ベテラン教員 すり減る意欲
朝日新聞朝刊(2011.9.26)に「ベテラン教員すり減る意欲」という見出しで大きく報じられている。
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教員の感じる働きがいはベテランになるほど落ちている。そんな結果が全国の教員1万人を対象にした、社団法人「国際経済労働研究所」(大阪市)と日本教職員組合の共同調査で明らかになった。一般企業の従業員とは正反対の傾向だ。特に男性教員で働きがいの「劣化」が激しかった。
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<教員> 管理職でない教員
「今の仕事が楽しい」→ 30歳未満80%、30代75%、40代67%、50歳以上59%
「今の仕事を続けたい」→30歳未満76%、30代76%、40代74%、50歳以上55%
「今の仕事に生きがいを感じる」→30歳未満74%、30代73%、40代69%、50歳以上62%
<企業の従業員> 管理職でない従業員
「今の仕事を続けたい」→30歳未満39%、50歳以上52%
「生きがいを感じる」→30歳未満23%、50歳以上32%
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現場で長く教員をやっていた私の立場から言えば、当然の結果だ。
確かに、教員の場合ベテランほど数値が落ちているが、これは当然のこと。
それでも一般企業の数値と比べたら、教員の場合はまだまだこんなに数値があるのだ。 20代、30代は高い数値を示している。
これはうれしい結果だ。
むしろ若い先生たちに働きがいがないという低い数値が出たら、これこそ深刻な事態を考えなければいけない。
私はそのように見る。
★
なぜ、教員は、ベテランになるほど働きがいがなくなるのか。
これは1980年半ば以降の傾向だろうと思う。
1970年代の頃までは、ベテラン教師にとっても働きがいはあったのだ。
小学校では高学年の子供たちも落ち着いていて、しっかりとした学級経営を行うことができた。
教員にとって平穏な日々をおくることができた、最後の年代だったと言える。
37年間担任として過ごしてきた私は、大きく変わっていく時代を経験した一人になる。
最後の10年以上は、高学年の担任をした。
心がカサカサに渇ききるという気持ちになった。
主要都市圏は、今ほとんど高学年担任を希望する教師がいなくなっている。
高学年担任は、特別な仕事になっている。
新聞で男性教員の劣化が激しいとあるのは、多分高学年担任などの経験が関係あると私は踏んでいる。
★
なぜこういうことになるのか。
それは端的に私は表明している。
子供たちの変貌と、親たちの変貌にある。
担任は教室で、2,3人のやんちゃに学級をかき乱されている。その一部は学級崩壊になっている。
そして、一部の親たちによって理不尽な担任攻撃がある。
この対応に教師たちは身をすり減らしている。
教師の人権などはほとんどなしに等しい。
★
ベテラン教員は、こうした事態に対応できなくなっている。
(もちろん、ベテラン教員だけの問題ではなくなっているが)
もはや対応することにうんざりしている。馬鹿馬鹿しくなっている。
その結果は、定年を待たずに教師を辞めていく。
はっきりした数値をもたないが、主要都市圏では、定年まで勤め上げる教師たちの数は限りなく少なくなっているのではないだろうか。
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