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この夏を経て考えたこと

      この夏、何人もの若い先生たちに会った。
    初任の頃の様子について聞いた。
    どの先生も、最初の学級づくりがとても混乱したことを話してくれた。
  どのように進めていいかまったく分からないままに、隣の先生に聞きながら進めて いく以外になかったということを語ってくれた。
   ここを何とかしないといけないなとしみじみと感じた。
    ★
    ある大学の「小学校教諭免許取得課程」を手に入れた。
    何の授業を受けているかがはっきりする。
    32課程で修得単位は75。
    この中で教科に関することが21課程。
    これだけでも「教科」(授業)にものすごく力を入れていることが分かる。
    それで「学級経営、学級づくり」という課程はないのかと探すが、ない。
    他に名前を変えているのか。
    「教育方法学」というのがあるが、どうも違うような気がする。
    とすると、何にもない。
    これは、大学でいろいろ工夫していいのか、文科省で決められてあるものかどうか、 それは確かではない。
    この免許取得課程で分かることは、免許が教科いわゆる授業を教えていくことを前 提に作られていることである。
    学級経営、学級づくりなどまったく問題にしていない。
    そういうことになる。
    ★
  私が知る限り大学の講座で「学級担任論」を教えているのは、京都橘大学の池田修 准教授だけだ。
    なぜ、他の大学はやらないのか?
    「免許取得課程にはないから」と言うのであろうか。
    これほど現場で初任の教師の学級が荒れまくっている。
  しかも、その原因の多くはうまく学級を作れないことにあるのに、大学は、そのことを無視していいのか。
    教育実習があると言うのであろうか。
  あれは、現場の担任が作ってくれた学級の基盤の上に乗っかって行うパフォーマン スにしか過ぎない。ちょっとした物まねだ。
    そんなことは分かりすぎるほど分かっているはずである。
    ★
    今、初任者は最初の学級づくりを学年主任か隣の先生に教えてもらいながら進めて いる。
    それでも一歩遅れる。隣の先生の物まねだから。
    その遅れが致命的になる場合もある。
    学級づくりだけは、初任もベテランもない。
    子供たちは容赦をしない。
    給食指導がうまく進まなくて、給食を取りに行くのも遅い、返却するのも遅い、配膳も遅い、……。
    こんな混乱が、朝自習でも、朝の会でも終わりの会でも、清掃でもあったら、学級の一日の「時間」が混乱する。
    これが学級の「荒れ」を起こしているのである。
    この学級づくりだけは、どうしてもベテランと同じように進めていかなくては最初 の1ヶ月を乗り切れない。
    この1ヶ月が勝負だということは、私が繰り返し主張してきたことである。
    ★
    私はこの夏学級崩壊にあっている何人もの先生たちに出会った。
    どの先生も真面目な先生たちだった。
    うまくいかず苦しんでいた。
    何とか手助けができないものかと思ったが、私の力では限界がある。
    日本全国では、このように嘆き苦しんでいる先生たちが数多くいるであろう。
    どこに視点をおけばいいかは、絞ってきている。
    1ヶ月の学級づくりを、教室の「空気」と「時間」の統率という視点から押さえていけばいい。
    ★
    この夏を経て、ちょっと決意したことがある。
    「教室1ヶ月のシナリオ」を作りたいということ。
    今まで「1週間のシナリオ」を作ったり、「必ずクラスがまとまる教師の成功術」(学陽書房)の中で明らかにしてきていたりする。
    しかし、これは私の実践をそのまま載せているだけである。
    今回は、初任者にあわせて作り直してみたいということだ。
    初任者が最初の1ヶ月はこのようにしていけばいいというシナリオを作りたい。
    それをこのブログで公表し、添付で希望者にお渡ししたいと思う。
    2月、3月には関東、関西(橘大学)で今年度初任者講座を行う。
    そこへ持って行きたい。
    すでに決まっているのは、2月4日(土)広島県福山、2月12日(日)東京明日の教室、3月10日(土)新潟、3月25日(日)横浜野口塾、3月29日(木)愛知小牧初任研。
    ここには持っていきたい。
    著作権はないので、どんどん初任者にコピーして手渡してほしい。
    そんなものを作って、私なりの精一杯の闘いをしたい。

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