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歳をとったら、手近な目標にするのがいい

  箱根湯本から帰る電車の座席で、5人の女性の方と一緒になった。

 年配の女性。全員が、鞄をけさがけにして、乗り込んでこられた。

 動き出した車中で、幹事の方だろうか、「タクシー代は、750円です」と集めておられた。

 そして、「温泉は、5回も入っちゃだめよ。私は、救急車で運ばれたから。せいぜい2回ぐらいにしとかないと…」など、わいわいと盛り上がっていた。

 女房が隣に座られた方に、

「箱根旅行ですか?」

と尋ねた。

「私たち5人、毎月、箱根と湯河原を交互に旅行しているのですよ」

そして、

「私は、もうすぐ100歳になるのですよ」

と、付け加えられた。

「あの方達は、私より下ですけど…」と、4人の方を振り向かれた。

 なるほど、なるほど、1ヶ月に一度、こうして箱根と湯河原を旅していらっしゃる。

 来月のあの旅行の日までがんばって生きていこうというのであろう。

 うまいことを考えたものだ。

 ★

 年配の人たちのアンケート調査に寄れば、誕生日の前と後では、死亡率がずいぶんと違うということを本で読んだ。

 誕生日のあの日までは、生きておこうというのであろう。

 誕生日前までの死亡率は、ぐっと低く、誕生日が過ぎるととたんに高くなるということであった。

 「歳をとったら、手近な目標にするのがいい」と言ったのは、文学者吉本隆明さん。

 あの5人の女性達は、そのことを見事に実践されていた。

 男達も、あのくらいの年配になって、あのエネルギーが出てくるものなのかどうか。

 これはすこぶる疑わしい。

 ★

 あの5人の女性達。

 今月もまた、箱根を旅していらっしゃるのだろうか。

 温泉は、2回までにしていらっしゃるのだろうか。

 そして、誰かが亡くなったら、そこで旅行は終わりになるのだろうか。

 それともしつこく4人、3人と続いていくのだろうか。

 久しぶりの散歩の途中で、遠くの山並みを見つめながら、ふと、そんなことを思った。

   

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