「学級づくり」と「授業づくり」ということ
池田修先生が、フェイスブックで次のように書かれている。
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新卒は、学級経営が大変。だから、学級づくりから頑張れとエールを送っている。しかし、学級が安定したら授業が上手く行くかと言えば、それは別。
学級が安定しないから学級を安定させるであって、安定した所で授業がちゃんと出来ると言うことではない。ここを間違えてはならない。
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ちょっとだけ異論があるが、この通りだと思う。
私が3年間初任者指導をしてきたが、その経験から言うと、学級づくりが安定してきたら、授業も安定してくる。
学級が安定してきたら、授業がとてもやりやすくなる。
子供たちがよく動いてくれるようになるという意味である。
私が担当した初任の先生のクラスは、学級づくりを目標達成法を中心に成立させていったのだが、実にみごとなクラスになっていた。
そうしたら、授業もとてもスムーズにいくようになった。
授業づくりが格段にうまくなったわけではない。
それは初任者の授業でしかなかったが、授業も安定してきたのである。
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だが、学級が安定してきたら、それで満足しているようでは困るという意味で池田先生に賛成である。本来はそれを池田先生は言いたいのであろう。
学級づくり(学級経営)と授業づくりは、本来それぞれの役割を持っていると考えてきた。
もちろん、それぞれが相互に影響を与えることは当然である。
だけど、授業づくりと学級づくりが一体であるということはない。
それが一体とするならば、中学校や高校ではどうなるのであろうか。
授業は教科によって、やり方はそれぞれの先生で違う。
一体になりようがないではないか。
やはり、それは担任である先生が、きちんと学級経営をしていくことなのである。
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私は、「学級づくり」と「授業づくり」はそれぞれに中心的な役割があると主張してきた。
学級づくり(学級経営)は、学級を安定させ、落ち着かせる役割が主である。
授業づくりは、学力形成が主の役割がある。
学級は、最初の1ヶ月は主として学級づくりに主眼をおいて(もちろん授業づくりも同時進行ではあるが)土台づくりとして取り組み、その土台の上に授業づくりを追求していくという構図で主張してきた。
学級が安定してきたら、それで終わりではない。
授業づくりがあるのである。
その授業づくりの追求で、さらに学級が盛り上がっていくという機能はもちろんある。
3年間の初任者指導の結果は、はっきりそれで確かめている。
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反対に、最初から「授業づくり」を最優先させてきた初任者指導の先生たちは、私が聞く限りにおいてほとんど失敗している。
始業式の次の日から指導案を書かせて、授業に全力で取り組ませてきたクラスは、ことごとくクラスが荒れていた。
「学級づくり」をいい加減にしているのである。
ただでさえ忙しい毎日に、指導案をいくつも書かせていくということは初任者を混乱させる。
担任として学級づくりに全力を尽くさなくてはならない日々なのである。
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私が主張している「学級づくり」は、1ヶ月で30の指導項目がある。
ほとんど1回の指導でいい項目が9個、最低3回の指導が必要なものが12個、常時指導が必要なものが9個になる。
たとえば、常時指導には、掃除指導、当番指導、日直指導、給食指導などが入る。
これは繰り返し繰り返し徹底的に指導していくものである。
徹底的に指導するというのは、子供たちが自分たちでできるようにするためである。
指導のポイントがある。
これらを1ヶ月できちんと指導して、安定した学級を作り上げていくのである。
こんなことを初任者は誰からも、どこからも教えてもらえていない。
だから、7,8割の学級が不安定になるのである。
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