« 2/2 東京明日の教室の連絡です | トップページ | 「日常授業」の改革ということ(4)~「一人研究授業」はおもしろいかもしれない~ »

「日常授業の改革」ということ(3)~「一人研究授業」の提案~

   ブログに、新潟十日町の庭野三省先生から次のようなコメントがついている。

  ★ ★ ★
「日常授業の改革」,大賛成です。私自身,かつて拙著(処女作)で,次のように書いたことがあります。
「指導案検討をして,研究授業をすることだけが,もう,教師の指導力をつけることにはならないのではないか。研究授業と日々の授業の間にあまりにも乖離があり過ぎるからである。ふだんの教室での授業が研修・研究になるような教師の意欲が必要な時代である。研修・研究のシステムを変えなければならない。」(『新しい低学年の国語教室』日本書籍 1991年)
 先生の「日常の授業」と私の「日常の授業」は,同じ意味で使われています。私は,この本を書いてから後に校長になり,校内研修の改革に着手しました。先生と同じ問題意識を持っていたことが嬉しくなりました。
 ★ ★ ★

 1991年の時に、このような問題意識をもたれていたということに驚く。
 法則化運動全盛の時代であっただろうか。
 
 

 いわゆる「研究授業」が全盛の時代でもあった。
 この時代は、「日常授業」などまったく問題意識さえなかったはずである。
 

「研修・研究のシステムを変えなければならない」という重要な指摘がなされている。
 この言葉は重い。
 
 ★
 この時代に向山洋一先生が、教師の授業技量を黒帯級に上げるためには研究授業100回をこなさなければいけないと主張されていたことを思い出す。

 また、ネットで調べていたら、岡山の大前暁政先生が「21世紀の教育記録『教師修業』の記録」の中に次のことを書いてあった。

 ★ ★ ★  
  ◇今から50年も前の斎藤喜博の著書より。
 研究授業を100回することが大切だ。とあります。
 斎藤喜博は,授業の腕を上げるには,研究授業を100回せよ と言っています。
 しかも,今から50年も前にです。
 いろいろと条件があることも言っています。
 まず,指導案を書くこと。
 そして,授業後に,検討会をして,自己反省すること,です。
  ★ ★ ★

  同じように100回である。
 途方もない数字である。
 
 

 毎年研究授業を1回やっていたら100年かかる。2回で50年。4回で25年。
 普通の教師では、とてもできない数字になる。

  ★
 とにかく数多く研究授業をすることが授業の腕をあげることにつながると今まで当然のこととして考えられてきた。

 確かに多くの研究授業をこなしている教師(例えば附属小の教師など)は、授業がうまい。
 それは、今までも分かっていた。

 今まで中学の教師たちは小学校の教師たちに比べたら、授業が下手だと言われていた。
 研究授業をこなしている数の差だと考えられていた。

 私は、あまり中学の先生たちの授業を見たことがない。
 1回だけある中学校の先生の授業(5時間目、6時間目)を見て回ったことがある。
 
 

 ひどかった。
 一人の国語の先生だけは普通の授業だったが、あとは授業になっていなかった。
 一人の先生の授業は紙飛行機が飛んでいた。
 ★
 
 問題は、なぜ「研究授業」をすることが授業の腕をあげるのか。
  このことについては、あまり触れられてこなかったように思う。

 なぜか?

 ①研究授業のために、一生懸命に教材研究をし、授業づくりをするため。
 

 ②人に見てもらうために、それだけ緊張して取り組む。
 

 ③授業後に、さまざまな意見を言ってもらい、自分が気づかなかったことを
  指摘してもらう。
 ………………

  ①②もその通り。
 でも、③に注目する。
 
 

 自分の「研究授業」を対象化し、さまざまな角度から検討する。
 自分の「研究授業」を客観視できる。
 

 この積み重ねは確かに大きいはずだ。
 


 もう一度、庭野先生の指摘に立ち戻ってみる。
 

  「指導案検討をして,研究授業をすることだけが,もう,教師の指導力をつけることにはならないのではないか。研究授業と日々の授業の間にあまりにも乖離があり過ぎるからである。ふだんの教室での授業が研修・研究になるような教師の意欲が必要な時代である。研修・研究のシステムを変えなければならない。」

