北海道教育委員会からの報告書を読んで
北海道教育委員会から報告書が送られてきた。
教員の資質能力向上に係る調査検討事業「教職大学院の教育課程と融合した初任者研修及び現職教員研修の自校実施プログラム開発」というものである。
私も一応監修者に名を連ねている。
最近は、この報告書や研究紀要の類いはめったに目を通すことがない。
意味がないからである。時間の無駄である。
報告のための報告をしている。
まとめのためのまとめをしているからである。
しかし、今回のこの報告書はすごい。
さまざまな挑戦がここではなされている。
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道教委の学校力向上のアドバイザーを勤めて2年目になっている。
この学校力向上の試みは、昨年は7校、今年は6校が希望をし、13校の学校がさまざまな取り組みを始めている。
方々から批判を受けている。
新しい挑戦にはいつもこのような批判はつきものである。
この試みは、もちろん学力向上だけではないが、やはり中心には低学力の向上があることは明確である。
北海道は、全国の学力調査で沖縄と共に最下位の方を占めている。
これもさまざまな意見があるが、実際にひどい低学力にあえいでいる実態があるのである。
これは「学校の責任である」であると、私は強く主張している。
高学年にもなって、繰り上がり、繰り下がりの計算、かけ算九九、本のすらすら読みなどができない子供を放置していることは、まさに学校の責任以外のなにものでもない。
子供は毎日学校へ来ているのである。
この事実に挑戦して、克服していこうという試みが始まっているのである。
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今回のこの報告書は、教職大学院との連携をどう図るか、初任者研修の自校実施などの新しい試みに果敢に挑戦したものである。
特に、初任者研修の取り組みは目を見張るものがある。
私の見聞した範囲で言えば、教育委員会段階の初任者研修はほとんど成果を上げていない。
それは、第1に、初任者にクラスを離して研修させることが多いという壁である。
ただでさえクラス経営がうまくできない初任者をクラスから離すことがしばしばという研修が、かえってクラスを荒らしていく要因だということに早く気づかなければいけない。(これは文科省のもともとのカリキュラムが問題である)
第2に、研修内容が初任者の求めている実態に合っていない。(私が担当した初任者の話から推測すればの話であるが…)
これらの実態を踏まえて果敢に挑戦したのが今回の報告書である。
1つ目には、ゼロ年次研修を設けていること。
児童に会う前に準備しておくことをきちんと設定していること。
2つ目には、指導計画が初任者の実態に合わせて組み立てられていること。
初任者の教室の事実を変えていく指導が実際に行われている。
3つ目には、研修の自校実施という試みを踏まえて、近隣校と合同で初任者研修に当たっていること。
この報告書を読みながら、初任者指導の新しい一歩が提起されていると強く思ったものである。
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