新しい「縦糸の枠組み」の再構築を!(2)
「縦糸の枠組み」が壊れたことを書いた。
ある校長さんから次のようなメールを受け取った。
★ ★ ★
先生、私も前任校、そして今の学校で何度も子供から「死ね」と言わ
れていますよ。
今の学校では、子供から蹴りもパンチも受けています。つばもかけら
れています。物も投げつけられています。昨年はスーツの上着を破か
れました。
「死ね」とまでいかなくても「あんた」「お前」「てめえ」と呼ばれ
たとなると、女子も含めてもっと増えますね。
★ ★ ★
現実は、考えているよりももっともっと進んでいる。
この枠組みの壊れ現象は、大変なことになっているのであろう。
この枠組みは、1980年だの半ば頃から徐々に壊れていき、1990年代の末には「学級崩壊」がニュースに取り上げられることになる。
この現象は、依然として続いていて、更に深刻さが増している。
この枠組みの壊れと一緒にさまざまなものが壊れていった。
いま50歳代のベテランの教室が、学級崩壊の憂き目にあっている。
彼等は今までしっかりと学級を構築してきたのであり、きちんとした力量をもっていたのである。
それが通用しなくなっている。
なぜか。
「縦糸の枠組み」がもはや壊れてしまったのに、いつまでもその枠組みに乗っかった指導しかしていないからである。
しょっちゅう厳しく注意し、叱り、どなっている。
今までは何とか通用してきたのだが、もうだめだ。
私は「縦糸の張りすぎ」と指摘するのだが、そのことに気づかないで、子供のせいにしてしまっている。
★
「縦糸の枠組み」が喪失して、では、一体どうしたらいいのか。
ある教師は、最初からびしびしと厳しく指導していく体制を作ろうとする。
しかし、これは安易になされるとますますだめになっていく。
そのうちに、やんちゃたちに反感をかい、反発され、どうにもならなくなる。
そんな教師たちを何人も見てきた。
★
反対に、縦糸を張らないで、「横糸」で迫ろうとする教師たちがいる。
若い先生たちに多い。
初任の先生たちは、ほとんどがこれに近い。
枠組みがはずれたことに慣れきっている子供たちは、最初は歓迎する。
でも、そのうちに(5月の末から6月にかけて)教室が壊れてくる。
学級のルールは守られず、弱肉強食の世界になっていくからである。
それぞれが自分勝手に振る舞い、ぶつかり合い、ケンカになる。
そんなクラスをいくらも見てきた。
★
「縦糸の枠組み」が壊れて、「学校」は新たな課題を突きつけられたのである。
ただここで確認しなければいけないのは、もはや昔の「枠組み」には戻れないということなのである。
ここで大きく認識がずれていく。
「昔が良かったので、昔に戻ろう」式の発想は、もう時代認識に合わない。
そんなことができるはずはない。
新しい「縦糸の枠組み」を再構築しなければいけない。
「横糸」で迫ろうとする先生たちもいる。
それができるのは、よほどの力量をもった先生に限られる。
その場合も、決して「縦糸」が必要ないというわけではない。
意識的にも、無意識的にも、見えない「縦糸」を駆使しているはずである。
しかし、普通の先生たちには、所詮それは無理である。
なぜなら、「学校」という空間は、「指導」(教師)と「学び」(生徒)という上下関係で成り立つことが本質であるからである。
この縦糸の本質が壊れているので、学校教育は大きな危機に立たされている。
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