漫然と授業をするな!
神奈川県のA市教育委員会へ行く。
8年目の先生たちの研修会の講師として呼ばれてのものである。
「軌道に乗る『学級づくり』『授業づくり』」というテーマで70分間の講座。
8年目というと、学校では中堅として学校の中心にいる存在。
この先生たちに語ることは何なのだろうか。
★
「授業づくり」では、桑田真澄(元巨人軍ピッチャー)の東大野球部の指導法について話す。
6月3日のNHKクローズアップ現代で「桑田の極秘指導に密着 最弱・東大野球部」を放映していた。
東大野球部は、今現在56連敗。
この弱小野球部にピッチングコーチとして桑田が乗り込んでいる。
東大は、他校が甲子園出場の球児がいっぱいいる中で、甲子園出場組が0人。
当たり前のことであるが、この時点で圧倒的にレベルが違いすぎる。
桑田が乗り込んで調べてみると、彼等は1日に14時間ぐらい練習を重ねている。
練習量を重ねないと他校に勝てない。
練習量=上達量と考えていた。
桑田は彼等に言う。
「今までの常識を捨てろ!」
「漫然と練習をするな! 」
「やり過ぎると内容が薄くなる」
「やり過ぎると集中力がなくなってきて、それを体が覚えてしまう。
だから、いつも70%か80%の力で投げたり、打ったりしてしまうことに
なる。」
「まちがった練習を体に染みこませることになる」
「大切なのは、自分で考えて行動すること」
そして、桑田がピッチャーに要求したことは、外角低めのストレートを何球続けて投げられるかのコントロールをつけることであった。
それを強調した。
そこがバッターが一番打ちにくいところなのである。
★
桑田の助言は、教師が授業を考えていくときにもとても参考になるものである。
ある初任者指導の場で、初任者に聞いたことがある。
「あなたたちは、授業の力量は年数を重ねるとうまくなると考えているのでは
ないですか?」
初任者の多くは、そのように考えていた。
経験を重ねると、授業がうまくなると思っていたのである。
私は、それは「幻想だ!」と断言した。
むしろ、若いときが授業は上手で、歳をとるに従って授業は下手になる。
若いときは、若さというエネルギーが子供たちを惹きつける。
歳をとってくると、それがなくなり、惹きつけるものがなくなる。
それとともに授業も下手になる、と。
「これから周りを見てみると分かると思いますが、あれだけ年数を重ねて授業をしてきたベテランの教師たちが決して授業がうまくなっていない事実です。」
身も蓋もない言い方であるが、これはほんとうである。
中堅も、ベテランも、決して授業が上手になっていないのである。
★
これはなぜか。
桑田の言を借りれば、漫然と「日常授業」をしているからである。
「外角の低めに投げ続けるコントロール」
これは、授業でも当てはまる。
その目的意識をもって授業をし続けなくては、授業がうまくなるはずはない。
一日に300球も400球も投げ続けても、うまいピッチャーになれないのと同じだ。 漫然と投げ続けていてうまくなるはずはない。
★
授業での「外角の低めに投げ続けるコントロール」とは何か。
何をしていけば、自分の授業力はあがってくるのか。
私達は、「日常授業」を漫然としてはいけないと思っている。
第2回目の「味噌汁・ご飯」授業公開研究会では、ずばり以上の内容を提起したいと考えている。
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