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どのような策を打てば、子供たちを助けてあげられるか?~お母さんの質問に答える~

   ブログに、小5年を受け持たれているお母さんからコメントがつきました。
 

  本来ならば、コメントに答えるという形でコメントで返せばいいのですが、今回は、ぜひとも先生方にも知っておいてほしいことです。
 だから、この場で答えようと考えました。
 

  佑啓さん、大げさにしてしまい申し訳ありません。
 
 コメントは、次のようなものです。

  ★ ★ ★
 はじめまして。
私は、小学校5年生の娘を持つ母親です。このブログは、学校の先生方の学びの場とは存じております。場違いな者がコメントをすることを、どうぞお許しください。

実は、娘のクラスも「荒れる教室」です。今年度新しくクラス替えが行われ、新学年へと移行しました。28人(うち1名は支援クラスに通級中)、1学年3クラスの編成です。

4月の段階から担任の指示が通らず、5月の連休明けには全く担任の統制が効かなくなってしまいました。6月初旬に臨時保護者会を開き、それ以降管理職1~2名、保護者数名が学習支援に入っております。

しかしながら、10月中旬を過ぎた現時点においてもなかなか改善はみられず、授業妨害、いじめ等、問題がどんどんエスカレートしていっております。(よっしーさんの記事とよく似た状況です)

学校側としては、担任とこどもたちの信頼関係が結べないことが一番の原因とし、なんとか関係の再構築を進めようと頑張っていただいておりますし、保護者としても授業の支援や月1回の臨時懇談会の開催など、考えられるだけの手を尽くしてきたつもりではありますが、現時点で打つ手がない状況です。
子供たちは、摂食障害やチック、睡眠障害など、かなり精神的に参ってきている子が増えてきています。学校でも、スクールカウンセラーにカウンセリングを個別にお願いするなどの方策を考えてはいただいているようですが、まだ実行に移されていません。

今後も今まで通り、保護者としてできる限り学校や先生をお手伝いさせていただきたいと思っているのですが、どのような策を打てば子供たちを助けてあげることができるのか、もしよろしければアドバイスをいただければと思います。

お忙しいところ誠に申し訳ありません。また、場違いなメールを送ってしまっていることも、本当に申し訳ありませんが、どうぞよろしくお願いします。
 ★ ★ ★

 保護者として苦しんでおられる状況が、よく分かります。
 
 まず、状況確認をきちんとしておきます。

 ①5年生は、3クラス。新しくクラス替えになり、1クラス28人。

 ②4月段階から担任の指示が通らず、5月の連休明けには全く担任の統制が聞かなくなっている。
 
 ③6月初旬に臨時保護者会が開かれ、それ以降、管理職1~2名、保護者数名が学習支援に入っている。

  ④10月中旬になっても、事態の改善は見られず、授業妨害、いじめ等、問題がエスカレートしている。

  ⑤現時点では打つ手がない。

 ⑥子供たちの中には、摂食障害、チック、睡眠障害などを起こして、精神的に参っている子供たちがいる。

 こんなところでしょう。

  ★
 私の立場からの判断です。

 A この学年は、4年生の段階でも学級が崩壊していた状況のクラスがあった
   と思われる。ずっと荒れ続けてきた学年であろう。
   だから、他のクラスも同じような状態だろうか。
 
 B これは書かれていないが、5年生の担任の先生たちは異動してきた先生で

      はないだろうか。(3クラスともそうではないだろうが)
   コメントをつけられた保護者のクラスも、そうではないだろうか。
   4月の段階から指示が通らないというのは、かなり深刻である。
   大変な学年は、当該校の先生たちはクラス担任を避けていく傾向があり、

