学級づくりの必要条件「覚悟、ビジョン、方法」
4日は、東京O区で初任者指導研修会130名、5日は、兵庫M市教育委員会で学級経営講座。
忙しい日々である。
両方ともに、学期はじめを意識しての講座である。
始業式から1ヶ月が決定的な勝負の時間であることが充分に意識されている。
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O区の初任研でちょっとびっくりしたことがあった。
「初任者のクラスは7,8割が荒れると言われているが、知っていましたか?」という問いかけに3,4人の初任の先生が手を挙げた。
他の多数の先生は、「知らなかった」なのである。
私は、半数ぐらいの人が様々な情報から知っているものだと思っていたのである。
「おい、おい、これじゃあ現実の子供たちにぶつかっていけるのか!」と思った。
「やる気さえあれば乗り切っていける」「情熱でぶつかれば何とかなる」と思っているのではないかと思った。
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私は、いつも主張していることだが、医者と教師は、命の切迫感が近い遠いの違いはあるが、ほとんど同じ仕事内容を持っていると思っている。
医者は、大学時代に医学と臨床医学を学ぶ。当然のことだ。
教師は、大学時代に教育学を学ぶ。ところが、臨床教育学(こんな言葉があるかどうか分からないが)はほとんど学ばない。
たとえば外科の医者は、大学時代に盲腸の手術ができるように学んでいく。
そうしなければ、医者になれない。
だから、手術中に隣にいる先生に「盲腸の手術ってどうするのですか?」と聞く初任の医者なんかいない。
情熱ややる気があれば手術ぐらいなんとかなると思っている初任の医者もいない。
ところが、初任の教師は、隣の主任の先生に「給食当番はどうして決めていくのですか?」「掃除はどのように決めた方がいいですか?」と聞きに行く。
あるいは、隣の先生のやられていることをマネしながらやっていく。
情熱ややる気があれば、何とかなると思っている初任もいる。
臨床の教育学を学んでいないから、こういうことになる。
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2009年度、1年以内に教壇を去った初任の教師は、317人だった。
過去最多の人数だったという。
私たち団塊の世代が大量に教師になる時代は、おそらくほとんど辞める教師はいなかったはずである。
学級崩壊になったという話もなかったし、辞めたという話も、まったく聞いたことがなかった。
横浜市などは、何千人と採用された時代だったのだ。
あれから40年。
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私は、「野中信行が答える若手教師のよくある悩み24」(黎明書房)に次のように書いた。
「最近、担任を持つための学級づくりでの必要条件は何かと言われたら、『覚悟、ビジョン、方法』という3つを挙げることにしています。
『覚悟』とは、担任が学級づくりにどの程度の決意を持って臨んでいるかを指し示す指標です。『腹をくくって』学級づくりに臨んでいるかどうかです。
『ビジョン』とは、『こんなクラスにしたい』という目標です。とてつもない目標ではなく、目の前の子どもたちを意識したものです。
『方法』とは、そのビジョンを現実化していくための方法です。現実化するには、2つの条件が必要です。
1つ目は、子どもたちを、その気にさせること。2つ目は、ビジョンを具体化していくための手立てをきちんと持っていること。」
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時代が大きく変わっていこうとしている。
今まで習慣化して続けてきたものがダメになっている。
たとえば、今まで続けてきた「重点研究」「授業研究」「学習指導案」「学級経営案」などほとんど現実の教室で意味がないものに成り果てようとしていると、私は思っている。
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