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もう昔の良き時代に戻ることはできない。~大阪セミナーを終えて~

   15日に大阪セミナーに行く。
 天満橋の会場があるのは、あの橋本市長の大阪市である。
 会場ぎっしりの人数。若い先生たちがいっぱい。熱気がある。

 そこで講座を始める。
 どの講座も熱心に聞いてもらえる。
 
 

 大阪の先生たちがほとんどである。
 きっと周りは学級崩壊になっている(あるいは自分も大変になっている)という事例がいっぱいの状態であろう。
 深刻さの度合いが違う。

 ★

 大阪は、私が教師になる数年前に行っていた全国の学力テストでは、上位を占めていた。
 その頃、全国の先生たちが大阪に学べと、民間の研究団体が集まっている大阪へ集まったものであった。
 
 

 大阪は、教育のメッカであった。
 今はその当時の面影さえも見ることはない。
 
 

 全国の学力テストでは、下位を低迷している。
 この40何年の間に、大きな地盤沈下が起こったのである。

 私は、その原因を簡単なフレーズで表現した。

 「縦糸の枠組み」が壊れたのである。

 大人と子供の枠組み。親と子の枠組み。先生と生徒の枠組み。……。
 40数年前にはまだこの枠組みは、きちんと社会全体にあったのである。

 今では東北には、まだまだこの「縦糸の枠組み」が残っている。
 だから、東北は、学力テストも上位であり、そして学級崩壊なども少ない。

 ★
 誰がこの「縦糸の枠組み」を壊したのか。

 マスコミや教育関係者は、80年代、90年代、その原因を学校や、教師たちに求め、学校叩きや教師叩きを盛んに行った。

 結果は、更に悪くなった。
 学校に残っていた「縦糸の枠組み」を更に放逐してしまったからである。

 違ったのである。原因は、社会全体が加担したのである。(もちろん、学校も加担した)

 社会全体が、この「縦糸の枠組み」を壊してしまったのである。

 ★
 だから、私の提案は、はっきりしている。

 「縦糸の枠組み」が壊れてしまった学校や教室に、新たに枠組みを再構築するという提案になる。

 昔に戻ることは、もうできない。
 昔ながらの指導は、もはや無理になっている。
 

 昔ながらの厳しい指導を繰り返しているベテランの教師が、学級崩壊になるのは当然のことだ。

 「縦糸の枠組み」が壊れてしまって、子供たちが変貌してしまったのである。(全部の子供ではない)
 その子供たちには、昔ながらの枠組みの指導が通用しない。

 もう昔の良き時代に戻ることはできない。
 これははっきりしているのである。

 ★
 「新たに枠組みを再構築する」と書いた。
 
 何か新しい指導法を考え出して、それを実践に移していくと考えられるかもしれない。
 

 私の再構築は、そんなことではない。

 もちろん新しく提起したものも確かにあるが、ほとんどはそんな提起ではない。

 どんな提起なのか?

 「ひき算発想」で、今までの実践を削り取っていくことである。
 

 私の「学級づくり3原則」「授業づくり3原則」「勝負は1ヶ月」……。
 さまざまな提案は、「ひき算発想」から生まれてきたものである。

 いま学校や教師たちは、膨れに膨れあがった仕事に追われながら生活している。
 目の前の蠅を追い散らすだけの仕事ぶりになってしまっている。

 「たし算発想」によって「あれもこれも」付け加えてきた結果である。
 もちろんこれは学校や教師たちだけの責任ではない。

 今必要なのは、膨れあがったさまざまなものを削り取っていく「ひき算発想」である。
 どうしても必要で、効果的なものだけを残して思い切って削り取っていくことである。

 これを思い切ってなさなければ、もはや学校や教師たちが元気になって甦ることはできないであろう。

 ★
 講座を運営している若手の先生たちの元気さや、学ぼうとする意気込みや姿勢に感銘を受けた。

 大阪はいま日本の中でも困難さを一番持ったところだと、私は認識している。
 そんな中で、こうした若手の先生たちがいることは実にうれしいできごとであった。
 とても充実した時間であった。
 

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