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大津いじめ自殺事件~その4 いじめに対する授業づくり~

   大津のいじめ自殺事件について大きな転換があった。
 警察の捜査が学校や教育委員会に入ったのである。
 どうして今頃なのか。
 自殺があってもう9ヶ月も経っているのである。
 今まで父親は3度も被害届を警察に出しているが受理されていない。
 おかしなことである。
 おかしなことが他にもある。
 アンケートの結果からすれば多くの生徒達が今回のいじめに気づいている。
 また、教師たちも気づいている節がある。
 それなのにきちんと拘わろうとしていない。
 普通では考えられない事態である。
 千葉大学の藤川大祐先生もブログの中で次のように書かれている。

 ★ ★ ★
 1)被害者が亡くなる以前に、いじめについて多くの生徒が知っていた上に担任も知っていたという状況があり、しかも被害者が担任に相談していたという報道もある。このような中で担任が問題解決のためにほとんど動いていないように見えるが、そうだとしたら異常に思われる。学校あるいは地域において、被害生徒に対する差別的な感情が広がっていて、多くの関係者が「あの生徒はいじめられてよい」と考えていたとしか思えない。何らかの要因があってそもそもひどい差別がなされていたのではないか。

2)被害者が亡くなる前にも亡くなった後も、被害者や親族から警察に相談があったにもかかわらず、警察は被害届を受理せず捜査をしていないと報じられている。これが事実だとすると、警察の対応に強い違和感を覚える。明らかに犯罪と言えることが多く報じられており、警察が刑事事件として動いて当然の事案であろう。実際に本日になって市教委や学校を捜索しているとのことだが、これほど騒がれないと動かない背景には、何か事情があるのではないか。
 ★ ★ ★

 ★
 ここに何があるのか。今までは明らかにされていない。
 それでもこれで問題は大きく進んでいくと思われる。
 多くの人が今回のことで憂慮しているのは、加害者の生徒達3人の行為がうやむやにされていく事態に対してである。
 今までもうやむやにされてきて、同じことの繰り返しをしてきているのだ。
 いじめは犯罪であり、その犯罪を犯した者はきちんと刑事事件として捜査され、逮捕される事態をきちんと生徒達に明らかにしなければいけない。
 いじめは確信犯的になされるので、今回の事態をうやむやにしないで、はっきり明示することは絶対に必要なことである。
 そうすることで、今なされている「いじめ」が半減していく。(期待を込めて)
 ★
 前回のブログで、いじめ対策として学校システムの必要性を書いた。
 学級担任として私は「いじめ」にどう対処していたのか。
 これも明らかにしておきたい。
 ★
 クラス担任をしてすぐに私は子供たちに対して、いつも「教師が大切にすること3つ」を話していた。
 次のようにである。

 ★ ★ ★
 これから1年間みんなと一緒に生活していきます。そこで、私がとても大切にしていることをお話しします。
 3つあるのです。
 まず、第1に大切にすることは、いじめを許さないことです。これをする人には、野中先生は最も怖い先生になります。野中先生は気づかないだろうからとこそこそといじめをする人がいます。でも、私は必ず探し出します。絶対にいじめを許さないのです。 

★ ★ ★

 こういうことから学級を始めていった。
 更に、次のような道徳の授業をした。
 絵本「わたしのいもうと」(松谷みよ子・文 味戸ケイコ・絵 偕成社)を使っての授業である。
 この絵本は、知人から届いた一通の手紙をもとに書かれた創作である。実話をもとにした創作になる。何度読んでも、「いじめ」の悲惨さ、卑劣さが強く読み手に伝わってくる。
 この道徳の授業は、法則化運動時代の石黒修先生が提起されてあったのを追試したものである。(元になるものが消失しているので記憶ではそうだったと思っている)
 

 ★ ★ ★
 私は次のように授業をした。

 1,プリントを配布。すぐ名前を書きなさい。
 2,前の方に集まりなさい。
  3,これは松谷みよ子さんが書いた絵本です。ほんとうにあった話を絵本にしました。
 4,読んでみます。
 5,途中までにします。席に戻りなさい。
 6,今読んだものをプリントにしました。配ります。
 7,ここで考えます。
  「今読んであげたところで、思ったことや考えたことをプリントの1番に書きます。
   ずばり簡単に書きなさい。」(3分)
 8,止めなさい。発表します。どうぞ。(列指名)
 9,それでは、問題の2番に書きます。
  「この妹は、このあとどうなるでしょうか?」
   ずばり簡単に書きなさい。(2分)
 10、やめなさい。発表します。どうぞ。(列指名)
 11、「では、いいですか。いじめた人たちはこのあとどうなるでしょうか?
    プリントの3番に書きます。」
 12、それでは、後半の部分を読みます。
   前に集まります。
 13、席に戻ります。
 14、プリントを配ります。
 15、妹はどうなりましたか。
 16、いじめた人たちはどうなりましたか。
 17、妹はひっそりと死にました。いじめた人たちは、高校生になってまどのそと

   を通っています。わらいながらおしゃべりしながら……。
 18、こんな結果になってしまいました。みなさんはこの結果をどのように考えま 

   すか。プリントの4番に書きます。
 19、やめなさい。発表します。どうぞ。(列指名)
 20、ここに「いじめ」がどのようになるのか、新聞記事を持ってきました。
   簡単に説明します。
 21、どうしてこんな大変なことになるいじめが続くのでしょうか。
   これについてはこれからも勉強していきたいですね。
   でも、1つだけこんな悲惨ないじめをやめられる方法があるのです。
   このクラスには、運動ができる人、できない人がいます。背が高い人、低い

   人がいます。いろいろ違いますね。一人一人みんな違います。みんな違う

   のですから、みんなで助け合えばいいのです。 
      むかし、詩人がそのことを詩にしました。
 22、はりだす。
 23、3年生の時、勉強しましたね。
   いっしょに読んでみましょう。
 24、この中で「みんなちがってみんないい」という考えがクラスのいやこの社会

   の考えになったとき、こんな悲惨ないじめはなくなりますよ。「みんなちがっ

   てみんないい」という、そんな社会を作りたいですね。頑張りましょう。終わり

   ます。
  
 

 ★ ★ ★
 1997年(平成9年)にこの授業を初めて行って、ずっと続けてきた授業になる。 この絵本を読むたびに、私は何度も涙ぐんでしまう。
 実話にもとづくのでなおさら大変である。
 なお、いじめ対策の学校システムとこの授業についてのくわしい資料がほしいという方は、私のメールまで連絡をしてください。
 PDF資料を送付します。

 kazenifukarete●hkg.odn.ne.jp (●のところへ@を入れて下さい)

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