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養成課程6年制は、基本的には賛成だが…………。

   「西川純先生の教職大学院」のことを引用させてもらったら、ものすごい反響があった。
 西川先生は、日本の免許制度と現状の教員採用試験の問題点を指摘されていた。
 最後に「しっかりした実地経験を長期に受けてから教師になるべきだと思うのです。それが若い人の幸せに繋がる」と指摘されていた。
 この考え方にも、私は基本的に賛成である。
 ただ、どうであろうか。この考え方をそのまま現状に当てはめていった場合、教員養成系大学の志願者は激減するということにならないのだろうか。
 それがとても心配なことである。
 ★
 民主党のマニュフェストは、教育の資質向上として「教員の養成課程は6年制(修士)とする」としていた。
 この動きが今どうなったのか。
 この動きは、PISAでトップグループにいるフィンランドを強く意識していることだと思われる。
 フィンランドで教員になるには、修士課程を修了しなければならない。
 だが、フィンランドと日本では、教員という職業に対する人気の度合いがちがうらしい。
 フィンランドでは、大学進学者の20数%が教員養成系大学を志望している。
 一方の日本では、7%前後である。
 志願倍率も、フィンランドは10倍程度、日本は2.5倍程度。
 これもかなり違う。
 だから、修士という部分だけをまねたら、教員志願者は激減するのではないか。
 そのように予想される。
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 2006年に薬学部が6年制になった時に、私立大学の薬学部の志願者は前年の約14万人から9万人に減った。
 その後も減り続けているらしい。
 だから、教員の場合も、国立で授業料は53万円余り。2年増えれば負担増になり、せっかく6年かけて免許をとってもかならずしも正規の職員になれないとなれば、志願者はぐっと減っていく恐れがある。
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 なぜフィンランドと日本は、このように人気の度合いが違うのか。
 それは、労働の違いにある。
 日本の教員の労働は、過酷なものになっている。
 2007年のOECDの調査によると、公立小学校の1クラスあたりでの子供の数は、28.1人。OECDの平均が21.4人。フィンランドは19.8人。
 韓国(31.0人)と日本だけが多い。
 そして、フィンランドの教員は、ほとんど子供たちの学習に精力をつぎ込めるが、日本の教員の雑務の多さは過酷である。
 また、フィンランドの教員の夏休みは、2ヶ月以上取れて、勉強や旅行をして教養を深めることができる。
 魅力的な職業なのである。
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 養成課程6年制は、基本的には賛成である。
 2年間みっちり実地研修をすれば、今のような現状は確実に克服していけると思われる。
 ただし、その前にやるべきことがある。
 1つは、1クラスの人数をせめてOECD並にしていくことが必要。そのために、教員の人数を増やすこと。
 2つ目は、教員を雑務から解放するため、事務スタッフを増員する必要がある。
 こういうことが出来ない限り、ただ6年制だけを採用しても大変なことになっていく恐れを持っているのである。


 どうであろうか。 
 
  

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