再び全国学力テストについて考える
いつもお邪魔する「すぷりんぐぶろぐ」に、次のようなことが書いてあった。
それはさておき、ようやく少しの休息時間を見つけることができた今日の午後、手元にある教育雑誌を開くと、冒頭に文科省の副大臣の文章があった。
何度なく取り上げられるが、全国学力テストのことについて、こんなふうに切り出している。
全国学力テスト(全国学力・学習状況調査)の成果の一つは、調査をやらなければおそらく誰も気づかなかった、秋田県が全国1位だということがわかったということです。
確かに事前にそれを予想できた人はいなかったろう。
本県内部でもそうだったはずだ。それを副大臣が「成果」と呼ぶとすれば、何かしらのアクションを意識しているのだと思う。
その文章のなかには本県の結果の良さについて次の理由が書かれている。
その一つは、教員の質と数です。
二つ目は、三世代同居率が一番高いこと。
三つ目は、地域の方が頻繁に学校に来ていること。
細かい分析をもとにした理由づけなのだろうし、それにイチャモンをつけるだけの根拠もないが、内部にいる人間としてはぴんとこないことも確かだ。
ただ、肝心の一つ目だけを考えれば、確かに「教員の数」についてそうした施策を続けてきた経緯はわかる。
その先頭にたった前教育長が語るには、中でも生活サポート的な職員の配置事業が有効だったのではないかということだ。これは実際あまり注目されていないが、現場にいる者にとっては肯ける。
ある意味の多様性を受けとめるには、数が決定的だということだ。
「質」についてはかなり微妙なものだが、実感的ないい例がつい最近あった。
家庭の都合で本校に三学期の期間だけ転入してきた姉妹がいたが、この子らや親が、以前いた都市部の同規模の学校(といってもやや田園地帯であるそうだ)との比較を語った。
それは一言でいえば「厳しさ」であった。
学習、生活いろいろな面での制約が多いということだそうだ。
本校だけが特別ということは考えられないし、それらは私たちが持つ一つの質ととらえていいのかもしれない。
何より、その制約を子も親も肯定的にとらえていただいたことが印象に残った。
点数がどうのこうのというより、厳しさ、制約のある場は初等教育としては自然だろうという思いは強くなった。
それらを質と呼ぶために必要なことは、小手先に陥らないための私たち自身の語り合いであり、指導の吟味だ。
全国学力テストの功罪については、さまざまな人が、さまざまに語っている。
私もまた、この副大臣と同じように、成果(?)として考えていることがある。
それは、副大臣とは別に、下のランクに位置付いた都市についてである。
大阪府のことである。
成果(?)として良いか分からないが、とにかくびっくり現象であった。
★
大阪は、40年前に行われていた全国学力テストでは、上位争いをしていたはずである。
民間の教育研究も、ほとんどが関西にあり、大阪をめざして実践家たちは集まった。
そのように日本の教育の中心は、大阪にあったのである。
大阪は、多くの実践家のあこがれの的であった。
私は、教師になってすぐ、大阪の枚方(?)であっただろうか、宮崎隆太郎先生が勤められていた学校に授業参観に訪れた。
重い障害を持った子どもたちを普通クラスと交流させようとする先進的な試みがなされていた。
1時間だけ、障害を持った子どもたちだけでの朝の会を見た。
すごいという感想だった。
恥ずかしいことだったが、その姿を見ながら、私は、吐き気をおぼえるほどの状況だった。
たった1時間で、このように私はなってしまう。それを担当している先生達の苦労はいかほどであろうかと、つくづく考えたものである。
★
40年過ぎて、大阪は、様変わりをしている。
学力テストで評価する学力の中身を云々すれば、それはさまざまに問題になる。
しかし、確実に大阪は、ひどい状況を抱え込んでいるのではないか。
私の知り合いの先生達から聞く学校内部の状況も、悲惨なものである。
この悲惨な状況は、もちろん大阪だけではない。
都市部が抱え込んでいる問題でもある。しかし、大阪は、その問題を先進的に抱え込んでいる。
それは何か。
この40年ばかりの間に、何が起こり、何がこのような悲惨な状況を作り上げていったのか。
★
全国学力テストで好成績をあげた東北、北陸は、なぜそうなのか。
文科省は、その検証を小出しにせず、もっとオープンにすべきである。
もう学力テストを続けていく意味はないが、きちんとその結果の検証は公表されるべきである。
<スプリングブログ>で指摘されていることは、とても貴重なものである。
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