アンナ先生への手紙(5)~教室の「空気」と「時間」の統率ということ~
前回は、「8割を味方」にするということを書きました。
今回は、「8割を味方にする手立て」を具体的に書いていくことにしましょう。
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「8割を味方」にするには、まずしなければいけないことがあります。
〇8割の子供たちが願っていることを実現すること。
この願いを、子供たちは決して言葉にしませんが、2つ強く願っています。
①早く教室を安心・安全で居心地がいい場所にしてほしい。
②先生がリーダーシップを発揮してほしい。
「安心・安全」な場所にするためには、教室でのルールをきちんとしていくことです。 「居心地がいい」場所にするためには、教室の中でのさまざまな仕組みがスムーズに進んで行くことです。
①の実行のためにも、担任の先生は、頼りがいのある先生でいてほしいのです。
だから、「厳しい」先生というのを子供たちは決して否定はしないのです。
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「安心・安全」で居心地が良く、「頼りがいのある先生」になるためには、2つのことをしなくてはなりません。
〇教室の「空気」と「時間」を統率すること。
とりあえず、これだけでいいのです。
教室は、とりあえずこの2つによって成り立っていくのですから。
1ヶ月間は、ひたすらこれだけを考えていればいいのです。
反面、この2つの統率ができているかどうかが、落ち着いたクラスになっていくかどうかの試金石になっていきます。
アンナ先生のクラスは、この2つの統率が危うかったのでしょうね。
これは何だろうと思われるのでしょうが、少し説明が必要です。
教室の「空気」とは何か。
教室で、担任と子供たちで作る「雰囲気」です。目には見えません。
昔、「KY」とかいう言葉が流行りましたが、この「K」に当たる部分です。
担任がリーダーシップを発揮していれば、当然この「空気」は担任が握っていきます。
これを「統率」という厳しい言葉にしましたが、これが一番適切な言葉だと考えています。
この「空気」を担任が統率できなくて、2,3人の超やんちゃに握られてしまえば、一気に教室は不穏な「空気」になっていきます。
2,3人のやんちゃは、自分勝手なことを始めていきます。
また、しょっちゅうもめごとが起こってきます。
2,3人のやんちゃがらみのもめごとが多いはずです。
先生は、しょっちゅうそのもめごとの仲裁にあたらなければいけなくなります。
教室の「時間」とは何か。
教室に流れている「一日の時間」です。
子供たちが学校へ来てから帰っていくまでの「一日の時間」。
これも目に見えません。
朝自習―朝の会―1時間目―2時間目―中休み―3時間目―4時間目―給食―掃除―昼休み―5時間目―6時間目―終わりの会
ほとんどの学校が、このような流れのはずです。
この「時間」の流れは、それぞれの「仕組み」で成り立っています。
朝自習の「仕組み」
朝の会の「仕組み」
1時間目の授業の「仕組み」
中休みの過ごし方の「仕組み」
…………
給食の「仕組み」
掃除の「仕組み」
…………
問題は、この「仕組み」がスムーズに流れるようになっているかどうかです。
スムーズに流れるようになっていることを「時間」の統率と言っています。
なぜ、ここに拘るかというと、子供たちは、この一日の流れがスウッ~~~~とスムーズに流れることを強く願っているからです。
彼等の体は、「スピード」の塊であり、「スムーズさ」を特に好みます。
だから、この仕組みがギクシャクしたり、だらだらしたり、滞ったりしたら、とたんに不快に陥ります。
不快になったら、子供たちは、だらだら、まったり、うろうろし始めます。
これは「不快だ!」と叫んでいることになります。
この仕組みがスムーズにいくことは、担任の仕事です。
担任は、1か月で、この仕組みが子供たち自身でスムーズに動かせるように繰り返し繰り返し教えていかなくてはなりません。
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アンナ先生、この「空気」と「時間」の統率、どうだったでしょうか。
この「空気」をやんちゃたちに握られてしまって、先生の統率がきかず、教室全体が騒然とした雰囲気になっていったのではないでしょうか。
また、この「時間」の統率がうまくいかず、だらだら、まったり、うろうろして、いつも決まった時間に遅れてしまうことを繰り返したのではないでしょうか。
クラスがうまくいかなくなるということは、同時にクラスにスピード感がなくなるということなのです。
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次回は、「空気の統率回復作戦」「時間の統率回復作戦」について書きますね。
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