  ・ふだんの教室での授業が研修・研究になるような教師の意欲が必要な時代。

  ここである。

 「日常授業の改革」には、この課題の克服が必要になる。

  ★
 2つの提案がある。

 1つは、ふだんの教室での授業(日常授業)を学校全体の「研究授業」の対象にすること。

 2つ目は、「一人研究授業」をすること。

 ★
 1つ目は、実際に始めている学校がある。

  新しい提案は、2つ目。
  「一人研究授業」というのは、私がつけたネーミング。

 次のような手順で行う。

 ①日頃の日常授業(自分で試みている授業ならなおいい)をテープに吹き込

  む。

 ②それを我慢して聞く。
  ※我慢して聞かなくてはならない。45分間や50分間聞くだけでも
   大変であろう。でも、子供はそれを受けているのである。
 
 

 ③聞いて自己反省をする。きちんとメモをしていく。
  試みていることが通じているか。直したい口癖、
  無駄な言葉などないかなど。
 
 

 ④月1回行う。
 
   これだけ。
 

  でも、ここには自分の「日常授業」を対象化する作業がある。自分の授業を客観視している。
 確かに、他の人に見てもらえる「研究授業」よりも弱いが、対象化するという作業はある。

|
|

« 2/2 東京明日の教室の連絡です | トップページ | 「日常授業」の改革ということ(4)~「一人研究授業」はおもしろいかもしれない~ »

日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事

コメント

 「一人研究授業」というネーミング,とってもいいです。私自身,学級担任の晩年にこれをやっていました。
 授業が終わった後,急いで板書をノートにメモします。放課後,そのメモを見ながら,授業の様子を説明・指示・発問を明記して,学級通信に書きます。これを続けていると,自分の授業の実態をメタ認知できます。
 ただこれをやるには,書くことに慣れていること,放課後に時間があることが必要です。今の学校現場では,こんなことをするゆとりはまずないですしょう。
 そういう意味では,授業を録音して聞くのがベターでしょう。車で通勤している教師なら,通勤の時間で聞くことができます。この方法を若い教師に勧めたこともあります。
 最高の「一人研究授業」は,録音した授業を本人が文字化することです。私は若い頃に,連続7時間の授業を文字化したことがあります。
 話が変わります。「味噌汁・ご飯」の研修会,一日日程でやりませんか。19日(土」の夕方に堀先生が十日町に入ります。そこで先生のグループの方が,同じく前日に入っていただければ,20日(日)の午前10時頃から,研修会を始めることができます。会費は昼食込みで3000円程度にしたいと考えています。私は,会費が高い研修会には疑問を持っています。
 定員は最大100名を考えています。もし100名程度,集まれば野中先生のグループの方の宿泊費や旅費の補助ができると思っているのですが。
 子供たちを出してくれそうな学校を一つ見つけました。そうそう日曜日に参加してくれた子供たちは回避からお土産を持たせたいと考えています。
 今,中学校で「走れメロス」の授業をしています。4時間が終わりました。来週には終わります。
 再びこちらは大雪です。雪に負けません。
 研修会のことはまた後でご連絡します。ここで失礼します。

投稿: 庭野三省 | 2013年1月25日 (金) 21時34分

「一人研究授業」やりました。
ただ,意味合いが少し違っていて,方法等は普通の研究授業です。

本校でも研究授業は年に1回,輪番制で授業を公開して研究討議のために提供します。
しかし,輪番で当たらない教師は,いつまでたっても研究授業をしないことになり,
私自身も,現任校では校内研は一度もありません。

今年度は,学習指導要領が変わり,教科書も新しくなったということで,
授業の計画も今までとは違ったものになりました。
授業で扱う内容も自分なりに改良して,授業を進めていましたが,
自分だけではなかなか客観視できなかったので,
校内で勝手に公開研を行いました。
指導案も作成して。

私の言う「一人研究授業」は,不定期に行う研究授業でした。
でも,その目的は同じことです。自分なりに力量を高めるには,
本気で授業を考えるということを積み重ねていくことだと思うので,
同じ志を持ちつつ,私なりの「一人研究授業」を続けていきたいと思います。

投稿: 斎藤 亘 | 2013年1月28日 (月) 16時03分

斉藤先生、コメントありがとうございます。
 ぜひとも「一人研究授業」を続けてください。
 その場合、その研究授業を客観視できる状態をどのように作るかどうかですね。
 ぜひ、録音して自分もまた聞いてみて下さい。

投稿: 野中信行 | 2013年1月30日 (水) 13時06分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/520860/56593609

この記事へのトラックバック一覧です: 「日常授業の改革」ということ(3)~「一人研究授業」の提案~:

« 2/2 東京明日の教室の連絡です | トップページ | 「日常授業」の改革ということ(4)~「一人研究授業」はおもしろいかもしれない~ »