2つのブログに注目する!
最近、2つのブログに目を止めた。
いずれも「大阪維新の会」を話題にしたブログである。
1つは、池田修先生のブログ。
もう1つは、内田樹先生のブログ。
それを紹介しておこう。
最初は、池田先生のブログから。どこかの新聞記事だろうか。
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維新の教育条例案に異論噴出、陰山委員「間違っている」
大阪府の橋下徹知事が率いる地域政党「大阪維新の会」が府と大阪市の9月議会に提出を予定している「教育基本条例案」について、16日に開かれた定例の大阪府教育委員会会議で異論が噴出。なかでも「百ます計算」で知られ、学力向上を掲げる橋下知事の要請で教育委員に就任した陰山英男委員が、教員の管理を強化すれば現場がよくなるという発想は根本から間違っているとして、「(可決されれば)辞めますよ」などと激しく反発した。
約90分の話し合いのうち、大半を条例への反発と疑問が占めた。
特に異論が相次いだのが、一定の比率の教員に最低評価を行わなければならないなどと定めた管理強化の規定。陰山委員は「あの先生を辞めさせたいといういじめが始まる」「評価者の方向ばかり向く教員や、一部の保護者とつるむ教員も出てきます。(現場は)むちゃくちゃになりますよ」などと反対理由を述べ、「これで学力が上がりますか、先生のやる気が上がりますか」と訴えた。
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次のブログは、内田先生が書かれたもの。
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神戸新聞に隔週で「随想」というコラムを書いている(これが二回目)。神戸新聞を読んでいない方のために再録しておく。
これは先週書いたもの。
橋下大阪府知事は、持論である大阪都構想に賛成の市職員を抜擢し、反対する市職員を降格するためのリスト作りを維新の会所属の大阪市議に指示した。
首長選の候補者が選挙に先立って公約への賛否を自治体職員の「踏み絵」にするというのは異例の事態である。
公務員が遵守義務を負うのは、憲法と法律・条例と就業規則だけのはずである。「大阪都」構想は、その当否は措いて、今のところ一政治家の私念に過ぎない。それへ賛否が公務員の将来的な考課事由になるということは法理的にありえまい。
まだ市長になっていない人物が市職員に要求している以上、これは彼に対する「私的な忠誠」と言う他ない。彼はそれを「処罰されるリスクへの恐怖」によって手に入れようとしている。
私はこの手法に反対である。
脅迫や利益誘導によって政治的意見を操作してはならない。私はそう信じている。それは強制された政治的意見は必ず間違っていると思うからではない。暴力的に強制されたのだが「内容的には正しい政策」というものは論理的には存在しうる。
私は政策の当否について論じているのではない。
「強いられた政治的意見」は「自発的な政治的意見」より歯止めを失って暴走する傾向が強いことを案じているのである。
歴史を振り返るとわかるが、「強制された政治的意見」を人々は状況が変わるといとも簡単に捨て去る。
後になって「ほんとうは反対だったのだが、あのときは反対できる空気ではなかった」という言い訳が通ると思えば、人はどれほど過激な政策にも同調する。私が恐れるのはそのことである。
あからさまな強制は、それに屈服した人たちに「説得力のある言い訳」を用意してくれる。その「安心」が人を蝕む。
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「大阪維新の会」の正体が表れてきたのであろう。
橋本知事は、大阪府民の圧倒的な支持の元に誕生した。
今でも多くの府民から支持されている。
しかし、危うさもあった。
今、日本全体が強い指導者を求めている。
それに格好な存在の一人が橋本知事になる。
でも、私たちは慎重に見極めなければいけない。
強い指導者を求める基盤には、ともすればファッシズムの温床が潜んでいる。
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ヒトラーは政権を取ると最初に労働組合を解体し、ストライキを禁止している。
ところがおもしろいことに、「労働組合」を廃止し、「労働戦線」を組織している。労働幹部を引き抜き、労働戦線の指導者的な立場につけている。
労働環境は悪化していくように思われるが、ナチスの根幹は「ドイツ労働党」であり、明らかに労働者の味方の政策を打ち出しまくっている。
労働時間は8時間と定め、有給休暇を導入し、健康診断も徹底。
1930年代にしてすでに福利厚生にも注力し、100人以上の労働者がいる職場には格安で食べることのできる社員食堂の設置を法律で義務づけたという。
驚かされるのは母子支援で、貧困家庭にはパン、ミルク、寝具が無償で提供されたという。
1928年に世界大恐慌がおこり、その後に失業者が大量に発生し、1932年には557.5万人になる。1933年に政権を取ったヒトラーは、1934年には271.8万人まで減らしている。半減だ。さらに、1938年には42.9万人に減少。
重たすぎる戦後賠償とハイパーインフレを背負って虫の息だったドイツが、奇跡的なピッチで雇用問題を解決してみせている。
ヒトラーは、最初にこんなことに力を入れて人々の支援を惹きつけている。
こうして多くのドイツ国民は、圧倒的な支援をヒトラーに送ることになる。
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私たちは、この歴史的事実を見逃すべきではない。
慎重にその指導者がどんなことをやろうとしているのか、見極めなければならない。
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