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2011年3月

忙しく走り回っている

   忙しく走り回っている。
 28日は、愛知のK市に行った。
 もう3年目になる初任者研修会である。
 前教育長が始められた辞令前の研修会は、画期的なものであった。
 初任者に話した。
「あなたたちは、この日に研修会を開かれるという貴重な場に参加しています。
 全国で初めて、3年前からK市の教育委員会は行っています。
 私のこれから話す話はきっとはじめて聞かれることばかりだと思います。
 貴重なのは、この話を聞いてまだ始まるまで1週間あるのです。この1週間が
 どれほど有益なことか分かると思います。」
 ★
 その研修会のあと、玉置先生の海部教育事務所の指導主事の先生たちと話し合いをもった。40分ぐらい。
 おもしろい有意義な話がぞくぞく出て、もう少し続けて話し合いたいという思いであった。
 その後、懇親会が設けられ、前教育長もかけつけてこられて、存分にさまざまな話を伺った。
 ★
 その日、名古屋に一泊したのだが、名古屋は関東地区とはまったく別世界で、ほとんど大地震の影響を受けていなかった。
 こんなに違うのかとびっくり。
 ★
 30日は、今まで勤務していた学校の先生たちとのお別れの懇親会に参加する。
 1年だけの付き合いなのに、ずいぶん長く付き合ってきた先生たちのように話が弾んだ。楽しい会であった。
 懇親会の時間まで横浜西口の繁華街を歩く。
 前から比べると必要な電気だけが点灯されていて、薄暗い感じを受ける。
 だが、これで充分。
 今までのあのけばけばしい明るさが、いかに無駄な電力の消費だったか、関東の人々ははっきり気づいているに違いない。
 ★
 30日夜遅く家に着く。
 ネットを開いたら、ピンクの本が入荷されたらとたんに明治図書オンラインで2位に急上昇していた。
 それにつられて青い本も7位に急上昇。
 2冊の姉妹版が大活躍してくれている。
 うれしいことである。
 ありがとうございます。

 ★

 31日。

 いよいよ終わりである。

 4月1日から年金生活者の生活になる。

 
 
 
 
 

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「初めて教壇に立つ先生のための仕事術」ホームページの開設

   私の親しい友人で、研究の同志でもある秦安彦先生が、ホームページを開設された。
 「初めて教壇に立つ先生のための仕事術」である。
 私とともに、初任者のサポートをずっとされてきた経験からこの仕事術が提起されている。まだ、現場で仕事をされている先生である。
 秦先生に了解を得て、急ぎこのブログで紹介することにした。
 このブログを見ている初任者の方、急ぎ開いて見られた方がいい。
 ここには大切な仕事術が満載されている。
  初任者になる友人達にも、ぜひとも知らせてほしい。
 
 http://web.me.com/dousureba/2wwotou/menu.html
 
 

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業務連絡です

   問い合わせがあった「新卒教師時代を生き抜く学級づくり3原則」(明治図書)がやっと増刷ができ、入荷できる状態になった。明治図書に問い合わせてほしい。
 大地震と計画停電の影響は、さまざまなところに響いている。

「必ずクラスがまとまる教師の成功術」(学陽書房)も2版の増刷が決まった。
 アマゾンの学級運営部門では、1位の売り上げになっているようだ。
 みなさんありがとうございます。
 
 

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計画停電なのです!

   昨日も、計画停電の2グループは夕方の6:20から10:00までの停電が実施された。
 8時過ぎには点灯したということであるが、これで私の家では6回目である。
 これだけ長い停電を体験することは初めてのことである。
 何もすることがない。できない。
 この3時間ぐらいの停電の時間帯が問題ではない。
 停電する時間帯に合わせて、さまざまな準備をしなくてはならない。
 それが大変である。
 昨日は、もう7時過ぎには布団に入って寝てしまった。
 寒いのである。
 電力需要の関係で仕方ない。
 これぐらいのことは耐えなくてはならない。
 被災者の方のことを考えれば何のことはない。
 ★
 ただ、おかしなことがある。
 1回も停電を経験したことがない人もいる。
 東京23区は、ほとんど停電がないという。
 どうしたことだろう。
 こんな差別をしていいのだろうか。
 東京23区なんか、福島原発に大部分の恩恵を受けてきたのではないのか。
 この格差はひどいものである。
 東電は、どこを停電していないのか。それは何故か。
 何も説明していない。
 もちろん、消防司令室とかがあるところは停電をすることはできない。
 これは分かる。
 それを説明すべきである。
 東電は何も説明していない。
 ★
 このようなことがいつまで続くのであろうか。
 その見通しが出てこない。
 大前研一さんの「ニュースの視点」を見ていたら、次のような提言が示されていた。

 

 まず電力を「15%」削減できる3つの施策を重ねて実行します。

 ・4月からサマータイムを採用し、時間を2時間早める
 ・企業や工場は週5日間を選択制で操業し電力需要を平準化する
 ・夏の甲子園を中止、または春か秋に変更する

 これから春・夏を迎えます。朝6時半から動き出すのではなく、
 2時間ずらして朝4時半からに変更するのです。太陽光をエネルギー
 にするのではなく、別の意味で太陽の力を借りるということです。
 私の試算ではこれだけで4~5%の削減できる可能性があります。

 東京電力管内の曜日別の電力需要量を見ると、土日が少なくなって
 いて、平日のピーク時は平均よりも約7%需要量が多くなっています。

 そこで、企業や工場は操業する曜日を週5日間から選択することで
 平準化を図ります。もちろん多少の不便はあると思いますが、
 これで約7%の削減が可能になると思います。

 そして1年間の中で最も電力消費量が多い8月への対策として、
 夏の甲子園を中止・延期します。甲子園で使われる電力の削減、
 そしてそれを冷房の効いた部屋で観戦する分の電力削減を狙います。

 さらに電力の東西グリッドの完全接続を実現します。日本では静岡県
 の富士川と新潟県の糸魚川付近を境にして、東側は50Hz、西側は
 60Hzの電気が送られています。

 これを完全に接続するためには相応の工事費用がかかるとのこと
 ですが、今回の混乱を見れば、世論も工事費の負担を受け入れて
 くれるのではないでしょうか。

 今後、復旧まで3年~5年ほど東京電力では発電量は20%減になる
 と思います。東西の日本でいつでも電力の貸し借りができる体制を
 今こそ作るべきです。

 リーダーシップさえ持っていれば今の国民感情を考えれば、すぐに
 これらを実施に移すことができると私は思います。

 
 

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業務連絡~どうぞよろしくお願いします~

  池田先生の呼びかけに賛同して、仙台の教員人事異動凍結に賛成しています。

 今回の大地震からの復興の一助だとも思っています。

 苦しんでいる教職員の現在をぜひとも回復してもらいたいという願いです。

 私も教育長にメールを致しました。

 池田先生からは次のような内容がブログに掲載されています。

仙台の教員人事異動凍結のために 声の届け先はここです

やはり、現状では仙台の教員人事異動は凍結することが望ましいと私は改めて考えています。
もし、同じ思いを持っている方がいらっしゃいましたら、

宮城県教育委員会教育長 小林伸一
       FAX 022−211−3698
       Eメール kyosyk@pref.miyagi.jp

仙台市教委  人事係  ℡022−214−8858
       総務課  ファクス 022−261−0142
       総務課  メール  kyo019010@city.sendai.jp

に、「人事異動はちょっと待ってくれませんか?」と伝えていただけませんでしょうか。現地の先生からは、ファックスで届けるのが一番いいとのことでした。

よろしくお願いいたします。

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子供達と「さよなら」をする日が終わった!

   いよいよ最後の勤務日になった。
 1,2時間目は、2年生のクラスへ行った。
 お別れ会・お楽しみ会である。
 子供たちがグループを組んで、ヒップホップの踊りをしたり、チアダンスで嵐の「ハピネス」を踊ったり、そして最後は、AKBの「バレンタインデーキッス」で締めくくった。
 2年生の子供たちなのだ。時代は確実に変わっている。
 ★
 3時間目は、終了式があり、その後に離任式があった。
 5人の先生たちの離任式。
 横浜は、非常勤の先生たちや初任者指導の先生たちは、この日に離任式がある。
 正規の先生たちは、4月7日に正式な離任式である。
 ★
 私のお別れの番。
 4年生の子供1人がお別れの言葉を話し、もう1人が花束を渡してくれた。
 私のお別れの話。
 
「いつも『もなか先生』『いなか先生』(笑)『こぎつねコンコン山のなか先生』(大爆笑)と呼ばれました。皆さん、いろいろ呼んでくれてありがとう。
 私は、1年間2年1組と4年2組に行きました。
 2年1組では、よく本を読んであげました。
 ある日、「となりのせきのますだくん」という本を読んであげました。
 次の週2年1組にいくと、学級文庫に作文が入っていました。
 『となりのせきの野中くん』ウソ作文 ○○○○作
 A君が作文を書いていたのです。
 読んでみますね。
 『野中くんはすごく頭がわるいです。(大爆笑)だから野中くんは先生に
 なれません。(大爆笑)野中くんは、いつもトイレに1万回行っています。(笑)
 野中くんは、ほんとうはゴリラです。(大爆笑)だから野中くんは、いつも
 どうぶつ園でバナナを食べています。(大爆笑)でも野中ごりらくんは、
 バナナのかわをなかまにむいてもらっています。(笑)』
 野中ゴリラくんは、今日で終わりです。(笑)楽しい1年間でした。
 みなさん、ありがとう。さようなら」
 
 終わった。
 
 ★
 
 子供たちは、「あゆみ」をもらって集団登校で帰っていく。
 運動場の向こうの方から2,3人の子供たちが、「野中先生!」と呼びかけてくる。
 「さようなら~~~~~~」
 私も答える。「さようなら~~~~」
 子供たちと「さよなら」をする日がこうして終わった。
 

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仙台の人事異動に反対します!すぐに凍結すべきです!

