どんな授業が展開されたのか!(2)~大曲小での公開授業研究会~
大曲小の公開研究会に参加した私と小島康親先生は、それぞれ手分けして授業を参観した。
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小島先生は、国語の授業を参観された。
1 5年生のK先生の「雪わたり」の国語授業。
小島先生のメモ書きからまとめてみる。
「味噌汁・ご飯」授業として提起されている。
①全員参加の授業
②学力の保障がきちんとなされている。
①、②の2つのことが見事に生かされている授業である。
●「授業の組み立て」での特徴
①3本立てで成立するユニット型。
ア、漢字学習(全員)
イ、音読(全員)
ウ、本時の課題追求の学習
アとイについては必ず毎時間学習するように授業の中に組み込んでいる。
②「学習課題」と「学習のまとめ」を同時に板書している。
児童が何をめあてに読みを深めていけばいいか、本時ではどこに到達すれば
いいかが明確になっている。
このような国語の授業は、初めての提起ではないか。
③「心情語」が使われている。
私たちが「味噌汁・ご飯」授業本の中で提起した「心情語」が登場人物の
心情の変化に見事に使われている。
● 「全員参加」についての教師の配慮
①音読について……7回の音読がなされている。
自分の席で1回、橫に移動して1回、黒板の前で1回、自分の席で1回、
代表が読む1回 そして後半にペアで読む2回
②ネームカードを使って、全員が参加する。
③「一人学習」でノートにまとめる。
2 3年生のI先生の算数の授業「かけ算の筆算(1)」
「全員参加」の考えが随所で徹底されている。
●「授業の組み立て」での特徴
〇ユニット型の構成になっている。
ア、フラッシュカードでウォーミングアップ
イ、学習過程が「見通す」ー「思考の深化」で成立。
・本時の学習課題の導き出し方…子供たちに考えさせている。
・間違い探しで理解の深化を図っている。
ウ、本時の学習課題が明確に提出されている。
● フォローを授業の中にシステムとして位置づけている。
「すごくいいですね」「すばらしい」「りっぱだね」「なるほど」「さすがあ」
などの評価言が活動のあとには必ずかけられる。
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私たちが授業で注目したのは、その「授業スタイル」であった。
とにかく、テンポがいいのである。
参観されている先生方には、「速すぎるのではないか」と思われた方はいるのではないか。
私たちは違う。
「ゲーム」で育っている子供たちにとっては、この速さが快いのである。
私たちが現役の頃は、おおまかに言えば「発問中心に構成される授業」をしていたのである。
その発問に多くの子供が発表する。
できれば、討論ができるようにしたい。
そのような授業を目指していたのである。
でも、ゲーム世代の子供たちにとっては、もうそんな授業をじれったいと感じるのではないか。
また、そんな授業では、「全員参加」の授業を構成することもできない。
2人の先生の授業を、シンプルに簡略してまとめてみれば次のような授業になる。
1指示(あるいは1発問)→ 1活動 → 発表(あるいは確認)→ フォロー
今までスモールステップの繰り返しと言われていたものである。
私は、この一連の流れをシステムとして繰り返していく授業法を「小刻み授業法」と名付けたい。
この授業法は、教科の授業法である。
生活科や総合には使えない。
私たちが参観した2人の先生の授業は、この「小刻み授業法」を駆使してみごとな授業に構成されていた。
ここには、新しい授業スタイルをもった実践家が育っているのだと、そんな気持ちになった。
★
「みごとな授業」という表現を使っている。
戸惑われる先生方は、多いと思う。
「ごちそう」授業 を数多く見られてきた先生たちは、特に不満を持たれるのではないだろうか。
発想も考え方もすべてを転換しなくてはならない。
私たちが目指しているのは、今日も行い、明日も行う日常の5,6時間の授業の充実である。
この「日常授業」を豊かにしたい。
80点以上の授業なんて目指さないでいい。
毎日そんな授業を目指したら息切れしてしまう。
70点の授業で充分。
でも、「きちんと子供たちに最低限の学力保障をする」「全員参加」の授業をする。
そのためには、「おしゃべり授業」を克服しなければいけない。
それが「味噌汁・ご飯」授業である。
どんなに忙しくても、「日常授業」がしっかり充実しておけば教師たちは元気になれる。
それが教師としての仕事の根幹であるからである。
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