言い古された言葉が 苦しみゆえに甦る
5月3日の夜7:30からNHKの「歌でつなごう」という番組を見た。
この種の番組を見るのは久しぶりである。
千昌夫の「北国の春」やアンジェラ・アキの「手紙」、一青窈の「ハナミズキ」など今まで聞き慣れた曲が歌い継がれていった。
しかし、何だろうか。
これらの曲が、今までよりもずっと新鮮に感じた。
「こんな歌詞だったのだ!」と改めて聴き入った。
おそらく大震災を経験しなければ、こんな気持ちにはとてもならなかったのであろう。
★
谷川俊太郎という詩人が、この大震災のあとに、次のような詩を書いている。
(2011/5・2 5月の詩 朝日新聞)
言葉
何もかも失って
言葉まで失ったが
言葉は壊れなかった
流されなかった
ひとりひとりの心の底で
言葉は発芽する
瓦(が)礫(れき)の下の大地から
昔ながらの訛(なま)り
走り書きの文字
途切れがちな意味
言い古された言葉が
苦しみゆえに甦(よみがえ)る
哀(かな)しみゆえに深まる
新たな意味へと
沈黙に裏打ちされて
★
私が感じた気持ちを詩人はきちんと言葉にしてくれている。
言い古された言葉が/苦しみゆえに甦る/哀しみゆえに深まる
この詩人は「言葉」をこの大震災のなかから救おうとする。
私たちは、何を救っていくのだろうか。
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