 池田修先生のブログで、このことを知りました。

 仙台の教育委員会は、何をやっているのでしょう。

 私は断固反対します。

 すぐさま人事異動を凍結すべきです。

 ★

仙台 この時に教員の人事異動はおかしい。

3/24

仙台の先生の声が届いています。仙台では、この事態にも関わらず、4/1に人事異動をすることを予定しています。福島や岩手が人事異動を凍結しているにも関わらずです。これは、おかしいです。反対の声を上げます。

1)「津 波にあい、避難場所にもなっている学校です。人事異動凍結して下さい。『子どもを亡くし、クラスの子どもも行方不明。後片付けも 終わらない。諸表簿にも全く手を付けられない。とても異動できる状況ではない』と泣いている同僚もいます。親をまだ探し続けてい る講師もいます。新学期が4月21日という話だが、まだ不明児童が12名いる。これで学級編成ができるの か。新採が2名来るようだが、地域にはアパートも 何もない。県教委は一度見に来てほしい。県教委は何を考えているのか」(石巻市の事務職員)

2)「小 学校教諭である夫が亡くなった。自分も石巻市内での異動を内示されたが、とても異動できるような状況ではない。現在校の子どもた ちのためにも留任させて欲しい」(石巻市の教員)

3)「このような状況なのに予定通り18日内示というのは納得できな い。」(仙台市の教員)

4)「自 分の学校の地域はあまり被害はひどくなかったが、被災地でなくとも子どもたちは今回の体験で不安におびえている。そのケアのため には現担任が引き続き子どもの面倒を見るのがベストだ。4月になって先生が代わると子どもたち はますます動揺する。人事については今回は被災地だけの問題ではない。」(岩沼市の教員)

5)「避 難者への対応や子どもの安否確認などで先のことを考える余裕がまったくないのに、なぜ4月1日付で異動しなければならないのか。 通信表や要録の作業にも手が付かない状態だ。兼務発令ではなく、安心して現在校に勤務できるようにしてほしい」(東松島市の教 員)

6)「自 宅が倒壊、流出した教員にとっては、異動どころではない。」(気仙沼市の教員)

以上、私の所に届いている仙台の教員の声を挙げてみました。みなさん、ご賛同いただければ、あちこちに伝えてください。お願いします。子どものケアには、一年間一緒に過ごして来た先生たちが必要です。

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お別れ会

  朝、職員室に4年生のクラスの代表がきた。
「野中先生、教室には朝の会が終わってからきてください」という連絡。
 私のお別れ会の打ち合わせをしているのであろう。
 今日は、4年生のクラスの最後の日なのである。
 ★
 1週間に1回だけ水曜日に、このクラスに行った。
 このクラスの実践が中心になって、ピンクの本(新卒教師時代を生き抜く学級づくり3原則)ができあがった。
 新卒の先生でもがんばれば、このようなクラスができあがるのだと実証してくれた。
 ★
 3時間目の途中から私のお別れ会が始まった。
 司会になっている子供たちが、会を進めていく。
 「先生はここに座って!」と指示されて座る。
 「ありがとう」の歌を全員で歌ってくれるのである。
 
 「にがおえ とびばこ だれでしょうゲーム
 いろんなことやってくれて すごくたのしかったよ
 ありがとうと伝えたくて ないしょできかくしてた
 楽しかった日々 おもしろいダジャレが ほら笑顔に変わってく
 ありがとうと伝えたくて あなたに伝えたくて
 ………  」

 ほとんどが替え歌になっていた。
 私のためにこうして作ってくれたのである。
 ★
 最後に「野中先生へ」というメッセージをもらった。
 T君は書いている。
 
 「春にうそは3回 じょうだんは2000回と言っていたけど、じっさいは
  うそは7回つきましたね。百人一首のことも考えてくれてありがとうござ
  います。面白く、もりあげてくれて、とっても楽しかったです。本当に1
  年間ありがとうございました」
 
 笑ってしまう。
 ★
 1年生の後半から不登校になっていたUさんを、このクラスは完全に引き込んでいくことに成功している。
 もう何の問題もなくクラスに馴染んでいる。
 Uさんは書いている。

 「とびばこや歌を指導してくださってありがとうございました。
  他の学校へ行ってもがんばってください。元気でいてください」

 私は子供たちへの最後の言葉で、そのことをトップ1のうれしい出来事としてあげておいた。
 ★
 他の学校へ行くことはもうない。
 最後のクラスで、こんなクラスを見られたことは最高にうれしいことであった。 

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近況報告です!

  今回の地震の被災者ではないのに、気持ちがふさいでやる気が出てこない人たちがおおぜいいるらしい。
 私も、その一人なのだが、はやく自分の「日常」に戻らなくてはならない。
 ★ 
  遠くアメリカにいる知り合いは、自分のブログに次のような詩を書き付けている。

 日本へ II

傷つくあなたを見て、
やっと
あなたを愛しているということを
思い知らされた

苦しむあなたを感じて、
やっぱり
あなたが私の一部だということを
突きつけられた

どんなに遠く離れても
どんなに長く留守にしても
あなたは私の国には変わりない
私の土台には変わりない

(他の国が苦しんでいる時にも
同じ痛みを感じなければ
真の国際人とは言えないのかもしれないが、
私の胸の内にも国境は存在するようだ・・・)

あなたが2.4メートル
私から遠くなったとしても
私の心は はるかに
あなたに近くなった


あなたが感じる痛みに
寄り添いたい

これから
立ち上がるあなたを
助けたい

これまで
私を育んでくれたあなたに
お返しをするためにも

 ★

 初任者指導の仕事があと2日になった。
 明日4年生のクラスへ午前中行き、そして25日に離任式がある。
 それで終わりだ。
 来年1年は初任者指導をするつもりでいたが、人事がうまくいかなかった。
 そこで今回で完全に現場から去る気持ちになった。
 4年生の女の子が、私の元へきて、
 「来年はどこの学校へ行くの?」
 と聞いてきた。
 「うん、今年でやめてもうどこの学校にも行かないよ」
 と言うと、
 「ずる~~~~い」
 と。
 ★
  
 明治図書のピンクの本「新卒教師時代を生き抜く学級づくり3原則」がない。
 明治図書では在庫切れである。
 急いで増刷しているが、折からの停電でうまく仕事が進んでいない。
 3月31日の入荷の予定である。
 もう少し待っていただきたい。
 学陽書房の「必ずクラスがまとまる教師の成功術」は、アマゾンの学級運営部門で
 1位、2位を繰り返している。
 買って頂いてありがとうございます。
 もう少しで増刷になる予定である。

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時に海を見よ

  昨日の2人の校長の式辞は、多くの方々の共感を得た。
 そこに、京都の池田修先生から「卒業式を中止した立教新座高校の校長メッセージ」もいいですよとメールをもらった。
 早速、読んだ。
 言葉では言い得ないほどの感動であった。
 ホームページに載せてあるので、一部引用させてほしい。
 http://niiza.rikkyo.ac.jp/news/2011/03/8549/
 ★
 このメッセージに、2週間前、「時に海を見よ」題し、配布予定の学校便りにも掲載した。その時私の脳裏に浮かんだ海は、真っ青な大海原であった。しかし、今、私の目に浮かぶのは、津波になって荒れ狂い、濁流と化し、数多の人命を奪い、憎んでも憎みきれない憎悪と嫌悪の海である。これから述べることは、あまりに甘く現実と離れた浪漫的まやかしに思えるかもしれない。私は躊躇した。しかし、私は今繰り広げられる悲惨な現実を前にして、どうしても以下のことを述べておきたいと思う。私はこのささやかなメッセージを続けることにした。

 諸君らのほとんどは、大学に進学する。大学で学ぶとは、又、大学の場にあって、諸君がその時を得るということはいかなることか。大学に行くことは、他の道を行くことといかなる相違があるのか。大学での青春とは、如何なることなのか。

