繰り上がり、繰り下がりの計算の克服はこうしよう
2年生のクラス。
算数をとても苦手としていた。
私が、授業をすることがあった時、繰り上がり36問、繰り下がり36問のテストをしてみた。
これが繰り上がり、繰り下がりすべての問題である。
それぞれのテストは、制限時間が5分。
驚くことに、5分でできない子供が続出。
見ていると、その子供たちは、ほとんどさかんに指を出して計算している。
ここに原因があった。
1年生での課題をクリアしてきていないのである。
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2年生の初任の先生と話し合う。
どうしていこうかという話し合いである。
このまま見過ごしていくと、これからかけ算九九が出てきても、これも大変になる恐れがある。
私が提案したのは、英語単語帳方式である。以前、このブログで紹介した。
その単語帳は、100円ショップにある。それを買ってきて、どんどんそのカードの表に「11-2」と書き、裏に「9」と答えを書いた。2年生の子供に作らせることも考えたが、かえって時間がかかる。自分たちで作ってしまえと思い、どんどん作る。
5分以内でできていない子供たちに、この単語帳を持たせて、覚えさせていく。
計算の理屈は、もう1年生の時習ってきている。
何度も言わせて覚えさせよう。
覚えていたら、そのカードに○をつける。
3個ついたら、引き抜いていく。
だんだん少なくなり、完全に無くなったら合格。
どの時間にやるのか。
最初は、午後に学校全体で設けてある「計算タイム」の時間にしよう。
それから、給食を配膳しているときの10分間を利用しよう。
給食当番になっていない子供は、先生代わりになっている子供のところへ行って、合格の○をつけてもらうのである。
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これは私がかつてやった実践である。
高学年で、かけ算九九ができていない子供に行った実践である。
九九ができないと言っても、全部できないわけではない。
言えない九九を全部単語帳に書き出して、給食の配膳の時間を利用して、覚えさせたわけである。
これでほとんど言えない子供を一掃した。
毎日、できない子供の給食当番以外の日は、私が見てあげた。
教科書をすらすら読めない子供にも、この方式を使った。
小学校では、この配膳の時間(10分ほど)を利用する以外にない。
この時間しか空き時間がないのであるから。
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2年生のクラス。
合格したら、「○○さん、くりさがり合格」と教室の壁にはりだすように助言した。
教室の雰囲気を盛り上げるためにである。
これは大事なことである。
今、この教室は、これに夢中になっているという雰囲気を作り上げるためである。
子供たちは、この雰囲気にのまれる。
周りの子供たちが、どの子供も単語帳を手に取っていれば、自分もやろうという気になる。
私が子供の頃は、季節ごとにメンコが流行り、コマが流行り、魚とりが流行り、……となった。これは、一斉に周りの子供がやりだすからである。
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2年生の先生は、一生懸命に取り組んでくれた。
教室の壁には、どんどん合格の紙が張りだされていった。
すぐに、数人を残して全部の子供が合格してしまったのである。
数人は厳しい。ほとんどできないからである。時間がかかる。
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あれから1ヶ月ぐらいの時間が経ったのであろうか。
先日、また私が授業をする時間ができた。
その時、もう一度繰り上がり、繰り下がり36問テストを行う。
もう5分を超えていく子供はいない。
みごとにさっと終えている。
びっくりしたのは、一人の子供。
まったくできなかった子供である。
ところが、ところが、4分ちょっとで繰り上がりの計算がみんなできてしまう。
周りの子供も驚く。「えっ~~~~できるの!」という感じである。
2年生の先生も、驚く。いつのまにかできるようになっていたのである。
多分、家庭での支援が大きかったのであろう。
とても不可能だと考えられていたのであるから。
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それでも二人の子供は、まだ完全にできていない。
「もう一回、単語帳でがんばろうか」と促すと、がんばるという声。
かけ算九九の勉強が、すでに始まっている。
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