      必然的に異動してきた先生に、担任が振られていくことになる。どこにでも

      ある傾向である。子供たちの様子が分からないので、これは異動してきた

      先生には大変気の毒な人事になる。

 
 C 学校全体に、先生と子供たちとの間の関係づくりがうまくいっていない。
   子供たちの教師に対する不信感が根深くあると判断できる。

  D 担任教師は、4月(金の時間)の段階での勝負に失敗している。
   ここでだいたいの勝負が決まるときである。
   それだけの力量がなかったと言うことは簡単である。
   だが、力量があっても対応できない事態は往々にしてある。
   このクラスの場合は、かなりの程度にむずかしい事態であったと判断でき

      る。

 E 臨時保護者会が6月には開かれている。クラスで問題の中心にいる子供

      の保護者は、ほとんど出席しない。出席しても、「うちの子は悪くない。担任
   の方が悪い」と決めつけて、ほとんど助力しようとされない。
   出席している保護者の一部にも、「担任の先生が悪いのよ。」と陰で批判す

      る場合が往々にしてあり、ほとんど本気になって助力されない。(担任がそ

      れだけ指導力がないという批判は確かに当たっている。ただし、どんな教師
   が担任をしても無理だという場合も考えられる。今、そんな段階にきてい
   るクラスは確かにあるのである。)
   だから、保護者が教室で助力をしても、ほとんど何の効果もあがらない。
 
  ★
 これからの方向です。
 これは学校側が取る措置です。
 保護者が関与できません。

 もうすぐ11月になるのです。
 この段階でやれることは、もうかなり限られています。

  ①担任を交替する。
  
  

    ②クラスに入れ替わり立ち替わり補助の教師を派遣するようなことを止め

       て、T・Tとしてきちんと決まった先生(副担任のような形)を入れる。
   2人でクラスを経営していく。
   授業は、主にT・Tの先生が受け持つなどの措置を取る。
   担任の先生が授業をすれば、すでにうまくできない状態になっている
   のだと思われます。
  
  

   ③クラスで授業を妨害する子供を出席停止にする。
   あるいは、教室から離して別の教室で授業をする。

  ④担任が周りと協力しながら、何とか凌いでいく。

 
 

    ①を行う学校はあります。11月の段階ではこれが一番の早道です。
 担任と子供たちとの「関係」が壊れてしまっているはずですから、他の教師が
 入って関係を作り直していけば意外とうまくいくのです。
 でも、替わりに担任ができる教師がいるかどうか。
 それが問題です。

 

   ②は、かつての学校での経験です。教務主任時代に、5年生の学級崩壊が
 ありました。1人の先生をT・Tにつけて何とか乗り切りました。
 クラスがよくなるという事態は起こりませんでしたが、何とか乗り切って
 いけました。
 問題は、そういう先生がいるのかどうかです。
 
 

 

  ③については、校長から教育委員会へ報告し、確認が必要です。
 小学校ではなかなかうまく行きません。教育委員会も保身に走って
 (保護者から批判を受けますので)、承認を出さないという場合もあります。
 校長もなかなか決断がつかない場合もあります。
 別教室に離していく場合は、保護者との確認も必要になります。   
 一番難しい選択ですが、現実的には、これをやらないと問題は終息しません。

 

  ①②③の中では、一番②が取りやすい方向です。しかし、④でやる場合がほとんどです。
 それは、学校の中に人員的な確保がないためです。
 学校は、教師の人員はまったく余裕がありません。
 

  ぎりぎりで副校長や教頭が、替わりの担任をするという場合が多くあるのです。
 
 佑啓さんの学校の場合は、今のところ④でやっているのですね。
 
 ★
 どうしてこのような事態になるのかについて、少し書いておきます。
 
 今、クラスの一部の子供たちは、「快・不快で動く」「すきなことだけする」というようになっています。
 

  だから、気にくわないことがあったら、反発してクラスを壊しにかかる事態が出てきます。
 多分、佑啓さんのお子さんのクラスも、とても普通とは思えない子供が、保護者が見ていても平気で動き回っていると思われます。
 