 大学に行くことは学ぶためであるという。そうか。学ぶことは一生のことである。いかなる状況にあっても、学ぶことに終わりはない。一生涯辞書を引き続けろ。新たなる知識を常に学べ。知ることに終わりはなく、知識に不動なるものはない。

 大学だけが学ぶところではない。日本では、大学進学率は極めて高い水準にあるかもしれない。しかし、地球全体の視野で考えるならば、大学に行くものはまだ少数である。大学は、学ぶために行くと広言することの背後には、学ぶことに特権意識を持つ者の驕りがあるといってもいい。

 多くの友人を得るために、大学に行くと云う者がいる。そうか。友人を得るためなら、このまま社会人になることのほうが近道かもしれない。どの社会にあろうとも、よき友人はできる。大学で得る友人が、すぐれたものであるなどといった保証はどこにもない。そんな思い上がりは捨てるべきだ。

 楽しむために大学に行くという者がいる。エンジョイするために大学に行くと高言する者がいる。これほど鼻持ちならない言葉もない。ふざけるな。今この現実の前に真摯であれ。

 君らを待つ大学での時間とは、いかなる時間なのか。

 学ぶことでも、友人を得ることでも、楽しむためでもないとしたら、何のために大学に行くのか。

 誤解を恐れずに、あえて、象徴的に云おう。

 大学に行くとは、「海を見る自由」を得るためなのではないか。

 言葉を変えるならば、「立ち止まる自由」を得るためではないかと思う。現実を直視する自由だと言い換えてもいい。

 中学・高校時代。君らに時間を制御する自由はなかった。遅刻・欠席は学校という名の下で管理された。又、それは保護者の下で管理されていた。諸君は管理されていたのだ。

 大学を出て、就職したとしても、その構図は変わりない。無断欠席など、会社で許されるはずがない。高校時代も、又会社に勤めても時間を管理するのは、自分ではなく他者なのだ。それは、家庭を持っても変わらない。愛する人を持っても、それは変わらない。愛する人は、愛している人の時間を管理する。

 大学という青春の時間は、時間を自分が管理できる煌めきの時なのだ。

 池袋行きの電車に乗ったとしよう。諸君の脳裏に波の音が聞こえた時、君は途中下車して海に行けるのだ。高校時代、そんなことは許されていない。働いてもそんなことは出来ない。家庭を持ってもそんなことは出来ない。

 「今日ひとりで海を見てきたよ。」

 そんなことを私は妻や子供の前で言えない。大学での友人ならば、黙って頷いてくれるに違いない。

 悲惨な現実を前にしても云おう。波の音は、さざ波のような調べでないかもしれない。荒れ狂う鉛色の波の音かもしれない。

 時に、孤独を直視せよ。海原の前に一人立て。自分の夢が何であるか。海に向かって問え。青春とは、孤独を直視することなのだ。直視の自由を得ることなのだ。大学に行くということの豊潤さを、自由の時に変えるのだ。自己が管理する時間を、ダイナミックに手中におさめよ。流れに任せて、時間の空費にうつつを抜かすな。

 いかなる困難に出会おうとも、自己を直視すること以外に道はない。

 いかに悲しみの涙の淵に沈もうとも、それを直視することの他に我々にすべはない。

 海を見つめ。大海に出よ。嵐にたけり狂っていても海に出よ。

 真っ正直に生きよ。くそまじめな男になれ。一途な男になれ。貧しさを恐れるな。男たちよ。船出の時が来たのだ。思い出に沈殿するな。未来に向かえ。別れのカウントダウンが始まった。忘れようとしても忘れえぬであろう大震災の時のこの卒業の時を忘れるな。

 鎮魂の黒き喪章を胸に、今は真っ白の帆を上げる時なのだ。愛される存在から愛する存在に変われ。愛に受け身はない。

 教職員一同とともに、諸君等のために真理への船出に高らかに銅鑼を鳴らそう。
  ★
 この校長は、同時に卒業式を中止した中学生にも、メッセージを発している。
 
 http://niiza.rikkyo.ac.jp/news/2011/03/8589/

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2人の校長の式辞に感じ入る!

   3月18日、日本全国で小学校の卒業式が行われた。
 とりあえず、2人の校長の式辞を読んでもらいたい。 
 

式 辞    札幌市立羊丘小学校 校長 横藤 雅人

 春の気配が感じられる頃となりました。本日巣立ちの日を
迎えた117名の皆さん、卒業おめでとう。

 本日の式に際しましては、○○○中学校○○○校長先生は
じめ、たくさんのご来賓の皆様にご来校頂きました。誠にあ
りがとうございます。

 今、皆さんに手渡した卒業証書は、小学校の全ての学習を
修了したという証です。胸を張って、中学校生活に羽ばたい
てください。

 さて、先週、千年に一度という巨大な地震が日本列島を襲
いました。本当に恐ろしい出来事でした。
 お亡くなりになった皆様のご冥福と、被災された皆様が一
日も早く普段の生活に戻られますことを心よりお祈りいたし
ます。

 この地震から2日後、pray for japan(日本への祈り)と
いうインターネットのツイッターサイトが立ち上がり、たく
さんの人が励ましのメッセージや現地での出来事を書き込み
ました。書き込みは、深夜も途切れることなく、今も続いて
います。
 どんなことが書かれているのでしょう。まず2つ紹介しま
す。

「4時間の道のりを歩いて帰るときに、トイレのご利用どう
ぞ!と書いたスケッチブックを持って、自宅のお手洗いを開
放していた女性がいた。日本って、やっぱり世界一温かい国
だよね。あれみた時は感動して泣けてきた。」

「物が散乱しているスーパーで、落ちているものを律儀に拾
い、そして列に黙って並んでお金を払って買い物をする。運
転を再開した電車で混んでるのに妊婦に席を譲るお年寄り。
この光景を見て外国人は絶句したようだ。すごいよ日本。」

 こんな私たち日本人の心を、世界中の人が支持してくれて
います。
 アメリカ軍は日本への救援活動を、Operation Tomodachi
(友達作戦)と名付けました。
 国連は、「日本は今まで世界中に援助をしてきた援助大国
だ。今回は国連が全力で日本を援助する。」というコメント
を出しました。
 海外のたくさんのマスコミが、「阪神淡路大震災のときと
同じように、また日本人は大災害の中でも人への思いやりを
忘れない!」と驚きを報じています。
 地震が起こったことは、本当に不幸なことです。しかし、
その闇の中に日本人の心の美しさが輝くのを見るとき、一抹
の希望を感じることができるように思います。

 ツイッターからの紹介、最後です。
「千葉の友達から。避難所でおじいさんが『これからどうな
るんだろう』と漏らした時、横に居た高校生の男の子が『大
丈夫、大人になったら僕らが絶対元に戻します』って背中さ
すって言ってたらしい。大丈夫、未来あるよ。」

 私たちは、幸いにも大きな被害に遭うことなく、こうして
卒業式を迎えています。そのことに感謝しましょう。心から
感謝しましょう。そして、まず私たちが一足先に幸せになり
ましょう。
 人を本当に幸せにできるのは、自分は幸せだと感じている
人だけだからです。だから、笑顔がいっぱいの中学校生活に
しましょう。
 でも、笑顔の奥に、今回被災された方たちのことを忘れず、
周りの人への優しさや人のために強くなれる心をもっともっ
と大きく育てていきましょう。

 今回の地震からの復興には、今後十年かかると言われてい
ます。
 ちょうど皆さんが、社会に出て活躍し始める頃です。
 さっき紹介した、「大人になったら僕らが絶対元に戻しま
す」という高校生たちと共に、新しい日本を創っていってく
ださい。
 皆さんなら、できます。今年から1年生と6年生の教室を
隣り合わせにしました。この一年、いつも1年生が甘えてく
るのを優しく受け止めている皆さんの姿を、いつも「いいな
あ、いいなあ」と思って見ていました。キタラのコンサート
に行ったときだったでしょうか、地下鉄に身体の不自由な方
が乗り込んできたときに、少し迷っていたのですが、その方
の側まで行って席を譲ってあげた人もいました。総合的な学
習でアルメリア福住に行ったときにも、入所されているお年
寄りにすぐ近くで話しかけ、そこに笑顔の花が咲いていまし
た。本当にいつも「いいなあ、いいなあ」と思ってきたので
す。
 大きな災害に見舞われても、暴動や略奪などの自分だけの
利益に走らず、優しさやがんばりを自然に表すことのできる、
素晴らしい日本人に、皆さんなら必ずなれると、信じていま
す。

