こうして教師を萎えさせ、亡国の教育を推進する
26日に大阪の寝屋川へ行った。
教育委員会での初任者向けのガイダンス(初任者講座)。
おそらくこんな時期に初任者講座を設けている委員会は、ここだけであろう。
最初は、愛知県小牧市の教育委員会が始めていったことである。
初任者に辞令交付をする前に、初任者講座を設けて、始業式へ向けての準備をさせる試みである。
寝屋川は、1ヶ月前に行い、十分な準備期間を確保させるという試みになる。
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今年の初任者65名。
緊張した面持ちで座っていた。
2時間30分びっしりと講座を行う。
ところどころで笑いを入れるのだが、なかなか笑ってくれない。
「ここは笑うところですよ!」とつい口にしてしまう。(笑)
まだ辞令が出ていないのである。
「あまり笑ってしまって……辞令が下りなかったらどうしよう…」と考えてしまったのかもしれない。
4時でぴたりと終わる。
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この講座の中で、「叱る」場面を設けて、2人にその実演をさせる。
最近は、初任者講座の定番にしている。
とくに大阪は、例の体罰問題の発祥地であり、ぴりぴりしているはずである。
私はあえて体罰はダメだが、叱ることを手控えるような教師になってはダメだというメッセージを送りたいと考えている。
わざわざ学校教育法11条を持ち出す。
学校教育法<第11条>(懲戒)
校長及び教員は、教育上必要があると認めるときは、文部科学大臣の
定めるところにより、学生、生徒及び児童に懲戒を加えることができる。
ただし、体罰を加えることはできない。
体罰はダメだが、「懲戒を加えることができる」ときちんと定められている。
「叱ること」はきちんと認められている。
当たり前のことである。
きちんと叱ることができない教師は教師を続けられない。
これも当然のことである。
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2/11日付けの日本教育新聞に、体罰把握の実態調査について書かれている。
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文部科学省の求めに応じて、体罰の実態把握に向けて、全国の教育委員会が
独自の調査に乗り出している。このうち、神奈川県教委は、高校、特別支援学
校、中等教育学校の児童・生徒に用紙を配り、体罰を振るった教職員の氏名を
などを記入して、郵便で県教委宛に送ってもらう方式を採用。学校の目に触れ
ることなく、児童・生徒の声が集まり始めた。
「教職員の大量処分につながる可能性がある」との声が上がる一方、学校と生徒の信頼関係を損ないかねないと批判も出ている。
★ ★ ★
神奈川県教委が始めたことを先日、区P連の保護者の方からも聞いた。
「先生、やんちゃたちがぐるになって『あの先生をやめさせようぜ』と調査書
を書いて送ったということを聞きましたよ」
今、こういうような調査書が何通も県教委などに送られてきているはずだ。
指導主事がその学校へ電話し、その先生から話を聞きたいということになる。
ほとんどがあること、ないことが書かれているはずだ。
結局何もなかったとしても、その先生は落胆するはずである。
すっかりやる気をなくしていく。
その姿が目に見える気がする。
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文科省も、体罰をなくしたいという、いわゆる「善意」である。
教育委員会も、それに応えて「善意」である。
「このさい、先生たちの体罰を完全になくしていきたい!」
などと思っているのである。
目の前のことしか見えなくなっている行政の人間がいる。
やれやれ、この連中たちは「地獄への道は『善意』に敷きつめられている」ということをまったく知らないのである。
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学校教育の根幹はどこにあるのか。
さまざまに人は言うであろう。
でも、はっきりしていることがある。
教師の教えを通して、ほとんどが実現していくことである。
教師が「よし今日もがんばって教えよう」と意気込んで教室へ向かう、その姿勢を作り上げることが何よりも大切である。
子供たちの教育の指針となる学習指導要領をきちんと実現していくのは、教えていく教師たちから始まる。
どんなに学習指導要領が素晴らしいものになっていたとしても、それを教えていく教師たちが意欲がないとしたら、絵に描いた餅ではないか。
そんな基本的なことが分かっていない。
分かっていないというより、そんなことを考えていないのであろう。
こうして教師を萎えさせ、亡国の教育を推進している。
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