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あとはできるだけ普通にやるんだ!

   
 私の周りには、有能で、勉強家の若い先生たちがいる。
 だが、職場では孤立している場合がある。
 その先生は、職場のだらしない、いい加減な体質が大嫌いである。
  だから、常に批判的で、反対意見を言って、周りから煙たがられている。
 自分は我が道を行くのだと言い聞かせている。
 若い頃の私も、このような道を進んでいたことがある。(実に生意気で、今考えたら冷や汗ものである)
 決して快いものではない。
 周りからは避けられるので、精神的には安定しない。
 周りからは勝手な奴だと思われている。
 外の研究会にはさかんに参加する。
 そこで同志を見つけてほっとする。
 研究会で話されることと職場の実態の違いに、自分が正しいのだと改めて確認する。
 ところが、人は周りから孤立するというのが一番こたえるので、精神的におかしくなる。
 鬱病になったり、休職になったりする場合がある。
 こんなにならないまでも、職場に馴染めず、孤立していく人たちは、これからどんどん出てきそうな気がする。
 ★
 かつて中江丑吉という人がいた。
 中江兆民の息子だ。
 私は「中江丑吉という人」(阪谷芳直編 大和書房 絶版であろう)という本を持っている。
 その前書きには、次のような記述がある。
「明治の思想家中江兆民の嗣子であり、大正初期から太平洋戦争のさなかに世を去るまで、古都北京の大衆の中に隠棲した支那学者中江丑吉ーーこの類い希なる一市井人は、絶望的に情熱的な現代批判と時代洞察の下に『自覚した大衆』の立場を固守し無名の個としての生を自覚的に生き抜いた。丑吉五四年の生涯が示した生き方の確かさをあますところなく伝える本書は、精神の不毛なる時代に生きる我々にとって、かけがえない『人生教師』になるに違いない」
 この本の中で、木下順二が書いている。ちょっと長くなるが勘弁してほしい。

 いま一つ、これまた加藤惟孝の語っていることだが、彼の勤務先の学校で、朝礼、軍人勅諭、国民服、皇国経済学というようなことが強制されだし、それを彼はできるだけサボっているというのに対して中江丑吉は、「だから日本のインテリみたいなのは沈痛悲壮になって来るんだ」と一喝して、「大衆は2つか3つどうしても守ることを決めておいて、あとは出来るだけ普通にやるんだ、ビラを貼れといわれたら、皇国経済学の講義をしろといわれたらそれらは断われ。あとは朝礼でもお題目でも国民服でも、みんなこっちから従ってしまえ、そしてこの「2つか3つ」は一人々々の事情によって異なり、Aにとって絶対避けるべきことをBはむしろやってもいいという場合さえ出てくるが、しかしその2つか3つかがきめられたらそれらは守らねばならず、それが侵されたときは気持ちよく迫害を受けることができる五分の魂を持て。

 ★
 太平洋戦争のさなかに、丑吉が、戦争に批判的な気持ちをもった加藤という若い青年に諭している場面である。
 今の日本の状況が、このような戦争下と同じだと言うつもりはない。
 だが、いま教師たちを見舞っている状況は、決して安穏ではなく、じくじくと締め付けるような圧迫感と忙しさに追い詰められている。
 この圧迫感と忙しさは、これからも増していく。
 あえて、真正面からこれに挑戦したら、こちらがやられる。
 大切なのは、丑吉が諭したことである。

 2つか3つどうしても守ることを決めておいて、あとは出来るだけ普通にやるんだ。 
 

 そんなことだと思う。
 職場で孤立しないように慎重に行動する。
 できるだけみんなと歩調を合わせて行動する。
 2つか3つか、どうしても守るべき自分の主張を確保しておく。
 そんなことだと思う。

 
 

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コメント

いつもブログ見させていただいています。
私は9年目の教員ですが、先生が書かれていることに当てはまっている者です。
先生が最後に言われていることをとても大切にして、日々の実践を進めています。

現場を生きる処世術として必要なことだと捉えています。

ありがとうございます。

投稿: 学び魂 | 2011年1月24日 (月) 18時41分

二つ、三つ守るべきことを決めてあとは人に合わせる。

大事なことです。なぜなら、一人の力では、本質的な教育はできないからです。
保護者、管理職、同僚、地域、社会などが共鳴してくれて動かないかぎり何も変わりません。そんな大きな営みなのに、職場で孤立するようでは話にならないと思います。

自分が正しいと思い込んで、周りとのコミュニケーションを絶つような人が、子供のよいお手本になるとは思えません。

研究もよいですが、頭でっかちになりすぎず、自分の職場での責務を果たすことや挨拶返事、時間厳守、整理整頓を心掛けることで十分だと思います。

ぼくはどんなに歴史のある小学校だとしても靴の踵さえ揃っていない学校ならば認めません。教師でも同じ。会議に遅れたり、職員室の机上が汚い教師はどんなに立派そうに見えても内実はたいしたことない。学級経営が透けて見えます。

投稿: マイラケ | 2011年1月26日 (水) 21時43分

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