 最後になりましたが、保護者の皆様にお慶びを申し上げま
す。本日は本当におめでとうございます。お子さんは人生に
おいて最も多感な時期に入ります。楽しみの多い反面、保護
者として悩むことも多いかと存じます。
 しかし、皆様の前向きに生きる姿が、必ずお子さんを勇気
づけ、良い方向に向けていきます。お子さんが夢に向かう姿
を、どうぞ温かく見守り導き、家庭でも笑顔の花をたくさん
咲かせてください。そして、いつまでも「子供にあこがれら
れる大人」でいてください。
 これまでいただきましたご厚情に深く感謝いたしますと共
に、今後ともよろしくお願い申し上げます。

 さあ、卒業生の皆さん。羽ばたきの時です。胸を張って、
笑顔で飛び立ってください。

 平成23年3月18日

                 札幌市立羊丘小学校 校長 横藤 雅人
 ★
【学校長式辞】   札幌市立山の手南小学校長 新保元康

 六年間の努力が実を結び、
本日晴れて小学校の学びをすべて終えた証書
「卒業証書」を手にしたみなさん。ご卒業本当におめでとう。
 
又、この栄えある日に、○○中学校○○先生はじめ、
たくさんのご来賓のみなさまにご来校いただきました。
ご来賓の皆様には、いつもいつも子供たちをお守りいただきました。
本当にありがとうございました。

 そして、保護者のみなさま、お子様のご卒業心よりお祝い申し上げます。
 小学校生活六年間。
 その中に、語り尽くせぬ多くの喜びと、
多くのご心配ご苦労があったことと思います。
あらゆる努力が、皆様のすべての愛が、ここに実を結び
義務教育の第一段階を終えられたことを、改めてお祝い申し上げます。
 そして、この大事な初等教育の課程で、
私たちが皆様と共に子育ての一翼を担えたことを心より誇りに思います。

 さて、卒業生のみなさん、
 私は、やはり、この度の千年に一度と言われる
大震災のことを語らねばなりません。
 この地震は、ただの地震ではありません。
 宮城県や岩手県などの被災地では、
多くの小学校で卒業式が取りやめになったと聞きます。
私たちが今日この暖かい、立派な体育館で卒業式ができることを
本当に幸せに思います。
また、被災地のみなさんには心からお見舞いを申し上げたいと思います。
 
みなさんは、歴史の大きな変わり目に、小学校を卒業したことになります。
今回の地震は、
 日本の歴史を変えた
 日本の社会を変えた
大きな地震として「未来の教科書」に書かれているはずです。

 その「未来の教科書」には、どんな内容が書かれるのでしょうか?
 私は、大きく次の二つのことが書かれると確信しています。

一つは、「日本人のやさしさ・忍耐力・マナーの素晴らしさ」です。
 これだけの災害に見舞われながらも、
取り乱したり、勝手なことをする日本人がほとんどいないことに
世界の人々は驚いています。
  
 インターネットにはこんな書き込みがありました。
「物が散乱しているスーパーで、落ちているものを律儀に拾い、
そして列に黙って並んでお金を払って買い物をする。運転を再
開した電車で混んでるのに妊婦に席を譲るお年寄り。この光景
を見て外国人は絶句したようだ。」
(世界から届いた日本への祈り 【pray for japan】より)

この他にも、
 ・電車が動かなくても慌てず騒がず、黙々と歩いて帰る日本人
 ・その歩いている人たちに、
パンをあげたり、自宅のお手洗いを開放する日本人
 ・地震で道が大渋滞しても
決していらいらしたクラクションをならさない日本人
 すべての振る舞いが、世界の人たちの感動をよんでいるのです。
 みなさんは、こうした世界の人々に尊敬される日本人のひとりであることを
どうか忘れないでください。

もう一つ、「未来の教科書」に書かれることは、みなさんのことです。
そこには、こう書かれるはずです。
「平成の大地震で日本は大変な被害を受けた。
しかし、当時の若者が懸命に知恵を絞り、汗を流して働き、
日本は急速な回復を遂げた」
今回の地震から回復するためには、
10年20年の時間がかかることでしょう。
その回復の主役は、みなさんです。
今回の卒業のみなさんは11の中学校に進学します。
それぞれの進学先で、
大いに学び、
大いに体を鍛え、
心を豊かにしてください。

ぼんやりしているヒマはありません。
我が儘を言ってだだをこねているヒマはありません。

もちろん、不安なとき心が弱くなったときは家族に支えてもらいましょう。
今こそ家族の絆の深さを実感するときでもあります。

日本の国は、あなた方の成長を必要としています。
ぜひ、それぞれの得意なところをいかして、奮闘してほしいと願います。
そして、私は信じます。
二十年後、みなさんが、
いまあなたのお父さんおかあさんの年齢になったことろには、
日本は、これまで以上に素晴らしい国になっていることでしょう。
そして、お世話になった世界の国に
ご恩返しをする国になっているに違いありません。

先日、いっしょに勉強したとおり
「人間万事塞翁が馬」なのです。
今回の災いが、必ずや幸せに転じることになります。
そして、その幸せな新しい日本の国を造る主役は、みなさんなのです。
君たちはわたしたちすべての希望なのです。

今、みなさんの前途は晴れ渡っています。
自信をもって堂々と歩んでください。
ご卒業本当におめでとう。

札幌市立山の手南小学校長 新保元康
 ★
 私は、この2人の校長の式辞に深く感じ入った。
 卒業式の式辞は、校長の仕事として最高級の仕事の1つである。
 卒業していく子供たちに餞(はなむけ)の言葉をどのように選んでいくかは、校長として自分をどのように処しているかが試される。
  私は37年間の教師生活で、ただ1人だけすごい式辞に立ち会ったことがある。
 だがそれ以来、一人もそんな式辞に立ち会ったことがなかった。
 今回、この2人の式辞に立ち会っている。
 感動的な言葉がちりばめてあるわけではない。
 読む人にとっては、「校長としてならこのくらいのことを言うべきだ」としたり顔で言う人がいるのかもしれない。
 もちろん、式辞は校長が選ぶべきものであるので、どんなものでもかまわない。
 しかし、2人の校長は今回の大地震から何を汲み取り咀嚼して、自分の中を通過させて、自分の言葉で子供たちへどのような言葉を発していくべきかについて考え抜いている。しかも、そのことを1週間という短い時間のなかでなされている。大きな苦しみがあったに違いない。
 それは、2人に、この大地震がこれから日本を左右していく大きな「できごと」であるという認識があるからである。
 そして、2人の校長は、このような式辞を発している。
 ★
 横藤校長は、次のような言葉で子供たちに自分たちの生き方の位置づけを提起している。

 「私たちは、幸いにも大きな被害に遭うことなく、こうして
卒業式を迎えています。そのことに感謝しましょう。心から
感謝しましょう。そして、まず私たちが一足先に幸せになり
ましょう。
 人を本当に幸せにできるのは、自分は幸せだと感じている
人だけだからです。だから、笑顔がいっぱいの中学校生活に
しましょう。
 でも、笑顔の奥に、今回被災された方たちのことを忘れず、
周りの人への優しさや人のために強くなれる心をもっともっ
と大きく育てていきましょう」

  新保校長は、「未来の教科書」という言葉を提起している。これはユニークだ。

  「みなさんは、歴史の大きな変わり目に、小学校を卒業したことになります。
  今回の地震は、
  日本の歴史を変えた
  日本の社会を変えた
  大きな地震として「未来の教科書」に書かれているはずです」
  ★
 2人の式辞は、おそらく子供たちだけのことではない。
 今まで大きく日本人の価値観を揺さぶり、変えていった日本の転換点。
 それは、あの明治維新であり、あの敗戦のできごとであった。
 それに、今回の2011年3月11日の東北・関東大地震が付け加えられよう。
 日本人の一人一人が、自分の立場、自分の仕事で、これからどうしていくかを考え抜いていく、そのような方向が与えられたのである。

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業務連絡です

   連絡いたします。
 3月27日(日)の横浜野口塾は、今回中止になりました。
 計画停電などの影響でとてもむずかしい状況です。
 
 

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気仙沼からのメール

   気仙沼の親しい友人のことが一番気になっていた。
 テレビで気仙沼が放映されれば、友人の姿を探した。
 メールはすぐに打ったが、そんなものが届くはずはないと思っていた。
 だが、今日朝8:00に突然メールが届いたのである。
 「気仙沼の○○」と書いてあって、「だいじょうぶだ!」と小躍りした。
 次のメールである。 
 
 野中先生おはようございます。気仙沼の○○でございます。新刊書籍をありがとうございました。
3月11日に大地震を受けて以来、連日の停電に断水と、ライフラインの復旧はまだまだ時間がかかりそうです。その様な中、今朝より携帯電話が使えるようになり、家族全員の無事を報告させていただきます。
しかし、児童の中には、大津波で家を無くしたり、職員の中にも残念ながら家族を失った方もおります。
さらに困ったことに、体育館が、遺体安置所になってしまいました。
従って、卒業式や修了式の日程はまだ決まらず、また新学期もどうやって迎えたらよいか、思案中です。
ニュースでご存知の通り、気仙沼の海沿いの町は、壊滅的な状態です。
それでも、避難所にいる児童を毎日励まし、徒歩で家庭訪問をして、児童の安否確認をしています。
現実を受け入れ、前向きに頑張って参ります。

