「味噌汁・ご飯」授業 その2
37年間、私は子供たちの顔を真正面から見ながら授業をし続けてきた。
たいした授業ではなかったが、いつも心にあったのは「おもしろい、楽しい」授業をしたいという思いだった。
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退職して初任者指導を3年間行った。
今度は子供たちの背中を見ながら、子供目線で初任者の授業を参観した。
それこそ初任者の、ほんとの普通の授業を見たのである。
考えてみれば、このようにまるまる普通の授業を見ることなど37年間一度もなかったのである。
見てきたのは、他の教師たちの研究授業がほとんどだった。
見ながらびっくりした。
真正面から見た子供の顔と、後ろから見た子供たちの背中と、全然違う。
真正面から見ていたときには、子供たちはいつも「おもしろい、楽しい」授業を望んでいると思い込んでいた。
しかし、後ろから見た子供たちの背中はそんなことを望んではいない。
初任者の授業だからかもしれないと最初そう思った。
しかし、そうでもない。
子供たちはそんなに大きな期待など持っていない。
どうしてもそのように背中は答えているように思えたのである。
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ただ、その背中はときにゆがんで、拒んでいるようにも思えた。
教師の長々と続く説明である。
子供たちは、長々と続く教師のおしゃべりに、その背中は拒否感を鮮明にしているように思えた。
「おもしろいとか、楽しいとか、そんなことでなくていいからもっと活動させてくれよ!」
「体を動かしたり、考えさせたり、行動させたり、…そういうのをやってくれよ!」
と背中は訴えてるように思えた。
初任者指導を3年間やらなかったら、このような「背中」を見ることはなかったであろう。
「野中先生、それはあんたの思い違いだよ!」と言われるかもしれない。
でも、そのように見えてしまったのである。
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「味噌汁・ご飯」授業・学級づくり研究会(通称「みそ・学研究会」)では、「味噌汁・ご飯」授業を「活動」で考えている。
もちろん、単元目標も、本時のねらいも、きちんと設定して、あとはどんな「活動」で授業を組んでいこうかと考える。
これは従来の「味噌汁・ご飯」授業で提起してきたこととまったく違っている。
子供目線で、いかに活動させていくかという視点から授業づくりを始めている。
「活動」を授業づくりの中心におこうということになる。
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活動は、8つの基本型を設定している。
聞く、見る、読む、おぼえる
書く、話す、話し合う、動く
今までは、「聞く・見る」などは活動には入っていなかった。
でも、言語活動の中の、一つの活動として考えていいのだと思う。
広く活動を考えている。
「動く」は、図工で作品を描く、理科で実験をする、体育で体を動かす…など全ての動きとした。
そうすると、この8つの活動が授業の中での子供たちの活動の姿として描ききれるのではないかと思ったのである。
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子供たちが拒否感を示しているのは、ほとんど「聞く」という活動を強いられる授業。教師側にとってはしゃべり散らす授業になる。
私たちは「おしゃべり授業」と名付けている。
まず、日常授業で展開されている「おしゃべり授業」をどう克服していくのかが「味噌汁・ご飯」授業の課題になる。
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