を克服していく道筋になるのだと、私たちは信じている。
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