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忘れられない2つの言葉

  いつまでも心に残っている言葉がある。

 今、学校が抱えている問題点をこれほど突いた言葉もないと、しみじみ思い出す。

 愛知県小牧市の教育長だった副島孝さんが、昨年教育長を辞められるときに書かれたことである。

 http://www.komaki-aic.ed.jp/kyouikuiindayori/H21/iindayori257.htm

 私は、ずっとこの2つの言葉を忘れられないでいた。

 書かれたことは、2つ。

 1つめは、「成果はやったことではなく、できたことで」きちんと提出すべきだということである。

 2つめは、「教育は、サービスではなく、保障だ」ということである。

 ★

 どの学校も、重点研究の紀要が、作られている頃であろう。

 「書いた本人が自分のところしか読まない」研究紀要と言われて久しい。

 ほとんど意味がないものである。

 先日、伺った学校の先生から「野中先生、先日行った公開授業研の学校は、研究紀要も、指導案もありませんでした」と言われた。

 授業をきちんと見てほしいという願いなのであろう。

 「それじゃあ、授業はすごかったでしょう?」

 「いや、ぜんぜん普通の授業でした」(笑)

 私は、研究成果を見る。

 ささやかに書いてはある。

 「~~~~に取り組みました」と。

 何々ができるようになったとも書いてはある。

 でも、これは、推進委員長の「こうあってほしい」という願いが書いてあるだけである。現実には、まったく実現できていない。

 学校は、取り組み主義に陥っている。

 取り組めばいいのだ。そのように勘違いをしている。

 1年生に、繰り上がり、繰り下がりの計算を全部さっさと答えができるようにしたのか?

 2年生に、かけ算九九がきちんと言えるようにしたのか?

 一生懸命取り組みましたが、まだ2,3人出来ません。

 これくらいは良い方。5,6人ができません、と平気で言う先生がいる。

 教師の仕事が何たるかが分かっていない。

 ずぶずぶに取り組み主義に陥っている。

 ★

 学校は何をするところか。

 学力の保障をするところである。

 サービス機関ではない。

 だが、学校はいつのまにかサービス機関に成り下がっていこうとしている。

 行事主義だ。

 立て続けに行事を入れて、保護者を呼んでいる。

 確かに保護者は、喜ぶ。

 保護者の多くは、学校をサービス機関だと思っているから。

 学校から、サービスをなくすことはもはやできない。だから、いくらかの行事で保護者を呼ぶことはしなくてはならない。

 だが、それが本来の学校の役割ではない。

 そこを勘違いすると、行事の合間に授業をすることになる。

 教師は、その1つの行事を作り上げるために、授業を犠牲にして、その準備に追われる。それを好む教師もいる。

 「学力は、塾でつけてもらおう」と公然と言う校長が出てくる。

 ★

 学校が、取り組み主義と、行事主義になっていこうとしている。

 その問題点を見事に副島教育長は、ついておられる。

 残念だが、その現実があることを認めなくてはならない。

 どうしていくか。

 取り組み主義を克服していくことは、なかなかむずかしい。

 学習指導要領が、方向を示すだけでなく、はっきりと到達目標として設定されていく必要がある。

 各学年でこれだけのことを達成しなければいけないとはっきりと明示すれば、学校は変わらざるをえない。

 これが一番手っ取り早い。

 そういう方向が文科省の中にもあると伝え聞いたこともある。

 しかし、待っていても実現は先かもしれない。

 学校でできることをしていく必要がある。

 小さなことでいい。

 「~~~に取り組みました」ではなく、「~~~ができるようになりました」「~~が変わりました」という事実を積み重ねることだと思う。

 その点、行事主義を克服していくことはもうすこし容易だと思われる。

 教師の多忙化を克服していくための1つとして、行事の精選を図っていけばいい。

 校長の英断が大きい。

 行事主義からどのようにベクトルを変えていくか、それは大きな問いかけである。

 

 

 

 

 

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