 家族も無事だ。良かった。こんなにうれしいことはない。
「避難所にいる児童を励まし、徒歩で家庭訪問をして、児童の安否確認をしています」と、もうすでに教師としての活動をしているようだ。

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1週間前の光景と、現在の光景はまったく違っている

  あれから6日間が過ぎようとしている。
 1週間前の光景と、現在の光景はまったく違っている。
 計画停電が始まっている。
 私の家では、昨日の7時から10時まで停電した。
 夕食も風呂も済ませていたが、7時に寝るわけにはいかない。
 それでいて暗闇の中で何をすることもできない。
 仕方なく懐中電灯をつけて、狭い家の中をいつものように熊みたいに歩き回った。
 不思議な感じである。
 今日も、4時頃から停電。
 炬燵から這い出して、家の中をぐるぐると歩き回る。
 7時ちょっと前に電気がつく。
 電気のありがたさがしみじみと感じられる。
 ★
 今日は勤務日。
 歩いて相鉄線の鶴ヶ峰駅まで急ぐ。
 間引き運転をされている。
 だから、いつもより多くの乗客が乗り込んでくる。
 学校は、給食が突然中止されたので、急遽午前中授業へ切り替えられている。
 昼に昼食を買いに行っても、コンビニやスーパーにほとんど品物がない。
 パンもおにぎりも何もない。
 「何にもなくて缶コーヒーだけ買ってきました」
 と一人の先生が言う。
 多くの人たちが買い占めに走っている。
 困ったものだ。
 ★
 福島原発が心配だ。
「米マサチューセッツ工科大学で原子力を専攻し、その後に原子力発電プラントの開発技師だった私の経験とこの数日間で原発関係者から集めた情報をもとに現状について考えてみる」という形で大前研一一さんが報告している。

 http://ow.ly/4fxZD 

 マスコミや東電や政府がどれだけ正確な情報を出しているのかどうか、それは分からない。
 その中で、大前さんのこのような報告は、耳を傾けておくことが必要だ。
 大前さんは、今回の原発事故はスリーマイルよりも状況は悪いと言っている。
  ★
 毎日、地震が続く。
 携帯にかかってくる緊急放送は、毎日何通にもなる。
 夜中に何回も起こされる。
 寝不足である。
 特に、昨日の静岡東部の震度6強の地震には驚かされた。
 今までは東北での地震が何回も起こっていたが、関東を飛び越えて静岡である。
 日本列島の下の地盤が、東北関東地震に誘発されて起こっている可能性がある。
 これがちょっと心配になる。
 関東も同程度の地震が来たら、大変なことになる。

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批判をしない!一致団結すること

 福島郡山の親しい友人のW先生(指導主事)からメールが届く。
 
「対策本部に、ずーと、つめていました。市民の方だけでなく、原発関係で避難してきた方々でいっぱいです。

本日、やっと、職場に戻り、環境を何とか整え、ネットにつながりました。

家の中は、手つかずですが…。

ガソリンが切れました。自転車で動いています。

何をどうしていいのかわかりませんが、一つ一つ課題に向かっていくしかありません。

ご心配をおかけしました。また、連絡します。」

 ★
 今、私たちが努めて気を付けていくのは、「否定的な言葉」を振りまかないことである。
 未曾有の事態が起こっているのである。
 対策の最先端に立っている当事者たちは、当然間違ったり、失敗したりする。
 前例がないから当然だ。
 それに対して、一々さまざまな批判をしないことだ。
 輪番停電で、東京電力は、二転三転の方向を出している。
 批判しない。当たり前だ。今までこんなことをやったことがないからである。
 混乱をするのは仕方がない。
 枝野官房長官が、福島原発でうまい答弁ができない。
 批判はしない。
 不眠不休で行っているのである。
 ある党の党対策本部で菅政権の東日本大震災への対応に批判が噴出したと、朝日新聞は伝える。
 「枝野官房長官は事態をしっかり把握せずに不正確な情報を伝えている」
 「原発問題への対応が甘い。専門家が説明すべきだ」
 「民主党の岡田克也幹事長が『新年度予算を通さないと対応できない』と言っている。火事場泥棒とは言わないが、発信の仕方を考えて欲しい」  
  この連中たちは、この事態にいたってまだのうのうとこのような批判をして過ごしている。
 政治家の劣化の激しさは言いたくもない事態だが、とにかく何も分かっていない。
 今は、一致団結してこの未曾有の事態に当たることである。
 そのことが分かっていない。
  ★
 海外からは、さまざまな反響が届いている。毎日新聞は伝える。

  <東日本大震災>「不屈の日本」…米紙称賛
毎日新聞3月13日(日)17時59分[.] 【北米総局】東日本大震災を受け、米紙ウォールストリート・ジャーナル(電子版)は12日、「不屈の日本」と題する社説を掲載した。社説は地震大国日本の技術力と「備え」をたたえ、「日本は経済が低迷し、政治家の失態に国民の大部分は当惑しているが間違ってはいけない。日本の産業力は依然として偉大だ」と述べた。

 社説は「1億2600万人以上が住む島国が、(大規模)地震にいかに持ちこたえたかについて言及せざるを得ない」としたうえで、日本が100年以上にわたり「建物の耐震化をしてきた」と指摘。「今回の地震で高いビルは持ちこたえたようだ」と分析した。

 93年完成の横浜ランドマークタワーに触れ「高さ971フィート(約296メートル)は地震大国では驚異的。最先端の建築工学を駆使できる技術と富があって初めて可能になった」と評価。また07年導入の緊急地震速報を「世界最先端の技術」と紹介し、11日の地震発生時にも「高い評価を得た」とたたえた。

 また米紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)は11日、阪神大震災当時に東京支局長だったニコラス・クリストフ氏の「日本へのお悔やみ、そして称賛」と題するコラムを掲載、日本人の精神力の強さをたたえ、復興に向けてエールを送った。

 クリストフ氏は、阪神大震災時の取材で、崩壊した商店街で略奪がほとんどなかったことや、支援物資の奪い合いが生じなかった事例を紹介。「我慢」という日本語を引き合いに「日本人の忍耐力や冷静さ、秩序は実に高潔だった」と説明し、「今後、それらが示されるだろう」と期待を寄せた。

 

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日本は未曾有の事態を迎えている

   日本は未曾有の事態を迎えている。
  今日、先生たちは子供たちに会って、どんな話をされたのだろうか。
 教師として精一杯包み隠さず事実を伝えることである。
 私は、今回のことで日本の何かが変わるのだ思っている。
 いや、変えなくてはならないと思っている。
 自分ができることでこの事態に立ち向かうことである。
  ★
 愛知の玉置先生は次のように書いておられる。紹介したい。
 http://www.k-net.or.jp/~kndm0037/

 2011年03月13日(日) やれることを考えやることしかない

 報道を見れば見るほど、言葉を失う。今、この地域で、この立場で、自分は何ができるのだろうか。もし学校現場にいたら、明日の朝、子どもたちにどう話をしたらよいのか。職員には何をお願いすべきなのか。

 佐藤正寿さんはブログに「教師としてすべきことに力を尽くしたいと思います」と書かれた。真の教師であるなら、被災地に限らず、すべての地域の教師が同様な気持ちであると思う。

 では自分には何ができるのか。今日は「日本がんばれ! - 元気の出るつぶやき集」で描写されている日本人像を教師が子どもたちに伝えることで、子どもも教師もこの日本の事態に、今、自分ができることに精いっぱい取り組むことの大切さを感じ取ってくれるのではないかと思い、配布できるようにまとめてみた。仲間にも送った。今、やれることはこんなことだ。

 内田樹さんのブログを読む。こういう状況のときに「否定的なことば」を発することは抑制すべきだと言う。まったく同感。

 いまはオールジャパンで被災者の救援と、被災地の復興にあたるべきときであり、他責的なことばづかいで行政や当局者の責任を問い詰めたり、無能力をなじったりすることは控えるべきだ。彼らは今もこれからもその公的立場上、救援活動と復興活動の主体とならなければならない。不眠不休の激務にあたっている人々は物心両面での支援を必要としている。モラルサポートを惜しむべきときではない。

 国からの報道を見るたびに、蓄積された疲労がありありと見て取れる。記者からの批判的な質問に、冷静に応える姿勢にTV前で拍手を送っている。頑張ってほしい。

  「日本がんばれ 元気の出るつぶやき集」を見てほしい。
 涙が出てくる。
 http://matome.naver.jp/odai/2129998741447216701
 ★
 このブログにも出てくる岩手の佐藤正寿先生は、深刻な事態にもかかわらずブログを発し続けておられる。
 http://satomasa5.cocolog-nifty.com/
 注目したい。 

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関東では、余震が続いています

   さまざまなことが分かりだしている。
 
 ①今回の地震は、M9.0(最新の気象庁発表)。
    超巨大地震である。
    阪神大震災の事態よりも、何倍もの規模の災害である。
  
 ②福島原発で、住民の被爆が始まっている。
  最悪の事態をどのように押さえ込めるかどうかがこれからの課題である。

 ③南三陸町では、1万人ぐらいの人が安否が確認できていない。
    津波にのみ込まれた可能性が強いらしい。
    まだまだ被害の全容が分かっていない。
    孤立している人たちが、まだ多くある。

 ④今回の震源地は東北三陸沖だが、それは一定の場所だということではなく
    三陸沖から茨城沖までの広い震源域が、今回の地震を引き起こしているということらしい。
    太平洋側の地盤が今回の地震で変化している状況で、さまざまな連動を起こしている。
    秋田沖の地震も、長野の地震も、連動しているということだ。
    これから関東の地盤が連動していく可能性が出てくる。

  関東では、余震が続いている。1時間に何回も余震がある。

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とにかく今問題なのは、福島原発である!

