子供たちに伝わらない(3)~夫婦仲良く長続きする3原則~
「関わるということ」の最後に次のような内容を挙げた。
「夫婦仲良く長続きする3原則」。
皆さん、「えっ~~~」という顔。
講座の内容とは、まったく関係がないことのようである。
「時間があるからこういう内容を入れたと思われるでしょうが、これは『関わる』ことのもっとも大切な具体案になるのです」
と話をした。
★
まず、第1は、「本音で語り合うな」。
「愛し合った二人が、本音で語るなというのはどういうことですか。おかしいんじゃないですか」と言われる。
愛し合った2人でも、その愛がずっと続くわけではない。
結婚式が終われば、2人には普通の「日常」が待っている。
朝ご飯はどうする?ゴミ捨てはどうする?……山盛りである。
違う環境、習慣を過ごして2人。ことごとく日々の作法は違う。
愛だけで乗り切れるはずはない。
そこで大事なことは、相手に「本音」をぶつけないこと。
本音で語り合うと、相手をとても傷つけることが出てくる。
とくに、相手が大切にしていることはそっとしておくこと。
「どうしてそんなくだらないことに、一々こだわるの!」とやってはいけない。
だいたい離婚前の夫婦がやることがある。
「今日は、徹夜で徹底的に話し合いましょう」となる。
そして、相手のいやなこと、嫌いなこと、だめなこと、…本音でぼんぼん突きつける。
いわゆる「意味性のある言葉」を投げつける。
すぐに別れることになる。
それが相手にとって正しいことであればあるほど、ひどく相手を傷つけてしまうことを知っておかなくてはならない。
「じゃあ夫婦で何を語るんですか?」と言われる。
「とりとめもないことをとりとめなく」語り合っていくことである。
「くりかえし話法」。
本音を伝えたいときは、この話法の間にそっと含めればいい。
第2は、「そうだね」と相づちを打ってあげる。
少々自分と考えが違っていても、相づちをうってあげること。
「今日、寒いね」「そうだね」「もうすぐ学校も終わりだ」「そうだね」。
まず、肯定してあげることは、心が安らぐ。
第3は、「挨拶言葉」を大事にする。
「おはよう」「おやすみなさい」「いってきます」「おかえり」…という「挨拶言葉」を家族の中でかわし続けることは、家族の安定に繋がる。
挨拶言葉が家族の中で交わされている時(もちろん、夫婦の場合も)、家族の崩壊を防いでくれる。
★
小津安二郎の「お早う」という映画のラストシーンに次のような場面がある。
佐田啓二と久我美子の会話。
この二人が、駅のプラットホームで同じ会話をくりかえす。
「良い天気ですね」「良い天気です」「あっ、あの雲、へんな形をしているね」「ほんと、へんな形」……。
この二人、口には出さないけれど、深く愛し合っていることが画面からひしひしと伝わってくる。
「愛している」なんて言葉をわざわざ言う必要はない。あなたの言葉は、私にきちんと届いていますよということなのだ。
要するに、「くりかえし話法」が使われている。
小津は、人と人との「関わり」の本質をこのような「カタチ」で提起したのである。
★
人生の本質は、「くりかえし」なのだ。
だからこそ、この本質から繰り出される「くりかえし話法」は意味をもつことになる。
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