  クラスが崩壊しだしたら、クラスは弱肉強食の世界になります。
 そうすると、とても考えられないことが起こります。

「あの子が、あんな姿を見せるなんて信じられない!」ということです。
 そして、必ずひどい「いじめ」が起こります。
 
 

  これは、脳科学の研究では、人間脳の下にある動物脳が動き始めることで起こるらしいのです。(『その子育ては科学的に間違っています』國米欣明著 河出書房新社) 

  これらの子供たちが、クラスで自由に動き出さないような学級経営を今教師に求められています。
 

   しかし、そんなに教師たちはスーパーマンではありません。
 うまくいきませんし、そんなに力量もありません。
 もはや、一人では無理だという限界に近づいていると私は思っています。

 きっと佑啓さんは、学校や担任教師に対して、多くの批判や不満を持っておられるだろうと思います。(コメントでは書いておられませんが…)
 親の立場や外側から見たら、何とも担任教師の指導がなっていないと見えてしまいます。そして、そういう失敗やまずいことなどを実際にやってしまっています。
 
 

  一部の子供たちのやりたい放題に何とも打つ手がうまくいかないのです。
  私のブログを読んでおられれば、このもどかしさ、疲弊感などを理解していただけると思っています。
 
 ★
  アメリカでは、「ゼロ・トレランス」という法律で、授業妨害の子供は「退学」になります。
 だから、現在アメリカの公教育は、平穏な教室で教師たちは授業が行っています。
 
 

  ヨーロッパ諸国の中のドイツは、授業妨害する子供へ3回の注意がなされ、そのあとに3回の書簡が保護者へ出されます。それでも改善されなければ、「退学」になります。

 諸外国は、授業妨害などに対して学校や教師たちにきちんとした「権限」が与えられています。

 しかし、日本では何の権限もないのです。
 だから、教師たちが疲弊し、鬱病になり、教師を辞めていく事態になるのです。

 この事態に対して、今のところ、学校の教師の数を増やし、学級の人数を減らしていくという施策しか効果はありません。(根本的な解決にはなりませんが)
 そうすれば、授業妨害をする子供たちへ対応する余裕のある先生ができるからです。
 

  担任は、それ以外の子供たちへの学習保障をすることができます。

 しかし、事態は深刻です。財務省は、クラスの人数を35人からまた40人に戻そうと考えています。
 彼等は、教育現場の実態をまったく考えていないのです。
 ★
 さて、保護者として何ができるのかと問われています。
 このような発想を今までしたことがありませんので、きちんとした答えができません。 保護者が対応して、学級崩壊が何とかなったという事例を今まで聞いたこともありません。
 
 

  反対に、保護者が授業参観などをしても一向に問題は収まらなかったという事例はいっぱい聞いたことがあります。効果はほどんどないのです。
 ここには、先に書きましたが、保護者の方の多くが「うちの子は悪くない。悪いのは、学校側、担任の方だ!」と考えられて、子供に「やめろ!」と止めようとされないからだと思っています。
 

  もちろん、学校側、担任側がきちんと対応しているわけではありません。
 まずいことも、失敗もしているはずです。

 しかし、問題はこのままでいけば、きちんとした学力保障ができないことです。
 (学習塾で補えばいいやと考えられているから、そんなに深刻に受け止められないのですが…)
  傷を背負い込む子供たちも出てくるのです。

 それでも佑啓さんのように心を痛め、何とかしたいという保護者の方がいます。
 何ができるのか。

 まず、静かに座って学習の姿勢ができる状態の子供を増やしていくこと。
 「座って、先生の教えることに耳を傾けなさい!」
 「騒いでいる人たちと一緒にならないで、きちんと座って学習の姿勢を取りなさい!」

 過剰に、先生の味方をさせるといじめの対象になってしまいますので、これだけでいいのです。
 私の娘が小学校の6年生の時に、クラスが学級崩壊になったときはこのように娘に声かけました。

