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「地上戦」と「空中戦」ということ。

   堀裕嗣先生が、今回の私の学級づくり本を「地上戦が展開されている」と評された。
 この「地上戦」という言葉がさまざまな場所で話題になった。
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 「修業をする」「プロ教師になる」「あこがれの授業を目指す」「名人教師をめざす」「授業の原理原則を明らかにする」…という、いわゆる「空中戦」を多くの教師たち(とくに若い先生たち)が求めなくなっている。
 それは、言い悪いということではなく、そんな時代になっているのだという認識である。
 多くの教育雑誌が売れなくなり、部数が少なくなり、いくつかは廃刊になる。
 教育書も売れない。
 民間の研究会に人が集まらなくなっている。
 ましてや官制の研究会は、もっとひどい。
 それは、もう「空中戦」を多くの教師たちが求めなくなっている結果が底流にあるからである。
 その現象は今始まったのではなく、もう以前より続いている。
 だが、私は、「空中戦」は必要だと思っている。
 この空中戦が、教育の「未来」を切り開いていくからである。
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 しかし、反面今「地上戦」をしなくては「現実」は切り開けないと思っている。
 私の今回の学級づくり本は、空中戦をしている名うての実践家たちには不評であろう。
「なんだよ、この本は。書いてあることは当たり前のことばかりじゃないか。今まで言われていることを繰り返したことにしか過ぎないよ。こんな本出してどういう意味があるのかね」と。
 当然、このような言われ方をする。
 この本は、初任者がぶつかっている「現実」を初任者のいる場所から明らかにし、その場所で克服する処方箋を提起している。
 ただ、それだけの本である。
 はっきりしているのは、多くの普通の教師たちはこのようなありきたりだが、今ぶつかっている現実を克服する処方箋を求めているのだということである。
 多くの教師たちが本も読まない、勉強もしなくなったと言われて久しい。
 私は、決して否定的な面ばかりではないと思っている。
 勉強の仕方が私たちと違ってきているし、決して「学び」を否定しているとは思われない。
 私たちが今まで求めてきた「修業術」や「仕事術」や「あこがれの授業」を、若い世代が求めなくなっているという現実があるだけである。
 求めるベクトルが違ってきている。
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 堀裕嗣先生が学事出版より「学級経営の10の原理 100の原則」の本を出した。
 内容については、以前より知っていたし、早く出版化されることを願ってきたものである。
 向山洋一先生が出した名著「授業の腕を上げる法則」がある。
 これは小学校の先生が出した画期的な本であった。
 今回の堀先生の本は、中学校の先生が出した学級経営についての画期的な本である。
 中学校の先生は、今までこんな本を出せなかったと、私は考えてきた。
 だが、ついに出てきた。
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「しかし、いまの時代、何より必要なことは『成功すること』ではなく、『失敗しないこと』なのです。学級経営でいえば、まず必要なのはすごくいい学級をつくることではなく、まずまず大過なくやることができる、そういう能力です」 
「新卒であろうと中堅であろうとベテランであろうと、まずしなければならないのは『失敗しない学級経営システム』を構築することです。それに成功を目指す、学級経営に潤いを目指すような取り組みが加わればなお良い、そういうものです」
「若手教師もまずこうしたシステムを学ぶべきです。
 安定的な学級経営システムをもっていない中堅教師も、いまそれなりに失敗しないで済んでいるのは、あなたが若いからです。もう少しして、生徒との心理的距離が離れてくると学級経営が立ち行かなくなっていきます。いまのうちに失敗しないためのシステムがどうつくられているのか学ぶべきなのです」
「つまり、どの世代にとっても必要なのが、学級をマネジメントするためのシステムなのです。個人的な資質や個人的なキャラクターによる潤いは、その安定した学級システムの上に、学級経営において更に上を目指す、更に豊かな学級経営を目指すためのスキルなのです。これを勘違いしてはいけません」
 どの指摘を引用しても、その通りである。
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 これは堀先生の「地上戦」なのか?
 私もそう最初はそう思った。
 しかし、違う。
 試みは、空中戦だが、充分地上戦も闘える。そんな希有の書であろう。 
 

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コメント

お褒めの言葉をありがとうございます。でも、「授業の腕を上げる法則」と並べるのは褒めすぎです。そんな影響力は持ち得ません(笑)。
お互い、今後とも「地上戦」と「空中戦」のバランスを考えながら発言していきたいですね。
では、またお会いできるのを楽しみにしております。

投稿: 堀裕嗣 | 2011年3月 7日 (月) 20時45分

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