ある教育委員会のトップの方が次のようにフェイスブックで呟かれていることに注目した。
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週にいっぺんくらい、これから研修会ですという人や今日は研修会でしたという人が僕の席に挨拶に訪れます。「その研修で明日の実践が目に見えて変わるんですね」と笑顔で問いかけます。すると皆さん困った顔をされます。いつから研修は役に立たないものになったのでしょうか。
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「官制研修」は相変わらずどこでも頻繁に行われている。
私も、そこへ呼ばれて行く。
かなり多い。
「役に立つ研修になっているのか」と言われると口ごもってしまう。
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正直に告白すると、私は37年間の教師生活で、教育委員会関係の研修会に参加したことは数えるほどしかない。
義務的に区の研修会には参加していた。
主任の肩書きがあると、参加せざるを得ないことがあるのである。
ところが、市の研修会に参加したことなど数えるほど。
最初から出なかったわけではない。
何度か出ていくうちに「ああっ、こんな研修会に行くより教室で子供たちと過ごす方が絶対に良い」と思って行くのを止めてしまった。
今から考えてみれば、ちょっと傲慢なところがあったのかもしれない。
学ぼうとすれば、どこにもその場はあるからである。
民間の研究会へ参加していたのかと言われれば、そうでもない。
確かに、官制研修よりも民間の研究会へ出る方が多かったかもしれないが、ほとんど教室で過ごすことが多かった教師生活であった。
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その研修が、最近はどうにもならなくなっているとよく聞く。
とにかく人が集まらない。
集まってもほとんど寝ている。
行かなければいけないから、仕方なく来ているのである。
だからほとんど役に立たない。
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10月1日も、私はM市の教育委員会から呼ばれて授業研究会に行く。
M市の研究主任の先生たちが集まっておられる。
今までも行われていたらしい。
どのような先生が来て授業をされていたのか聞くと、〇〇大学附属のN先生など。
日本を代表するような有名な先生である。
そこへ私も呼ばれて授業をする。身が竦むような思い。
私のように授業下手であった者がいいのであろうか。
4年生の教室で授業をする。
終わってからの講座でも模擬授業をしながら、「味噌汁・ご飯」授業のことについて説明する。
「味噌汁・ご飯」授業でいいからということで、私も引き受けているのである。
何せ70点の授業でいいのであるから気軽である。
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何かが変わろうとしているという予感がする。
日本各地を回り、各地で話をする。
実に集中して耳を傾けてもらえる。
とくに、「味噌汁・ご飯」授業はすごい。
私がそこで授業をしているのである。
教育委員会も変わろうとされている。
今までの方法ではだめだと真剣に考えられている。
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私の義兄は佐賀で10年間体育の指導主事をしていた。
(もうとっくに退職しているのだが…。)
この義兄は、ほとんどの研修会を自分で授業をして成立させていた。
一番説得力がある。
現場で、授業を問題にしているのである。
自分が主張していることを授業をして見せて、そのことで話をするのである。
どこなことでも言うことはできる。
そんなことは誰でもできる。
でも、授業でその主張を見せて示せなければまったく意味がない。
それが指導主事である。
私は横浜で37年間一度として指導主事の授業を見たことがない。
「指導助言することを自分の授業でやってみろよ。私のクラスを貸すから」
といつも思っていた。(さすがに指導主事に言ったことはなかったが…)
私はとんでもないことを言っているつもりはない。
しごく当たり前のことを言っているのである。
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研修を変えるべきである。
受講者の「今」を揺さぶり、受講者の「明日」を刺激する研修に変えていくべきである。
そうだったんだ!と頷きが生まれ、そういう視点があったのだと気づかれる、そういう研修に変えていくべきである。
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