夫婦円満になる魔法の言葉を教えます!
親しい知り合いの結婚式に招かれた。
最後の勤務校で一緒に学年などを組んだ先生である。
結婚式後の披露宴は、温泉宿で泊まり込みでやろうという試み。
おもしろそうだ。
★
まず、結婚式会場。
沼津御用邸記念公園という。
明治に建てられたという沼津御用邸。今では市に移管されている。
昔ながらの結婚の儀式。
初めて見る儀式である。
お謡の中で粛々と執り行われる。
そして、圧巻なのは、新郎新婦の前で行われる能の舞である。
すばらしかった。
★
場所を移しての披露宴。
会場の伊豆長岡の温泉宿へ急ぐ。
70数名の参加者である。
両家の代表からの挨拶をうけて、早速披露宴に移っていく。
★
披露宴の途中で、参加者の中からくじを引いて当たった人にお祝いの言葉をお願いしたいというプログラムに進んだ。
最初の当たりくじで、夫婦の方が呼ばれた。でも、ほとんど全体は話を聞いていない。
突然私の名前が呼ばれた。おいおい。
騒然とした雰囲気の中で、どんなお祝いの言葉を言えばいいのだ。
まず、全体を注目させなくてはならない。
いきなり会場の真ん中を歩きながら、マイクで叫んだ。
「新郎新婦が最近よくケンカしているという情報を得ました。その2人に末永く
夫婦が長続きする魔法の言葉を教えたいと思います!」
「Iさん、それは何でしょう?」
と、突然指名する。ここらで少し静かになる。
「あんまり一緒にいないようにする」
「言葉です!言葉です!」
「どうでしょうか?」
また、指名をする。
「ありがとう」
「愛している」
そして、「一日に5回チューをする」という人も現れる。
このあたりですっかり静かになる。
「魔法の言葉とは、なあんだと思われるものです。あのゲゲゲの女房の松下奈緒さんがあの朝の連続ドラマの中でよく使っていました。それは、『そげですね』という言葉。『そうだね』と相づちを打つ言葉です。つとめてこの『そうだね』という言葉を使うこと。これが長続きする魔法の言葉です。新郎新婦も、ぜひ使ってくださいね」
こう言って終わった。
★
相手の言葉が、「自分に届きましたよ」ということを相手に示す一番効果的な方法は、相手が言ったことに同調を示していくことである。
少しぐらい考えが違っても、その時は「そうだね」と相づちを打っておくこと。
必ず「そうだね」という言葉を投げかけることなのだ。
★
小津安二郎の「お早う」という映画のラストシーンに次のような場面がある。
佐田啓二と久家美子の会話である。
この二人が延々と同じ言葉を繰り返す。
「良い天気ですね」「良い天気です」
「あっ、あの雲。へんな形をしているね」「ほんと、へんなかたち」
……
このシーン。この二人、口には出さないけれど、深く愛し合っていることが画面から
ひしひしと伝わってくる。
★
繰り返しの言葉。
この言葉にはまったく意味性がない。
相手が語る言葉を「聴きましたよ」と受け止める。
そして、きちんと同調と繰り返しの言葉にしていく。
これが大切である。
長く夫婦を続けていると、互いに空気みたいな存在になっていく。
そこで、お互いに努力することを怠る。
相手が分かっているものだと誤解するのだ。
それではいけない。
朝、「おはよう」と互いに投げかけ合う。
夜、「おやすみなさい」と。
とりとめもないことをとりとめなく話しておく。
相手の言ったことには、「そうだね」と相づちを打つ。
こういう意味性がない言葉を互いに投げかけ合うことが、実は最も大切なことなのだ。
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