 今、何に注目しなくてはならないか。
 福島原子力発電所である。
 避難指示が20キロに広がっている。
 私たち素人には、そのことが何を示しているのかよく理解できない。
 池田信夫さんのブログがある。
  http://ikedanobuo.livedoor.biz/
 このブログの横で池田さんのツィッターに刻々と専門家が情報を流している。
 とりあえず、これに注目してほしい。
 
 

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時間の流れが止まっているように感じる!

  映し出される映像に息をのむ。
 まるで映画を見ているような映像が次々に出てくる。
 津波が押し寄せている。
 向こうの道路では車が走っている。
 そして、その車を飲み込んで津波は道路を踏み越えていく。
 手前の道路では、大きなトラックの荷台に一人の男の人が乗って、うろうろしている。
 思わず「早く手前へ逃げろ!」と叫ぶが、ただただウロウロするだけ。
 津波は押し寄せてきている。
 呆然となる。
 ★
 昨日から時間の流れが止まっているように感じる。
 気仙沼の親しい友人が気がかりだ。
 虚しくてもメールを出す。
 そんな段階ではないと思いつつ、とにかく何かしなくてはならない。
 ★
 朝起きて、テレビを見る。
 ヘリで映し出される映像。
 土台だけを残して、根こそぎ津波が住宅を消し去ってしまっている。
 海なのか、住宅地なのか、川なのか、…分からない。
 ここに住んでいた人々は、何処へ行ったのか。
 大丈夫だったのだろうか。
 逃げられたのだろうか。
 映像では、誰一人見つけることができない。
 ★
 気仙沼の友人と昨年会って話したとき、
 「大きい地震がいずれやってくるのですよ。」と話していたことを思い出す。
 その時がやってきたのである。
 
 
 

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東北は深刻な被害が出ている!

  午後2時頃だったのだと思う。
 窓の外がざわざわしているので急に風が吹いてきたのかと思いきや、突然揺れ出した。
 あわてて大きな飯台の下に隠れて足につかまる。
 「これは大変な揺れだ」
 「このままさらに揺れたら、深刻な被害が出る。おさまれ、おさまれ」と祈るような気持ちになった。震度5ぐらいの揺れであったはずだ。
  すぐに電気が切れた。
 外へ出る。
 周りの人たちがざわざわして外にとびでてきている。
 充電用のラジオをかける。
 震源地は、東北であることが分かる。
 津波が押し寄せてくるので避難するように呼びかけている。
 東北は深刻な被害が出ていることが予想できた。
 知り合いがいる。大丈夫だろうかと心配になる。
 女房は買い物に出たまま帰ってこない。
 携帯もまったく通じない。
 電話もかけられない。
 今日一日中余震が何回も来る。
 何回も起こる大きい地震の震源地が、だんだん関東の方に近づいてきているのが気になる。
 震災用の荷物を確認する。
 避難場所を隣近所と確認する。
 
 

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覚悟を決めることです

    明日の教室での2つの初任者講座が終わった。
 また、寝屋川での講座や、これからも愛知のK市の講座、東京O区の講座、兵庫M市の講座も続いていく。
 私の1回限りの講座を聞いて、初任者のみなさんがうまく学級経営を乗り切っていけるのか?
 もちろん、そんなことはありえない。
 さまざまな予定しない場面が起こってきて、苦しむに違いない。
 だが、基本的なことだけは私の講座が提起している。
 誰も今まで教えなかった、具体的な内容になっていたはずである。
 その内容を具体的な場面で応用できるかどうか、それはその人のスタンスが決める。
 そのスタンスを一応私は「素直さ・責任感・向上心」と指摘しておいた。
 「そのスタンスはどのようにして確立したらいいですか?」
という質問が初任者講座で出た。
 もちろん、それについてハウツウがあるはずはない。
 自分で切り開いていくのである。
 橘大学の池田先生は、当日の講座について書かれている。 
 
 「覚悟を決めることです」
3/5

野中先生の明日の教室が終わった。明日の教室には五回もお越し頂いている。そして、今回は明日の教室初めての1日講座。10時から17時までである。

新卒の先生が考えなければならない大事な13の項目を、3つのジャンルに分けて講義してくださった。講座の内容は糸井先生のブログや川本先生のブログに詳しい。

今回の講座で私たちは何を手に入れたのかを考えてみる。それは肚の括り方ではないかと思うのだ。野中先生は講座の最後の質疑の所で
「四月までにすることは何でしょうか?」
という新卒予定の四回生の学生さんの質問に対して、
「覚悟を決めることです」
とおっしゃった。これである。

仕事に就くということは、簡単に言えば、逃げ出せないということなのである。勿論、助けてくれる仲間や上司、友人もいるだろう。しかし、仕事そのものから逃げ出すことは出来ないのである。

先生と呼ばれる仕事は、専門職であり、代わりが聞かないということなのである。いや、確かにその先生が辞めたら次の先生がくる。だから代わりは効くという言い方も出来る。しかし、その場そのときにおいて、その人にしかできない子どもとの関わりがある。だから、代わりは効かないのである。

採用試験に合格することをめざし、教師になることを目指して来た彼ら彼女ら四回生は、学校教育現場に立つのに一ヶ月を切った。あれもしたい、これもしたい。あれもせねば、これもせねばと思う。不安にも感じる。そんな中で、大事なのは、覚悟を決めることというのは、まさにその通りだと思うのだ。

人は、退路を断ったときに前に踏み出すことが出来る。そういうことをおっしゃってくださったのだと思う。

私たちは若い先生を応援するつもりで、明日の教室を立ち上げた。
応援である。
だから、若い先生はまず自分で肚を括って前に出なければならない。
一歩前に出る、と覚悟を決めるのだ。

懇親会を一次会で終え、私は東京行きの新幹線に乗った。例の番組の打ち合わせが翌日朝からあるので、前泊なのであった。ところが、特急券指定席の予約日を一日間違えているは、乗車券を買わないまま改札口に言ってしまうは、コートを新幹線内に置き忘れてしまうは、で散々であった。

野中先生の言葉を思い出しながら、気を持ち直す私であった。

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とびきりうれしくなる書評

 他の人のブログを読んでいて、とびきりうれしくなるできごとに出会う。
 私の本を書評されている。
 書評者は、長いこと編集の仕事をされてきた村岡明さん。
 http://muratyan.cocolog-nifty.com/book/
 私の本とは、「野中信行が答える 若手教師のよくある悩み24」(黎明書房)である。
 このように明快に読み解いていただいている。
 私の意図をこのように理解していただいているのは、とてもうれしいことである。
 ほんとうにありがたい。
 ★
 
若手教師のよくある悩み
「野中信行が答える 若手教師のよくある悩み24」野中信行:著 中村健一:編(黎明書房)

先日久しぶりにK書店本店の教育書コーナーを訪れました。5,6年前よりも、コーナーが広がった印象があります。首都圏では、若い先生が急増中だからなのでしょうか、とりわけ若い先生向けの本が目立ちました。

その中で新刊本のコーナーにあった本書を読んでみることにしました。「まえがき」がとても印象的だったからです。本書が「メールマガジンの書籍化」ということに興味を引かれた部分もありましたが、それ以上に本書のねらいというか、著者の野中さんの思いを書いた部分に惹かれたからです。

今、多くの先生たちの中から、子どもたちと関わる「楽しさ」「おもしろさ」「歓び」がなくなっていっています。そのことがとても心配です。だからこそ、相談に解答(原文ママ)する際、私は、執拗にそこにこだわっているのです。(中略)子どもたちの歓びを我がことの喜びとして受け取るところに、教師としての生き甲斐があるはずなのです。これが教師としての原点です。(中略)教師としての原点を忘れないようにしてほしい。そのための仕事を積み上げていってほしいと願っています。

