経験は意図的に積まなければいけない
岡山の大前暁政先生から「忙しい毎日を劇的に変える仕事術」(学事出版)「教師のノート術」(黎明書房)の2冊の本をいただきながら、ずっと考えていた。
大前先生とは、以前北海道の帯広でお会いしている。
授業づくりネットワーク北海道大会でのことである。
背が高くて、イケメンで、惚れ惚れするような若さであった。(笑)
互いに講師として参加していたのである。
まだ、34歳のばりばりの若手である。
しかし、出されている本は、若手の域を超えている。
岐阜に長瀬拓也という30歳になったばかりの若手もすごいが、大前さんは、もっと上の峰にいる。
多分、30代の若手は、彼の足元にも寄れないであろう。
私が知っている現場教師で言えば、北海道の堀裕嗣先生のレベルに近づいている。
堀先生は、43、4歳であろうか。
しかし、堀先生には、教育分野だけでない広さと深さがあるので、ここは未知数だ。
何が大前先生に、これほどのレベルの本を作り上げさせているのだろうか。
★
「教師のノート術」の中で、次のようなところがある。
4 ノートを書く上で最も大切な姿勢
(1)後で見て役立つノートにしよう
新卒1年目から、ノートを書き続けてきた。
初期のノートを見直すと、「キーワード」だけを書いたページが多いことに気
付く。
キーワードは書いてあるのだが、後で見直しても、まったく何のことか思い
出せない。
また、講師が言っている言葉をそのまま書き写したページもある。
「子供から学びましょう」
「教師としての自分を出せばいいのです」
などと書かれてある。
読み返しても、やはり何のことだかわからない。
おそらく、話の流れで、私が重要だと判断したのだろう。だが、今となっては
話の全体像は思い出せないので、何に重要性を見出しのかわからないのである。
┌──────────────────────────────────┐
│「誰がこう言っていた」という文章は、後になって生産性がない。 │
│「大切なキーワードだけを羅列している」ノートは、後で見てもわからない│
└──────────────────────────────────┘
後で読んでも意味がわかる記録にしよう。できれば、後で読んで、学びが得
られるようなノートにしよう。
そのためには、その時々の考えや気持ちを、自分の言葉で文章化して残すよ
うにすればよい。
┌────────────────────┐
│ 自分の「考え」を文章にして記録する。 │
└────────────────────┘
「ああ、これだな」と思う。 ★ 「経験というものは意図的に積まなくてはいけない。また、その経験に整理 国語教育の生涯の師、高橋金次先生の口から漏れた言葉だとして、野口先生は記されている。 ★ 「これだけ書ければ出版社から次々の出版の依頼がきます。私から言っておき 現場教師にとって、本を出したりすることなど余計なことである。
こんなノート術は、誰もきっとやっていないのだ。
野口芳宏先生の「利他の教育実践哲学」(小学館)には、次のような言葉がある。
を加えなければならないものだ」
おそらく、大前先生は、初任からさまざまなことを意図的に積み、その経験をきちんと整理されている。その違いであると私は判断する。
大前先生には、次のようなメールを書き送ったと思う。
たいことは安易に乗らないことです。ぼろぼろにさせられます。(笑)ぜひ、
気を付けてほしいことです」
そんなことをするより、クラスの子供の方にそれだけのエネルギーを使って
ほしいという保護者の願いがある。(口には出されないが……。)
きわめてまっとうな願いである。
目の前の子供に全力を尽くすことが、現場教師のモットーである。
私は、24時間目の仕事、25時間目の仕事という言い方をする。
現場教師は、24時間目の仕事をすればいい。それで充分。
しかし、25時間目の時間(ほんとうはそんな時間などない)を設けたいとするなら、
そこに必然性が必要である。その必然性が、本を出すことなどであろう。
このように私は考えてきた。
私も、まったく現場教師としては外れた、ヤクザな生き方をした。
私に、どんな必然性があったのだろうか。
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