英語教育が始まっている。実際には、小学校5,6年に対し、週1時間の「外国語活動」となっている。
横浜では、1年生からになる。
横浜版学習指導要領の外国語活動を見た。
横浜では、文科省の学習指導要領とは別に横浜版がある.。
その横浜版に従って、各学校の教育課程がつくられている。
その教育課程をちょっとのぞいてみた。
おっと、と。
1年から6年まで、ねらいの最後が、「~親しむ」「~楽しむ」になっていた。
要するに、活動の内容がむずかしくなるだけで、活動そのものは変わらない。
これには、とても不安をおぼえた。
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今まで日本全国で進めてきた特区での先進的な英語活動で、問題になってきたことが1つある。
1年から進めている英語活動で、高学年が英語嫌いになるという現象である。
英語を重点研究にしている、ある学校の研究会で、講師の先生に質問したことがある。
その講師は、特別の英語研究協力校の校長を務めておられた方である。
「低学年から英語活動をしていると高学年になってから英語嫌いになると聞いていますが、どうでしょうか?」
「私の学校でもありました」
その校長先生は、正直に答えられた。
その学校に親しい友人がいたので、聞いてみると、やはり英語活動を続けていることでの混乱があり、学校が荒れているということらしい。(それだけではないであろうが)
崩壊クラスも数クラスあるということであった。
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早い頃から英語に親しませておけば、英語が好きになるという説がある。
親たちは、そのように考えている人は多い。
朝日新聞出版アエラ編集部が実施した、小さい子供を持つ親へのアンケートでは、「英語を教えるのはいつからがいいか」との問いに次のような答えがある。
34%…3歳未満
39%…3~6歳(未就学児)
小学校低学年…14%
小学校高学年…5%
実に92パーセントの親が、小学校以前から英語を教えた方がいいと答えている。
現在導入されている小学校英語は、まさにこのような親の思いに後押しされて始まっているとも言える。
ただ、「子供にどの程度まで英語を学んでほしいか」との問いには、約6割が「日常会話ができる程度」と答えていること。
英語がくわしい人たちは、「日常会話程度なら、特別に早く英語を学ぶ必要はない」と語っている。
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なぜ、高学年になったら英語嫌いになるのか。
このことについて、アメリカの日本人学校(補習校)に勤めている友人に聞いたことがある。
「ゲームなどで扱う英語は、無機質の英語で、導入には適当だが、それだけにしか過ぎない。言語としての機能を持つためには、やはり会話ができるという状態がどうしても必要である」
というような話であった。
英語の授業を何度も見てきた経験から言えば、あのハイテンポの授業がなんとも高学年には荷が重いのではないかと思ったものだ。
公立の小学校で、英語を教えていこうとするなら、相当な綿密なカリキュラムと準備期間、人材確保が必要になる。
カタカナ英語が染みついている教師達が、嫌々教えているのでは話にならない。
どうしても、ネイティブな英語を駆使できる教師が教える必要があるわけである。
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朝日新聞は、早期の英語教育の是非について特集を組んでいる。(2010.4/8)
英語教育の現場からビジネス界まで、第一線で活躍されているスペシャリストたちが、率直に語っている。
ずいぶん学ぶことができた。
立教大学教授の鳥飼玖美子さんが指摘されていることで、初めて知ったことは2つ。
「小学校英語にどれくらいの効果があるのか、実証的に示したデータはないのでしょうか。
このことに関して、しばしば引用される調査結果があります。
ある機関で、小学校で英語を学んだ中高生とそうでない中高生、849人の英語力を調査したのですが、『発音』『知識』『運用力』のいずれも、両者に目立った差がないとの結果が出ているのです。小学校で英語を学んでも、ほとんど効果がない可能性があるんですね」
「中学生のいる方は、お子さんの英語の教科書をしっかり読んでみてください。たぶんびっくりされますよ。会話文ばかりで読み物になっていなくて、文法を学ぶ場面がほとんどない。英語という言語の体系的な仕組みを学ぶ機会がないまま、義務教育を終えているのです。
ところが、いまだに多くの大人たちは『日本の英語教育は読み書き文法ばかりでダメだ』と思い込んでいます。自分たちの受けた教育を基準に考えているんですね」
この2つの指摘には、びっくりした。
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このような指摘を受けても、とりあえず小学校の教師達は、週1時間始めなくてはならない。横浜は、1年生からだ。
心配なのは、横浜の場合だ。
あと3,4年後(もう横浜の場合は、英語教育はどの学校でも始めている)1年から英語を学んだ子供達が、高学年になったとき、どうなるかだ。
カリキュラムでの工夫はあるのかどうか。
特区での荒れをどこの学校でも抱え込んでいくとなると、どこでそれはチェックされていくのであろうか。
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