初任者の授業はどのように始めていくのか?(2)
整えていくことの2つ目が「学習規律」になる。
これは初任者にとっては最も大変なこと。
今までほとんど教えられていない。
周りに聞いても明快に教えてくれる先生もいない。
だから、小学校の頃のことを思い出すぐらいしかできない。
この「学習規律」は、学習の基盤を作ることになる。
家を作るときでも、まず基礎を作る。
それは当たり前のこと。
学習にとっても、必要なことになる。
★
私は、この「学習規律」については『新卒教師時代を生き抜く学級づくり3原則』(明治図書)で10ヶ条を提起している。
1 挙手はきちんと
2 名前を呼ばれたら「ハイ」と返事
3 机上の整理をさせよう
4 机の中の整理・整頓をきちんと
5 筆入れの中味を整える
6 ノート指導の徹底
7 発言を整えよう
8 授業時間を守る
9 ノートを先生に提出するとき
10「どうぞ」「ありがとう」の言葉かけ
初任者のクラスではまずこの程度でいいだろうという規律になる。
★
(1) 挙手はきちんと
挙手のさせ方からきちんとするようにする。
子供たちは、重々しそうにあげる。
ここからきちんとしていく。
「手をあげるときには、天井に突き刺すような感じであげます。練習をし
ましょう。」と促していく。
時々、注意をしていく。
(2) 名前を呼ばれたら「ハイ」と返事
これもなかなか徹底しない。
返事をすることは、とても大事な学習のしつけである。
いつも名前を呼んだら、「ハイ」と返事をする習慣をつけるようにする。
「は~~い」ではなく、短く「ハイ」。
4月当初は、意識して取り組むが、次第にいい加減になりがちだ。
1年間意識して取り組むことになる。
テストを返却するときにも、名前を一人一人呼んで渡すようにしたい。
その時にも、「ハイ」と返事する習慣にしたい。きちんと返事をしないと
きには、返却しないことである。
(3) 机上の整理をさせよう
机上は、いつも必要な物だけを出すように意識づけすることである。
国語で漢字ドリルをしているときは、教科書やノートは必要ないはずであ
る。ところが、ほとんど出されたままで重ねたような形で学習をしている。
今学習している物だけを出す。
出し入れのスピードをつけさせる。
(4) 机の中の整理・整頓をきちんと
机上に必要な物だけをすばやく出す習慣がついていくと、必然的に机の中
がきれいに整理整頓されていくことになる。
低学年の時には、道具箱の蓋と中味を2つにして、それぞれの箱に入れる
物を指定していく方式が取られている。
物が少ない低学年のときには、それを徹底していけば充分である。
見ていると、もらったプリント類やテストのプリントをぐじゃぐじゃにし
て詰め込んでいく子供がいる。
プリントのたたみ方は、必須の習得事項に加えておく。きちんと教えてい
かなくてはならない。
また、高学年で物が多くなってきた場合は、道具類を袋に入れて、机のそ
ばにかけさせておくことも考えなくてはならない。袋を持ってこさせて、入
れさせればいい。私は、100円ショップで10枚程度買ってきて、袋を忘れて
くる子供たちには持ってくるまで貸しだしていたこともある。
(5) 筆入れの中味を整える
筆入れがきらびやかに派手になっている。指導をしなければ、大変なこ
とになる。
筆入れに入れておくものは、統一しておく。私が取り組んでいた物は次の
ようなものでした。
①シャープペンシルは禁止。鉛筆は飾りのないものを5本。
②消しゴムは、白い物。
③赤鉛筆を1本。
④ミニ定規(15センチ程度)
ときどき、筆入れを点検する。
(6) ノート指導を徹底
ノートは、学習の要である。これをきちんと使えないと、どんなに教材研
究をして授業を工夫していても、子供たちに学力をつけさせることはない。
それほど大切なものである。
ノート指導は、次のようにする。
①日付
②教科書のページを書く。
③教科書の問題番号を書く。
④学習内容の小見出しを書く。
⑤ノートは、一行おきに書くようにする。決して詰めて書かない。
⑥定規を準備し、線は基本的に定規を使って引く。
(7) 発言を整えよう
最初の基本的な発言の方法を教える。
○私は(ぼくは)~だと思います。
○私は(ぼくは)~だと思います。そのわけは~だからです。
きちんと主語と述語を使って話をするようにする。
それから、次のような話し方も教える。
○私も(ぼくも)~だと思います。そのわけは~だからです。
<も>をつけさせると、発言がつながっていく。
それから、徐々に次のような言い方も教えていく。
○「にています」「私は(ぼくは)~だと思います。そのわけは~だからです」
○「反対します」「私は(ぼくは)~さんに反対します。そのわけは~だからです」
○「他にあります」「私は~だと思います。そのわけは~だからです」
○「質問します」「~さんに質問します。~はどういう意味ですか」
(8) 授業時間を守る
学級が荒れてくると、必ず授業時間がいい加減になる。
子供たちが、授業の最初に教室に入ってこなくなる。始まる時間が、どん
どん遅くなる。
子供たちに授業を時間を守らせていくことは、特に大切な約束である。
そのためには、教師が、時間をきちんと守っておく必要がある。
教師が、始まり・終わりをいい加減にしていて、子供たちだけに授業の始
まりをうるさく言うのは、本末転倒である。
(9) ノートを先生に提出するとき
学習のしつけとして考えていくものである。
授業中に、先生にノートを持ってきて、○をつけてもらったり、ノートを
点検してもらったりする場合は多い。
その場合に、ノートは、先生が見やすいように提出するようにする。意外
とこういう指導をしていない場合が多くある。ノート点検に手間取り、列が
ずっと並んでいくということがある。
(10) 「どうぞ」「ありがとう」の言葉かけ
プリントを配付する場合、列の一番最初の子供に「どうぞ」と声をかける。
子供からは「ありがとうございます」という返事。その子供は、次の子供に
後ろ向きで「どうぞ」という声。次の子供は、「ありがとう」と答える。…
…こういう習慣をつけたい。こういう事から始め、さまざまな場面で「どう
ぞ」「ありがとう」と声かけ合う場面を作りだしていきたい。
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