「こんなのあたりまえじゃないの?」と思われる方がいるかもしれません。確かにどこかの教育評論家が述べたとしたら、説得力がない内容でしょう。しかし、野中さんは教職生活37年を経た現役の初任者指導教諭です。その初任者指導も、もう3年もなさっているとのこと。この先生が、「先生の中から、子どもたちの関わる喜びがなくなりつつある」というのですから、現状がいかに尋常ならざる事態になっているのかと言うことがわかります。
この文章によって、本書を手に取る若い先生は「あ、わたしだけじゃないんだ」と安心できるでしょうし、私のような門外漢にとっては、正しい現状認識につながります。とかく教育談義は、だれもが学校教育を受けた経験を持っているだけに、自分の浅薄な経験だけを頼みに勝手なことを言いたがりますからね。

それと同時に、本書のねらい(コンセプト)を明確に示しているとも感じました。本書は、カテゴリとしては「ノウハウ本」ですから、対処法を獲得することに終始してしまう危険性があります。だからこそ野中さんは、そのノウハウを伝授する前に、教師としての原点「子どもたちの歓びを我がことの喜びとして受け取るところに、教師としての生き甲斐がある」を示したのでしょう。つまり、これから伝授するノウハウは、すべて原点を見失わないための手段にすぎないのだよ、というメッセージです。これは、とても大切なことだと思いました。

次に本書の構成について。本書のタイトルには「よくある悩み24」とありますので、てっきり「悩み相談→その回答」という本かと思っていました。実際、立ち読みしたときには、そのように見えましたし。
しかし実際には、「悩み事例→その解説」という構成でした。本書は、「教師としての原点」のためのノウハウ提示を目的としているですから、提示するノウハウの質はもとより、悩みの本質をきちんと伝えることも重要という考え方なのでしょう。なかなかおもしろい構成だと思いました。

そして肝心のノウハウ部分は、印象に残る言葉で具体的に記述されていました。毎度本書を持参して学級経営に当たるわけには行かないのですから、確実に記憶に刻まれる言葉を選ばれた(編み出した)のでしょう。たとえばこんな具合です。

•私は、1年生を「その場、おもしろ、理想主義者」と名付けています。
•「子どもとの関係づくり」については、現在私は「縦糸・横糸」論を提起しています。
•私は、この現状を乗り切るために、「味噌汁・ご飯」の授業を提唱しました。
•最近、担任を持つための学級づくりでの必要条件は何かと言われたら、「覚悟、ビジョン、方法」という3つを挙げることにしています。
•私は、組織論として「2割対6割対2割の法則」を考えています。
いずれも「え?何かな」と興味が湧いてくるネーミングです。むろんネーミングだけでなく、これに続く具体的なノウハウも、十分すばらしいのですが、まず読者の頭にイメージさせるという点で、こうしたやり方は適切だなあと思いました。おそらく野中さんは、子どもたちに対しても、こうしたうまいネーミングで指示されていたのでしょう。ここに示された、具体的ノウハウを読みながら、野中さんの指導ぶりが想像できました。

現在学校を取り巻く状況は、なかなか厳しいものがあります。私もなんとかお役に立ちたいと思っているものの、その具体的方法を見いだせずにおりました。こうした良質な教育情報の提供──そのあたりに私の存在意義があるのではないかなと、最近は思っています。

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ピンクの本、2版の増刷!

   明治図書からの連絡である。
 「新卒教師時代を生き抜く学級3原則」(ピンクの本)が、2版の増刷決定。
 明治図書には、すでに在庫がなくなったという。
 発刊から2週間もしない間の快進撃である。
 ほんとうにありがとうございます。
 ついでに、「新卒教師時代を生き抜く心得術60」(青い本)も、12版になった。
 うれしいことである。
 
 

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「地上戦」と「空中戦」ということ。

   堀裕嗣先生が、今回の私の学級づくり本を「地上戦が展開されている」と評された。
 この「地上戦」という言葉がさまざまな場所で話題になった。
 ★
 「修業をする」「プロ教師になる」「あこがれの授業を目指す」「名人教師をめざす」「授業の原理原則を明らかにする」…という、いわゆる「空中戦」を多くの教師たち(とくに若い先生たち)が求めなくなっている。
 それは、言い悪いということではなく、そんな時代になっているのだという認識である。
 多くの教育雑誌が売れなくなり、部数が少なくなり、いくつかは廃刊になる。
 教育書も売れない。
 民間の研究会に人が集まらなくなっている。
 ましてや官制の研究会は、もっとひどい。
 それは、もう「空中戦」を多くの教師たちが求めなくなっている結果が底流にあるからである。
 その現象は今始まったのではなく、もう以前より続いている。
 だが、私は、「空中戦」は必要だと思っている。
 この空中戦が、教育の「未来」を切り開いていくからである。
 ★
 しかし、反面今「地上戦」をしなくては「現実」は切り開けないと思っている。
 私の今回の学級づくり本は、空中戦をしている名うての実践家たちには不評であろう。
「なんだよ、この本は。書いてあることは当たり前のことばかりじゃないか。今まで言われていることを繰り返したことにしか過ぎないよ。こんな本出してどういう意味があるのかね」と。
 当然、このような言われ方をする。
 この本は、初任者がぶつかっている「現実」を初任者のいる場所から明らかにし、その場所で克服する処方箋を提起している。
 ただ、それだけの本である。
 はっきりしているのは、多くの普通の教師たちはこのようなありきたりだが、今ぶつかっている現実を克服する処方箋を求めているのだということである。
 多くの教師たちが本も読まない、勉強もしなくなったと言われて久しい。
 私は、決して否定的な面ばかりではないと思っている。
 勉強の仕方が私たちと違ってきているし、決して「学び」を否定しているとは思われない。
 私たちが今まで求めてきた「修業術」や「仕事術」や「あこがれの授業」を、若い世代が求めなくなっているという現実があるだけである。
 求めるベクトルが違ってきている。
 ★
 堀裕嗣先生が学事出版より「学級経営の10の原理 100の原則」の本を出した。
 内容については、以前より知っていたし、早く出版化されることを願ってきたものである。
 向山洋一先生が出した名著「授業の腕を上げる法則」がある。
 これは小学校の先生が出した画期的な本であった。
 今回の堀先生の本は、中学校の先生が出した学級経営についての画期的な本である。
 中学校の先生は、今までこんな本を出せなかったと、私は考えてきた。
 だが、ついに出てきた。
 ★
「しかし、いまの時代、何より必要なことは『成功すること』ではなく、『失敗しないこと』なのです。学級経営でいえば、まず必要なのはすごくいい学級をつくることではなく、まずまず大過なくやることができる、そういう能力です」 
「新卒であろうと中堅であろうとベテランであろうと、まずしなければならないのは『失敗しない学級経営システム』を構築することです。それに成功を目指す、学級経営に潤いを目指すような取り組みが加わればなお良い、そういうものです」
「若手教師もまずこうしたシステムを学ぶべきです。
 安定的な学級経営システムをもっていない中堅教師も、いまそれなりに失敗しないで済んでいるのは、あなたが若いからです。もう少しして、生徒との心理的距離が離れてくると学級経営が立ち行かなくなっていきます。いまのうちに失敗しないためのシステムがどうつくられているのか学ぶべきなのです」
「つまり、どの世代にとっても必要なのが、学級をマネジメントするためのシステムなのです。個人的な資質や個人的なキャラクターによる潤いは、その安定した学級システムの上に、学級経営において更に上を目指す、更に豊かな学級経営を目指すためのスキルなのです。これを勘違いしてはいけません」
 どの指摘を引用しても、その通りである。
 ★
 これは堀先生の「地上戦」なのか?
 私もそう最初はそう思った。
 しかし、違う。
 試みは、空中戦だが、充分地上戦も闘える。そんな希有の書であろう。 
 

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値踏みに反撃する!

