どうして「子供」たちにうまく伝わらないのか(1)~すぐに「意味性のある言葉」を言おうとする~
岩手県教育センターからの要請で、一日講座に行ってきた。
花卷である。
宮沢賢治の故郷として有名。
東京からの新幹線で3時間。
花卷は雪、雪、雪。
この時期に、このような雪に出会うとは珍しいことだとタクシーの運転手。
まさに墨絵の世界。
講座は、朝9時から午後16:00までの6時間。
5つの講座で組み立てる。
50名の受講者。ほとんどが10年次研修として参加されている。
学校では中堅の方々。
講座は次の通り。
1 学校を取り囲む状況
2 「学級づくり」の基礎・基本
3 1年間の「学級づくり」
4 「関係づくり」を考える
5 「関わること」の基礎・基本~カウンセリングということ~
★
第5講座「関わること」の基礎・基本~カウンセリングということ~
で話したことの要点をここにまとめておきたい。
1 「関わり」の基本について考える
2 成功した高学年女子への対応
3 問題のある子供を包み込む方法とは?
1 「関わり」の基本について考える
ある末期がん患者の訴えがある。
「わたしはもうだめなのではないでしょうか?」
この訴えにどのように答えていくか、医療関係者に実験した結果がある。(「聴くことの力」鷲田清一著 阪急コミュニケーションズ)
①「そんなこと言わないで、もっと頑張りなさい」と励ます。
②「そんなこと心配しないでいいんですよ」と答える。
③「どうしてそんな気持ちになるの」と聞き返す。
④「これだけ痛みがあると、そんな気にもなるね」と同情を示す。
⑤「もうだめなんだ……とそんな気がするんですね」と返す。
①「そんなこと言わないで、もっと頑張りなさい」と励ます。
と答えた人たちは、精神科医を除く医師と医学生のほとんど。
③「どうしてそんな気持ちになるの」と聞き返す。
と答えた人たちは、看護師と看護学生の多く。
医療関係者でも、このように分かれる。
ただ、精神科医の多くは次のように答えている。
⑤「もうだめなんだ……とそんな気がするんですね」と返す。
精神的に悩んでいる人たちへの答えにいつも答えている専門家は、⑤を選んでいる。 どうしてだろうか。
これは答えではない。
でも、「あなたの言葉を確かに受け止めました」という応答にはなっている。
これは、「聴く」という本質的なことになるのだが、何もしないで耳を傾けるという単純に受動的な行為ではなく、語る側からすれば、言葉を受け止めてもらったという、確かな出来事になる。
「言葉を確かにうけとめてもらった!」
このことが大事だ。
★
私たち教師は、日頃子供たちに言っていることは、これと反対のこと。
「意味性のある言葉」をすぐに語ろうとしている。
「どうして同じことばかりするの!」
「何度言ったら分かるの!」
「そんな馬鹿なことはもうやめなさい!」
「〇〇君が悪いんでしょう!」
……
うまくいかない。反発をされる。
多くの教師たちの教室で、うまくいかない事例が数多くある。
子供たちとの「関わり」に原因があるのは明らか。
それは、子供たちの気持ちや言葉を受け止めてないことに原因がある。
だから、まず大切なことは「子供の言い分(ことば)を受け止めること」なのだ。
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