« ピンクの本、2版の増刷! | トップページ | 覚悟を決めることです »

とびきりうれしくなる書評

 他の人のブログを読んでいて、とびきりうれしくなるできごとに出会う。
 私の本を書評されている。
 書評者は、長いこと編集の仕事をされてきた村岡明さん。
 http://muratyan.cocolog-nifty.com/book/
 私の本とは、「野中信行が答える 若手教師のよくある悩み24」(黎明書房)である。
 このように明快に読み解いていただいている。
 私の意図をこのように理解していただいているのは、とてもうれしいことである。
 ほんとうにありがたい。
 ★
 
若手教師のよくある悩み
「野中信行が答える 若手教師のよくある悩み24」野中信行:著 中村健一:編(黎明書房)

先日久しぶりにK書店本店の教育書コーナーを訪れました。5,6年前よりも、コーナーが広がった印象があります。首都圏では、若い先生が急増中だからなのでしょうか、とりわけ若い先生向けの本が目立ちました。

その中で新刊本のコーナーにあった本書を読んでみることにしました。「まえがき」がとても印象的だったからです。本書が「メールマガジンの書籍化」ということに興味を引かれた部分もありましたが、それ以上に本書のねらいというか、著者の野中さんの思いを書いた部分に惹かれたからです。

今、多くの先生たちの中から、子どもたちと関わる「楽しさ」「おもしろさ」「歓び」がなくなっていっています。そのことがとても心配です。だからこそ、相談に解答(原文ママ)する際、私は、執拗にそこにこだわっているのです。(中略)子どもたちの歓びを我がことの喜びとして受け取るところに、教師としての生き甲斐があるはずなのです。これが教師としての原点です。(中略)教師としての原点を忘れないようにしてほしい。そのための仕事を積み上げていってほしいと願っています。

「こんなのあたりまえじゃないの?」と思われる方がいるかもしれません。確かにどこかの教育評論家が述べたとしたら、説得力がない内容でしょう。しかし、野中さんは教職生活37年を経た現役の初任者指導教諭です。その初任者指導も、もう3年もなさっているとのこと。この先生が、「先生の中から、子どもたちの関わる喜びがなくなりつつある」というのですから、現状がいかに尋常ならざる事態になっているのかと言うことがわかります。
この文章によって、本書を手に取る若い先生は「あ、わたしだけじゃないんだ」と安心できるでしょうし、私のような門外漢にとっては、正しい現状認識につながります。とかく教育談義は、だれもが学校教育を受けた経験を持っているだけに、自分の浅薄な経験だけを頼みに勝手なことを言いたがりますからね。

それと同時に、本書のねらい(コンセプト)を明確に示しているとも感じました。本書は、カテゴリとしては「ノウハウ本」ですから、対処法を獲得することに終始してしまう危険性があります。だからこそ野中さんは、そのノウハウを伝授する前に、教師としての原点「子どもたちの歓びを我がことの喜びとして受け取るところに、教師としての生き甲斐がある」を示したのでしょう。つまり、これから伝授するノウハウは、すべて原点を見失わないための手段にすぎないのだよ、というメッセージです。これは、とても大切なことだと思いました。

次に本書の構成について。本書のタイトルには「よくある悩み24」とありますので、てっきり「悩み相談→その回答」という本かと思っていました。実際、立ち読みしたときには、そのように見えましたし。
しかし実際には、「悩み事例→その解説」という構成でした。本書は、「教師としての原点」のためのノウハウ提示を目的としているですから、提示するノウハウの質はもとより、悩みの本質をきちんと伝えることも重要という考え方なのでしょう。なかなかおもしろい構成だと思いました。

そして肝心のノウハウ部分は、印象に残る言葉で具体的に記述されていました。毎度本書を持参して学級経営に当たるわけには行かないのですから、確実に記憶に刻まれる言葉を選ばれた(編み出した)のでしょう。たとえばこんな具合です。

•私は、1年生を「その場、おもしろ、理想主義者」と名付けています。
•「子どもとの関係づくり」については、現在私は「縦糸・横糸」論を提起しています。
•私は、この現状を乗り切るために、「味噌汁・ご飯」の授業を提唱しました。
•最近、担任を持つための学級づくりでの必要条件は何かと言われたら、「覚悟、ビジョン、方法」という3つを挙げることにしています。
•私は、組織論として「2割対6割対2割の法則」を考えています。
いずれも「え?何かな」と興味が湧いてくるネーミングです。むろんネーミングだけでなく、これに続く具体的なノウハウも、十分すばらしいのですが、まず読者の頭にイメージさせるという点で、こうしたやり方は適切だなあと思いました。おそらく野中さんは、子どもたちに対しても、こうしたうまいネーミングで指示されていたのでしょう。ここに示された、具体的ノウハウを読みながら、野中さんの指導ぶりが想像できました。

現在学校を取り巻く状況は、なかなか厳しいものがあります。私もなんとかお役に立ちたいと思っているものの、その具体的方法を見いだせずにおりました。こうした良質な教育情報の提供──そのあたりに私の存在意義があるのではないかなと、最近は思っています。

|
|

« ピンクの本、2版の増刷! | トップページ | 覚悟を決めることです »

日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事

コメント

野中先生、私のブログのご紹介ありがとうございました。ご著書の魅力を伝え切れているのかはなはだ不安ではございますが、このようにご評価いただき大変うれしく思っています。
実は先日「青い本」も購入しました。こちらも近々ご紹介させていただきます。
今後ともどうかよろしくお願いいたします。

投稿: むらちゃん | 2011年3月11日 (金) 13時54分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/520860/51085188

この記事へのトラックバック一覧です: とびきりうれしくなる書評:

« ピンクの本、2版の増刷! | トップページ | 覚悟を決めることです »