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研究授業を変えていこう!

   新潟の十日町市立東小学校の研修会で、赤坂真二先生が印象的な発言をされた。

 「授業と学級づくりは車の両輪だと言われてきたが、今はそれを超えて表裏一体と考える」
 
  それほどまでに「学級づくり」の大切さを表明したものである。
 私は、以前から強調してきたことは次のことだ。

 学級づくりの土台の上に授業が乗っていく。

  「学級づくりをきちんとできない限り、授業もうまく乗っていくことはできない」ことを主張してきた。
 だから、4月の1ヶ月は精力的に学級づくりへ奔走し、(もちろん授業も同時進行だが)その土台の上に「授業づくり」を本格化するというのが私が描く図式になる。
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 昨日、K小学校での懇親会の席で、重点研究で「学級づくり」が取り組みの対象にならないものかが話題になっていた。
 学校の重点研究が、授業研究になっていることは日本全国ほとんどといっていい。
 戦後教育の歴史のなかでは、当たり前の常識になっていた。
「授業で子供たちを変えていく」という歴史である。
 学級づくりは、学級経営の大切さという形で追求されてきたが、多くの先生たちにとってはそんなに大きな課題になることはなかった。
 とにかく多くの先生たちにとっては、「研究授業」なのだ。
 運動会や修学旅行や学習発表会などの行事以上に、先生たちが重要視するのは、「研究授業」になっていた。
 自分のプライドをかけて、何としても研究授業をうまくこなして、「良い授業だったね」「子供たちがうまく育っているね」と褒めてもらいたいと内心先生たちは思っているはずである。
 ところが、現実的にはほとんどが行事消化的な研究授業になってしまっていて、決まりきった研究紀要にまとめられて終わり。
 その研究紀要は、書いた本人が自分の原稿をざっと目を通すだけで、誰も読まない代物だ。
 研究授業だと言っているが、学校で研究ができるはずがない。
 研究テーマを掲げ、研究仮説などを設けているが、ただの付け足しである。
 研究成果を見ても、ほとんどがおざなりの結果が書かれているはずである。
 ★
 一生懸命に研究授業をやっているところに水を差すようなことばかりを言っていることになる。
 しかし、冷静に分析してほしい。
 今やっている研究授業が、学校の先生たちの日常授業につながるものになっているのであろうか。
 研究授業の積み重ねで、先生たちの授業が確かに向上しているのであろうか。
 私はほとんどないのではないかと思っている。
 なぜなら、今の研究授業のシステムは、そのようになっていないから。
 ★
 私は、2年前に札幌の山の手南小学校の全クラスの授業を見せてもらった。
 この学校の重点研究の研究テーマが「確かな学力を育成する日常授業の改善」だった。
 見事なテーマだと思った。
 日常授業を改善できない重点研究などどんな意味があるのかとさえ思った。
 研究授業を改めて、研修授業にしていけばいい。
 日常授業を改善していくために、どんな授業をしていけばいいか。
 このテーマで、さまざまな授業をお互いに見せ合って、お互いの授業を向上させていけばいい。
 そこでは授業名人が唸るような授業を公開することはない。
 多くの子供たちが双方に分かれて、がんがん討論をするような授業でなくていい。
 そんな授業は誰もまねができない。
 「あっ、そういうふうに変えていけばいいのか!」「ああいうふうに子供へ指示を出していくのか!」「ああいう発言を子供たちにさせていけばいいのか!」……というヒントをさまざまに提起していける、そんな授業がいい。
 授業は決してうまい授業でなくていい。
 先生たちが批判的に摂取できる授業であればいい。
 学校の先生たちが日頃行っている「日常授業」につながっていく道筋がきちんとその研究授業になければいけない。
 そのような研究授業に変えていくことなのだ。
 私は、強くそのように思っている。
 
 
 
 

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