つれづれなるままに~今とこれからを生きることが人生である~
●過去の嫌なできごとや失敗が思いだされて、一日中ブルーな気持ちに満たされてしまう時がある。
そんな時はないだろうか。
私もかつてそんな思いに何度もなった。
一つの過去にずるずると嫌な思い出や失敗がつながって出てくる。
ほんとに、こんな失敗ばかりで過去のその人たちに迷惑をかけたのだと、ひたすら「ごめんなさい」と謝るばかり。
私ほど、そんな失敗が数多い者はいないのではないかと思ったほどである。
かつてと書いた。
今はそんなことはない。
思いだすことはあるが、その場でぱっと忘れる。
忘れるようにしている。
こんなことができるようになっている。
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外山滋比古さんは、次のように書いている。
★ ★ ★
青森へ行った帰りに、朝市に寄ってリンゴを買った。キズのあるリンゴを売っているおばあさんがいる。こちらが、
「キズのあるリンゴの方が甘いんですよね」
と言うと、おばあさんが、
「東京の人のようだけど、よくごぞんじです。みんなにきらわれています」
という意味のことを土地のことばで言った。うれしくなってもち切れないほど買ってしまった。
キズのついたリンゴ。なんとかそれをかばおうとして、力を出すのであろう。
無キズのリンゴよりうまくなるのである。キズのないリンゴだってなまけているわけではないが、キズのあるリンゴのひたむきな努力には及ばないのか。
人間にも似たことがある。(『りんごも人生もキズがあるほど甘くなる』幻冬舎)
……
★ ★ ★
過去にキズがあるからこそ、今日を懸命に生きていかれることだってあるわけである。
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40代の頃、フルマラソンを走っていた。
練習をしていると、30キロまではそんなに苦しまないで行く。
しかし、35キロからゴールまでの7キロばかりは、経験したことがない苦しみに会う。毎回である。
そんなとき、アメリカのビル・ロジャースというマラソンランナーの言葉に出会ったことがあった。
「ビル、走っているときにはどんなことを考えているんだい?」
という問いかけに、
「何にも考えないよ。今走っていることだけを考えているよ」
という答えだったと思う。
この答えに驚いた記憶がある。
一流のランナーは、今、今、今のことを考えて走っているのだ、と。
これは人生に通じるなあと思ったものである。
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そうそう、過去の思い出に悩まされる時、それを打ち消す方法である。
これは、経営コンサルタントの小宮一慶さんに学んだこと。
手に輪ゴム(女房が髪留めに使っていたもの)をはめて、過去の嫌な思い出がでてきたときは、それをぱちんとして忘れる。それだけ。
半年ぐらいやった。
今は、手首をぱちんとやれば充分。
こうして今、今、今を生きるのである。
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「今」と「これから」をどうするかだけが人生なのである。
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