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初任者の明日がかかっている!

 朝日新聞に次のような記事が出る。
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 静岡県磐田市の小学校に採用された半年後、自ら命を絶った木村百合子さん(当時24)。この自殺について東京高裁は、一審・静岡地裁に続いて公務災害だと認定した。
 校務外の要因でうつ病を発症、自殺したと主張していた地方公務員災害補償基金(本部・東京)は上告を断念、8月3日に判決が確定した。(記者有論 静岡総局小林太一)
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 この木村百合子さんの自殺については、さまざまなところでの報道で知っておられる方が多いであろう。
 百合子さんが残した研修記録には、赴任初日の4月1日に「分からないことは周りの先生方に聞いて学びたい。これから始まる1年間がとても楽しみでわくわくしている」と書かれてある。
 しかし、担任をした4年生の学級で、発達障害が疑われる児童の対応に悩む。
 5月には、鬱病を発症。
 その頃は「抜け落ちたように気力がなくなった」と書かれていた。
 上司の前で床に突っ伏して泣き、学級運営に悩んでいると伝え、「授業中の教室に来て自分を見ていてほしい」と懇願。そして2004年9月末、命を絶った。
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  このような記事が書かれている。
 何とも残念である。公務災害が確定しても百合子さんは戻らない。
 「学び合い」の西川純先生は、新聞記事で「今の初任者は丁半のばくちにさらされている」というようなことを書かれていたことがある。
 初任者を育てようと思っている学校へ赴任するか、そんな思いがなく自分だけで精一杯の学校へ赴任するかで、初任者は大きな岐路に分かれるという内容である。
 百合子先生は後者の学校へ赴任したのである。
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 初任者は発達障害の子供にはなかなか対応できない。
 べったりの対応になってしまい、8割の子供たちはおいておかれる。
 学級づくり、学級経営については大学ではほとんど学んでいない。
 周りの職員もいろいろ教えないとするなら、もはや絶望的な状況になる。
 どんなやる気がある初任者でも潰れてしまう。
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 私は百合子先生の自殺を契機に、明治図書からの「新卒教師時代を生き抜く」シリーズの刊行を始めている。
 そして、来年の3月には、「初任者・1月のシナリオ」「初任者研修の紙上ライブ」などをまとめた本を出版する。
 このシリーズの一連の本を読み進めば、少なくともクラスを何とかすることができるはずだという願いを込めている。
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 なぜ一介の教師だったものがこんなことに必死にならなければいけないのか。
 なぜ文科省や大学は、もっと必死にならないのか。
 ぜひともこの疑問に正対してもらいたい。
 初任者の明日がかかっているのである。

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日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事

コメント

理念や理想だけではなく、現実に対応できる力を育てたいと改めて思います。一年目を駆け抜けられるあれこれを、本当に教師を目指したいと考えている学生たちに伝えたいと思います。

投稿: 池田修 | 2012年9月 8日 (土) 10時00分

私も「初任者は2年目よりも100倍大変だ」と言われて初任の1年を過ごしてきました。仕事の見通しがうまく持てない、何もかも初めての仕事内容、子どもへの対応がうまくできない…初任者の直面する困難は挙げればキリがありません。
しかし、周りの先生方の支えがあるからこそ「1年目を乗り切れば何とかなる」と思い、やってこれました。
きっと、百合子先生は周りの支えが得られず、苦悩の中で命を絶たれたのでしょう。希望に溢れて教員になり、すぐに直面した困難。しかし、誰も助けてくれない。百合子先生の苦悩は、想像を絶するものがあります。
野中先生が発信されていることは、全国の初任者にとって、若手教員にとって、明日への希望になっています。

投稿: 佐藤玄輝 | 2012年9月 9日 (日) 16時34分

野中先生
その後体調はいかかでしょうか。

私事ですが,40を過ぎてから様々なところが
悪くなり,もう若いころのように
無理は利かない体になっているな
と感じさせられる日々です。

野中先生も,まだまだ暑い時節柄,何卒ご自愛ください。

初めて投稿させていただきます。
私も現場の教師ですが
若いころから良いと思われる教育理論や
教育実践はどんどん学んで取り入れて
現場で使ってきました。
それなりの成果も収めてきたようにも考えますが
40代で大きな課題に学級で向き合うことになり
体調をくずことがありました。

現在,現場で日々様々な問題に直面して
疲弊されている先生方のために

「岡山県教師を支える会・沢田の杖塾」の
ホームページを作成して運営させていただいています。

会の主宰は,森口章先生で,公立高校を退職してから
ずっとこの会の中心となって支えてくださっています。

活動の様子がNHK岡山放送局の番組になったり,5月には
TBSの報道特集で静岡県磐田市の小学校に採用された半年後、
自ら命を絶った木村百合子さんの追い詰められていた様子の
番組とともに,私たちがしている「沢田の杖塾」の活動の様子や
教職を目指すことに不安を感じている千葉大学の学生の様子などが
報道されました。

一度ホームページを見ていただけたら幸いです。
よろしくお願いいたします。http://www010.upp.so-net.ne.jp/sky-coffee/

また,機会があれば,会でお会いすることができたらと身勝手ながら思っています。

投稿: hamada | 2012年9月 9日 (日) 23時30分

hamadaさん、コメントありがとうございます。
体調の方はまだ万全とはいきませんが、快方に向かっています。
杖塾のことはテレビで放映されて知っておりました。いろいろな活動をされていたのですね。
がんばってくださいよ。私も微力ながらできることは精一杯しようと思っています。
お会いする日がくるかもしれませんね。

投稿: 野中信行 | 2012年9月11日 (火) 17時28分

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