教育ルネサンスフォーラムへ参加しました!
読売新聞東京本社主催の教育ルネサンスフォーラム 第8回「教師力シンポジウム」に参加した。
パネルディスカッション「教員免許制度改革と今後の教員養成」にパネリストとして参加。
ゲストとして、今の初任者指導の現状を提起してほしいという要請であった。
ただ、パネルの時間は、75分。パネリストは5人。
話す時間は、一人15分以内。現状の問題提起は、5分ぐらいで収めてほしいということ。
これはむずかしい。
何を話すのか。戸惑った。
ほんとうならもはやこういう会への参加は断らなければいけないのだが、一度初任者指導の問題点を大きな会で提起しておきたいという思いがこうなった。
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今初任者が抱えている現実の問題点を3点指摘した。
初任者の担任するクラスが荒れていく現状の問題点。
1つ目は、初任者が学級づくり(学級経営)の方法を身につけていないこと。
2つ目は、初任者が子供たちと関係づける方法を身につけていないこと。
3つ目は、初任者研修の問題点。
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1つ目の学級づくりの問題点。
学級づくりは、主にクラスの子供たちを落ち着かせ、安定させていく役割を担っている。
4月の1ヶ月は1年間のなかで80%を決定していく。
ところが、初任者はどこからも誰からも教えられていないので、周りの先生の見よう見まねで進めていく以外にない。
だから、どうしても一歩遅れてしまうし、肝心なポイントが分からないのでスムーズに進めることができない。
2つ目の関係づくりの問題点。
担任は、子供たちと関係を作っていくためには「距離」の取り方が問題になる。
教師と生徒の関係を作るためには、どうしても距離をぐっと離して指導をしなければいけない。
また、生徒と心の通い合いをするためには離れていた距離をぐっと近づけなければいけない。
この2つのことができて「教師」としての関係づくりができる。
ところが、初任者はこの関係づくりが分かっていないために、最初から友達みたいな関係を作ってしまう。
子供たちは最初は歓迎するが、しばらく経っていくと反発をしてクラスがうまくいかなくなってしまう。
3つ目は、初任者研修の多さ。
ほんとうなら初任者はじっくりと子供たちと一緒にいる時間を保障してあげなくてはならない。
ところが、今の研究の多さは初任者を教室から離して、関係づくりができないようにしてしまっている。
校内研修は、週10時間以上 年間300時間。
校外研修は、年間25日以上。
これを考えていかなければいけない。
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大まかに言えば、以上のような提案であった。
これで精一杯の5分間。
1つ目と2つ目は、大学の課題である。
他にどこが教えようもないのである。
ところが、ほとんどの大学はこのことについては教えない。
そのために初任者は戸惑ってしまうのである。
大学の教員免許の単位は、三分の二以上が教科についての単位になっている。
学級づくりや学級経営の単位はない。
これは文科省のカリキュラムがそうなっているので、大学は教える必要がないといえばその通りである。
しかし、そうは言ってはいられない現状のはずである。
大学の教員養成の役割は、免許を取らせることが目的ではなく、現場で教師としてやっていける力をつけてあげることであるはずである。
こんなことは当たり前ではないか。
こんな当たり前のことがほとんど考えられていない現状は、嘆かわしいことだ。
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今回の中教審の免許制度の改革や教員養成の改革では、こういうところへの視座はほとんど読み取れないのはまことに残念なことである。
初任者研修が、必要がないと言っているわけではない。
初任者を教室から離しての研修の多さを問題にしているのである。
北海道教育委員会は、学校力向上の取り組みの中で、指定した7校には初任者研修の自校実施を指導している。
今までの教育委員会での初任者研修では、どうしても初任者を教室から離していくことが多いということで、自校で初任者研修をしてほしいという取り組みである。
私が聞いた範囲では、1つの学校では近隣校4校の初任者を集めて、協同で初任者指導をしているということ。
ほとんどが放課後の実施だという。
できるのである。
私はこういう試みがどんどん出てこなければいけないと考えている。
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