  3月5日に京都で明日の教室があった。
 120名の参加者。
 橘大学で新しく建てられた明優館で行われた。
 最新設備の教室である。
 ★
 5時間の講座。聞いておられる先生方も大変である。
 2日に分けて設けたら理想的だが、そんな余裕はない。
 13の課題をあげ、その課題に先生方一人一人が問いかけ、私がそれに答えていくという形で進めていった。
 この課題の中で、「学期の最初、子供たちはどう動くか」という課題がある。
 1週間は値踏みの時間である。
 もちろん、子供たちが担任を値踏みする時間だ。
 初任者は、値踏みされている自覚がない。
 だから、「昨年はこうしたのに!」「前のクラスでは良かったのに!」と子供たちから言われるとオタオタしてしまう。
 この値踏みに担任は反応しなくてはならない。
 それは、「叱る」儀式とでも言えようか。
 担任は、子供たちが理不尽な行動を取ったとき、最高に怖い先生になるという場面を意図的に設定しなくてはならない。
 半分以上は、演技力がいる。
 場面を設定して、4月からの初任者3人に「叱る」場面を演じてもらった。
 「私が点数をつけます。10点満点です」と。
 男子、女子、女子の順で演じてもらった。
 3点、3点、1点となった。
 理屈っぽい、迫力不足、…ということになる。
 これでは、「怖い先生」のイメージはつけられない。
 ★
 私も登場。女性の先生役を演じる。
 体育館で、ほんとうは体育係がみんなを集めて準備体操をしておかなくてはならないのに、みんなはそれぞれに遊んでいるという場面。
 「あなたたち、何やってるの!いい加減にしなさい!」
 とまず怒鳴った。
 「集合!」
 みんなを集めて、
 「先生は、一生懸命体育の授業をしたいと思ってるの。それなのに、何ですか!これは!」
 「もう1回体育館に入るところからやり直しなさい!」
と怒鳴った。
 私の迫力に、先生方もしんとなった。
 おそらく、4月からの初任者3人との違いは歴然としていたに違いない。
 その後、大阪の川本先生にも演じてもらった。
 現場の教師はひと味違うのだ。
 ★
 「あと1ヶ月どんなことを準備すればいいですか?」と質問が出た。
 この質問は、あちこちでなされる。
 「覚悟を決めること」というように答えた。
 本を読んで、さまざまな知識をつけることも必要である。
 だが、あと1ヶ月でほんとうに身に付けることは、
 「よし、教師としてとことん勝負をしてやる」という覚悟である。
 ★
 講座が終わって、橘大学の別の会場で懇親会が行われた。
 多くの方が残られた。
 池田先生が、ずらりと10本ばかり日本酒を持ち込まれていた。
 すごい日本酒。
 獺祭、開運、……もう覚えていない。
 とにかく、うまい、うまい。
 二次会は、川本先生たちと私が泊まっているホテルのとなりの居酒屋。
 楽しい会だった。
 ★
 私が持ち込んだ本が飛ぶように売れた。
 ピンクの本(ちょっと誤解されそうだが)40冊、青い本20冊、学陽書房の縦糸横糸の本20冊、中村健一さんのネタ本10冊 全て完売である。
 みなさん、ありがとうございます。
 

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学級崩壊は増えている!

   2月24日(木)の神奈川新聞に「県内公立小で『学級崩壊』急増」という記事が載る。

 県内の公立小学校で、いわゆる「学級崩壊」が近年、増加している。県教育委員会の調査では、2009年度に学級崩壊となったのは162学級。影響を受けた児童は約5000人に上り、5年間で倍増した。少子化で学級が小規模化し、担任教諭の目が行き届きやすいにもかかわらず急増している状況だ。県教委は今後、過去の分析結果を踏まえた担任向けのチェックリストを作成、配布するなどして、学級崩壊の未然防止を目指す。

 何度も私は増えていると言い続けてきた。
 神奈川県内で162学級だと書いてあるが、実際はそんなものではないはずである。
 県教委は、学級崩壊の定義として、①担任の指導に3割以上の児童が従わない ②他の児童も対象児童を注意せず迎合する ③担任が指導中、別の児童が問題行動を起こす
 などの項目を上げている。
 問題なのは、このような学級は氷山の一角だということ。
 より深刻なのは、崩壊にはカウントされないが、全体的にざわざわしていてうまく授業も学級活動も進んでいかないという学級が増えていることなのだ。
 こういう学級の裾野は広がっている。
 ★
 私は、「困難な現場を生き抜く教師の仕事術」(学事出版)の中で、「学級が崩れていく予兆を知っておくこと」として次の内容を提起している。

 レベル1 ほころびの状態
        1 机を隣の子と話す
        2 チャイムがなっても、学習の用意ができない
        3 ノートに落書きが目立つ
        4 朝自習ができない
        5 学級文庫や靴箱が乱れている
        6 給食の残りが多い
 
 レベル2  すでに崩れかかっている状態
        1 1週間友だちから話しかけられない子がいる
        2 朝礼時に遅れる子供が、3人以上いる。また、朝礼時に私語があった
り、列が乱れていたりすることが多い。
        3 掃除をさぼるものが多く、教師のいない所では真面目に掃除をしない
        4 教師の指示に対して、反応が遅く、行動がとても緩慢になる。
        5 教室にゴミが落ちていて、いかにも雑然としているのに誰も片付けよう
    としない
          
 レベル3 荒れてしまっている状態
        1 特定の子に触れた後、○○菌と他の子にタッチを回すことが平気で行われる

        2 集合時刻にすごく遅れても平気である
        3 前に禁止したはずのルールが、いくつか破られる
        4 授業中、私語が絶えず、指示が通らない
        5 休み時間などに窓から物を次々と落とす
       
  レベル4 騒乱状態
        1 特定の子へのいやがらせや命令が隠れたところでなく、白昼堂々と行
われる
        2 チャイムがなっても、外で平気で遊んでいる
        3 誰が注意をしても、冷笑、口答えが返ってくる
        4 参観日でもぐちゃぐちゃで授業にならない
        5 教室の備品が、次々と壊され、なくなったりする

 ★
 レベル4の騒乱状態をきっと「学級崩壊」とカウントしていると思われる。
 ところが、レベル3はカウントされていない。
 まだ、何とか授業は続いているからである。
 私が裾野が広がっているというのは、レベル2やレベル3のクラスが増えていることなのだ。
 中堅やベテランと言われる教師たちが、いつも1年間こういう状態にして、青息吐息で3月を迎える。そして、また新しい学級で、同じことを繰り返している。
 ここを問題にできない教師たちの「明日」は厳しいのである。

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 「必ずクラスがまとまる教師の成功術」(学陽書房)が出ました!

Photo_3  ネット研のオフ会で、横藤先生たちが横浜へ訪れていたときであった。
 飲み会の席で、ふいと横藤先生が、「縦糸が、~~~~、横糸は~~~」という話をされた。
 「えっ!それなあに?」という聞き方をしたのだと思う。
 それからそれについて書いてある本があるのだろうかなどを聞いていったことを思い出す。
 「保護者会で話したときのプリント2枚がありますよ」
 「じゃあ、それをすぐに送って下さい」
 ★
 こんな形で始まった。
 そこから今回このような本になった。
 まったく偶然にふっと小耳にはさんだ話から、この本は始まったのだ。
 この偶然が必然だったように、今では私の学級づくり3原則の1つになっている。
 「関係づくり」である。
 初任の先生たちは、ほとんどこの「縦糸を張る」ことができなくて、学級を荒らしている。
 教師として「縦糸を張る」というイメージがなかなかつかめないのだ。
 その意味で、この本の登場は大きな意味をもつのだと思う。
 提唱者の横藤先生が、はじめて縦糸・横糸の意味を明らかにしている。
 私は、「縦糸を張る」ことの1つとして「3・7・30の法則」の具体的展開を明らかにしている。
 きっと学級を不安定にしている先生たちの助けになってくれると確信している。
 
 

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大阪寝屋川へ行きました!

   大阪の寝屋川へ行った。
 来年度の初任者を集めてのガイダンスであった。
 2時間30分。
 緊張している初任者へ向けて、学級づくり、授業づくりについて話をした。
 寝屋川教育委員会は、今年度初めての試みとして3月1日にガイダンスとして初任者を集めての講座を設けている。
 1ヶ月前にこうして集めて行うのは、きっと全国初めてのケースではないだろうか。
 それだけに私も力が入った。
 初任者は、私の話を聞いて、これから1ヶ月をかけて準備ができるのである。
 寝屋川教育委員会の意気込みがうかがえる。
 ★
 4時過ぎに終わり、そのまま現場の先生たちが集まっておられる会合へ参加する。
 私の親しい友人の1人である寝屋川の宇治校長が呼びかけて集まった先生たちである。
 ここでも1時間ほど若い先生たちとやりとりをしながら学級づくりについて話をする。
 若い先生方、校長先生たち、教頭先生たちも集まっておられて、
 「寝屋川はすごいなあ」
 という思いになる。
 ★
 その後すぐ宇治先生行きつけの飲み屋へ行く。
 教育監のM先生、指導主事の先生たち3人と共に飲む。
 この先生たちの志の高さに、うれしくなる。
 この熱気が、寝屋川を変えているのだと思いつつ、久しぶりに日本酒をいただく。
 山口の獺祭、福井の黒龍、山形の出場桜、宮城の奈良萬まで覚えているが、そのあとは忘れている。
 すごい酒ばかり。そのうまさは格別であった。
 ★
 朝、ホテルでNHK連ドラ「てっぱん」を見る。
 初音のアパートの住人が去っていこうとする時の初音の言葉がいい。
 「いつまでも続くものはあらへん。だから、今を大事にせなあかん」と。
 それを見終わって、新大阪へ急ぐ。
 明日は、朝から勤務。
 そして、明後日はまた京都である。
 
 

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