 クラスの多くの保護者が、この姿勢でわが子に迫っていけば子供たちは落ち着いてくるはずです。
  でも、このことがほんとうは一番難しいことかもしれません。

 もう一つだけ。
 もし可能ならば、担任の先生に「先生、がんばってくださいよ。私たちもがんばりますから」とそっと声かけしていただけたらと思います。
 多分、担任は、ぎりぎりで精神的に追い込まれているはずです。
 でも、保護者のその一声で、どれだけ勇気をもらえるか。

 ★
 佑啓さん、答えにならなかったかもしれません。
 お子さんのクラスが少しでも落ち着いてくれることを願っております。
 

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コメント

私のつたないコメントから、丁寧にお返事をいただき本当にありがとうございます。
娘のクラスは、現在まさにおっしゃる通り「弱肉強食」の状態です。
「いじめ」もひどいです。「死ね」「殺す」「消えろ」は日常会話になり、先生への暴言や暴力、クラスメートへのいじめも日に日にエスカレートしていっている状態です。

6月から保護者数名で授業を支援に行っても、まったく効果がない意味がよくわかりました。度重なる懇談会でも、結局は「意味があるんだろうか?」と思いながらも、疲労困憊しながら一日中支援するという形だったので、次回11月頭にある懇談会で教えて頂いたことを提言してみようと思います。

先生のおっしゃる通り、
A この学年は、4年生の段階でも学級が崩壊していた状況のクラスがあり、ずっと荒れ続けてきた学年です。 現在の娘のクラスは学級崩壊ですが、もう一クラスはひどいいじめで苦しんでいます。
 
B ただし、5年生の担任の先生たちは全員今まで在校されていた先生です。
学年主任である隣のクラスの先生は、当校で5~6年生を受け持たれて7年目の先生です。(いじめが横行しているクラス)もう一クラスは、数年前に担任された5年生のクラスが酷い学級崩壊を起こし、退職を考えられた先生です。そして、娘のクラスは、当校にこられて2年目の先生ですが、昨年度1年生で学級崩壊を起こし2年生に持ち上がりされず、5年生に上がられた先生です。
今まで十数年間一年生を担任してこれらた先生なので、4月の段階で5年生に対応しきれなかったということがあったようです。

ただ、管理職の先生は、今年度初めて赴任されてきた先生たちです。

C 学校全体に、先生と子供たちとの間の関係づくりがうまくいっていないのは事実です。
6学年18クラス中7クラスが学級崩壊状態で、現時点で副担任を置くだけの余裕がないそうです。

D おっしゃる通り、4月の段階で手におえない状況になっていました。

E 臨時保護者会が6月には開かれている。クラスで問題の中心にいる子供の保護者は、「うちの子は悪くない。担任や学校、クラスメートの方が悪い」と決めつけて、ほとんど助力しようとされないことや、出席している保護者の一部にも、「担任の先生が悪いのよ。」と陰で批判する場合が往々にしてあり、ほとんど本気になって助力されない。だから、保護者が教室で助力をしても、ほとんど何の効果もあがらないのも事実です。
2対6対2の法則が、保護者の中にもあてはまります。これではまずいと思っている保護者対学校のことは学校に任せればよいと思っていらっしゃる保護者対問題の中心のお子さんの保護者です。

そして、私自身が学校や担任の先生の大変さを、こちらのブログで読ませていただいて、さらには学校に足を何度も運び感じておきながら、通わせている学校に対して不平や不満が無いかと問われれば、嘘になります。

日に日に精神的に追い詰められていくわが子を見ていて、「なぜ?こんなことに?」とこちらも追い詰められていっておりました。

けれど、今回アドバイスをいただき、今までとは違うアプローチをしてみようと思います。
もちろん担任の先生に対しても、そっとお声かけさせていただこうと思います。

場違いなコメントさせていただいたにも関わらず、お忙しい中お返事をいただきありがとうございました。

投稿: 佑啓 | 2014年10月28日 (火) 09時18分

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