初任者の授業技量を上げていくこと(2)
初任者が授業を技量を上げていくことについてである。
これについて考えてみる。
初任者が1時間の授業を成立させていくための必須の要素(手立てなど)は何か。
このように問題を立ててみる。
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ほとんどの初任者は、毎日の授業をこなしていくために、教えるべき教材を確認し、すぐに指導書を読み、ノートなどに教えていく順序などを書き抜いていくのであろう。
そこで実際に授業を展開していくときに、さしあたってどんな手立て(教育技術など)が必要になってくるのであろうか。
★
三浦の昨日の講座で、集まっていた初任者と臨採の先生たちに、自分の授業の問題点を1つに絞って言ってもらった。
何人もの先生が、「しゃべりすぎている」ことをあげられていた。
私たちが問題視する「おしゃべり授業」である。
初任者は、ほとんど全員と言っていいが「しゃべりすぎていく」。
くどくどと、説明をしすぎる。
私が何人も見てきた「おしゃべり授業」は、発問なのか、指示なのか、説明なのか不明確なままに一本調子に平板に進んでいく。
でも、これを指摘して、明日から「しゃべりすぎ」を直していけるのかと言ったら、
ほとんどできないであろう。
手立ても何もないからである。
もともと一斉授業は、教師が授業の流れを作っていくので、教師の「しゃべり」が中心に展開されていく。これは仕方がない。
だが、授業の90%も教師が話しているというのはやり過ぎである。
これを90%→50%ぐらいに少なくしていかなくてはならない。
どうするか?
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まず第一の手立ては、「指導言」の区別をつけて授業を展開できるようにすること。
指導言とは、発問、指示、説明である。
自分は今発問をしているのだ。
自分は今指示を出しているのだ。
自分は今説明をしているのだ。
このことを自覚して授業を展開していくことになる。
そうすると、「しゃべりすぎ」がいくらか軽減されていく。
主要な発問の時は、ノートに予想を書かせる。
指示のあとは、机間巡視をする。
説明は、分かりやすく簡略に済ませる。
このようにそれぞれ「指導言」の違いによって、次からの「活動」が違ってくる。
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次にどんな手立てが必要になってくるのであろうか。
説明の時の手立てで、「一時に一事の原則」が使えなくてはならない。
これは向山洋一先生の「授業の腕を上げる法則」(明治新書)に載せてある法則の1つ。
三浦の中学校のI先生の「グループ活動2」のところは、この原則を使っていないために生徒たちにほとんど徹底していなかった。
私なら、次のようにするだろう。
1,グループ作りをしなさい。(すごい!○班ははやいですね)
2,体を私の方へむけなさい。<小学生なら、「おへそをこちらへ向けなさい」>
(AさんBさん、Cさんは、はやい!素晴らしい。Dさん、Dさん、こちらへ体
を向けなさい)
3、今からゲームをします。ルールを確認します。
指を折って、一つ一つ確認していきます。
1つ、……。
2つ目、……。
3つ目、……。
もう一度、確認しますよ。(よく指を折っていますね。いいですよ。)
質問はありませんか?
4,それでは始めていきます。はじめ!
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次に何が必要だろうか。
生徒たちの「活動」がきちんとなされているのかを「机間巡視」しなくてはならない。
できていない班は、できるように指導をしなくてはならない。
★
「フォローの技術」も必要である。
これは山口の中村健一先生が「学級担任に絶対必要なフォローの技術」(黎明書房)で紹介された技術でもある。
とても重要な技術だと考えている。
上の「一時に一事の原則」のところで、( )の中はフォローを書いている。
何か活動をさせていく場合。何か指導していく場合。
このフォローをセットで考えていく必要がある。
フリ…教師の指導
オチ…子供たちの活動
フォロー…子供の活動で、がんばっている子供たちを褒めたり、認めたりの評価。
この「フォローの技術」が今時の子供たちを動かしていく技術であると中村先生は主張されている。
私もそう思う。
★
「指導言」の区別、一時に一事の原則、机間巡視、フォローの技術。
まず、このような手立てから初任者は、自分の授業を組み立てていく方法を身につけていくといいのだと、私は考えてみた。
講座では、「全員参加」への手立てをどう取るかを強調したのだが、これは授業を成立させていく大きな目標になる。
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