まずこの本を読んで出直せ!
現在、アメリカのロサンジェルスに住んでおられる方から連絡があり、話をぜひとも聞きたいということで横浜西口で会った。
栄養学の博士で、その関係の会社で、副社長をされている方である。
以前、栄養学の専門学校で教師をされていたという。
日本の教育について危機感を持たれていて、ぜひとも何かの援助ができないものかと思っておられての私へのコンタクトである。
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今、学校が抱えている現状をお話しした。
ひどく驚かれた。
自分が考えていた状況よりも深刻だと語られた。
翌々日、メールが来て、次のように書かれていた。
「昨日は起業家の方とお会いしたのですが、その方も日本の先行きに対して悲観的でした。彼曰く、高齢化が進み、働き手(お金を使う人)の数が絶対的、相対的に減り続けるので、立て直すのは容易でないとのこと。だからこそ、教育の質をあげていかなければならないのに。先生に伺ったお話をシェアすると、大変驚いていました。おそらく一般人はほとんど現状を把握していませんね。」
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学校や教育が抱えている問題が行き着くところまで行っている現状について、一般の人たちには伝わっていない。
これはまさにその通り。
これはマスコミの責務であるのだが、その役目を果たしていない。
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かつて1980年代のころ、マスコミは、教育や学校の深刻さを学校や教師の責任として考え、次々と「学校叩き」「教師叩き」を行った。
この教育のひどさを生み出しているのは、学校の管理教育であり、教師のだらしなさであるという指摘である。
その結果、学校や教師の世間的な評価はがた落ちし、「だらしない」「信用できない」連中だというきめつけになった。この中からクレーマーが登場してきたのである。
この結果、学校が持つ教育の機能までも根こそぎに喪失していった。
今、教師たちは疲弊しきっている。
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マスコミが行った「学校叩き」「教師叩き」で教育の現状が良くなったかというと、とんでもない。ますます悪化していった。
立ち直れないぐらいの退廃を抱え込んでしまったのである。
今の教育や学校の問題の原因は、そこではなかったのである。
マスコミは、見当違いのことをやった。
その反省を彼等はまったくしていない。
相変わらず同じような調子で、学校叩き、教師叩きをやっている。
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前回のブログで、滝川一廣さんの「学校へ行く意味・休む意味」(日本図書センター)を上げた。
今の教育や学校が抱えている問題を的確に指摘してくれている。
滝川は、次のように指摘する。
①登校を理屈ぬきにあたり前のこととする学校の聖性が消えたこと。
②暮らしが豊かになり高学歴もありふれたものとなったため、あえて苦労して
勉強にはげむ価値が下がってしまったこと。
③第三次産業が中心となり、社会での労働と学校での勉学との間のギャップ
がひらいてきたこと。
④個人の欲求や個人意識の拡大が公教育の集団システムをストレスと感じ
させる度合いを引き上げたこと、など。
ここが現在の教育や学校をこれほど変えていった原因である。
ここから変わっていったのである。
どこに「学校叩き」「教師叩き」をする原因があるのだ!
私のブログを読んでいるマスコミ関係の人たちは、まずこの本を読んで、出直せ。
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