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なぜ初任者のクラスは荒れるのか

 初任者のクラスは荒れる。

 8割から9割方荒れてしまう。そのうちの何割かが学級崩壊になる。

 どのような実践家も、1年目はひどい状態に陥る経験を持っているはずである。

 なぜか。

 教師としての力量がないためであると、言われてきた。

 その通りであるが、じゃあ、どんな力量がないのかと言われれば、なかなか具体的には指摘してこなかったと思う。

 でも、このことを具体的に明らかにしなくては、手立てをいつまでも持てないままになる。

 ★

 3つの原因があると思われる。

 1つは、子供達に「一対一」対応をしてしまう。

 2つめは、お兄さん、お姉さんのように「やさしさ」対応をしてしまう。

 3つめは、「北風」対応をしてしまう。

 

 まず「一対一」対応である。

 子どもは、最初必ずパターン化した行動をとる。

 ずっと質問ぜめにする。

 「先生、トイレにいっていいですか?」「先生、教科書忘れました!どうしたらいいですか?」「先生、隣の人が足を踏みつけます。どうしたらいいですか?」…

 これに一々対応する。一々答えていく。

 他愛ないものならいい。

 でも、クラス全体に関わるものが多い。

 子供が聞きに来て、教師が答えることは、クラスのルールになる。

 そのことを初任者は知らない。

 たとえば、給食で、ある子供は、「先生、嫌いなので、これ残していいですか?」と聞きに来る。

 「あと少しだけ食べて、残しなさい」と答える。

 次の日、別の子供が聞きに来る。

「先生、今日は体の調子が悪いので、残して良いですか?」

 「はい、それでは残しなさい」

 次の日に、また別の子供が聞きに来る。太っている。

「先生、ぼく野菜が嫌いなので、残して良いですか?」

 「がんばって食べなさい。好き嫌いはだめですよ」

 3人ともに、先生の答えは違う。

 最後の子供は、「先生は、ひいきしているよ。ぼくだけ、全部食べろと言うんだぜ」と、他の子供に訴える。

 初任者は、そんなつもりはなく、ただ自然にそのように答えてしまったのである。

 しかし、クラスは、険悪なムードになる。そのようなことが続いていくと、いよいよ先生の対する反感が高まる。

 子供の質問に答えるとき、学級のルールに関わることは、必ず学級全体に伝えなくてはならない。これをはずしている。

 ★

 2つめの「やさしさ」対応である。

 宿題を出す。

 1人の子供が忘れてくる。

 「先生、宿題を忘れてきました!どうしたらいいの?」

 「ざんねんだね。明日はきちんとやってきましょうね。約束だよ」

 2日目は、宿題忘れが5人になる。

 あんなやさしい対応をしてくれるのだ。忘れたってたいしたことがないや、と思う。

 5人を呼ぶ。

「どうして忘れたの?」「だって、よそのうちにでかけていて、帰ってきたのが10時頃だったから、もう寝なさいっていわれて…」……適当な嘘をつく。

「あしたこそ、ちゃんとしてくるのよ。やくそくだよ」

 3日目は、宿題忘れが10人に増えている。

 もはや収拾がつかない。

 お兄さんや、お姉さんが対応するように、やさしく対応していく結果である。

 これは、教師の対応ではない。

 宿題を出したならば、きちんとその日のうちにやらせなくてはならない。

 休み時間などに教室に残してやらせるのである。

 真面目にやってきた子供が馬鹿をみるようなことをしてはいけない。

 ★

 3つめの「北風」対応である。

 「北風と太陽」の話は有名である。あの「北風」である。

 初任者は、忙しさに追いまくられている。

 教室を見ると、ついつい「できていないこと」「だめなこと」……が目に付く。

 注意をする。叱りつける。ここまではいい。

 だが、終わりの会で、さようならの挨拶ができなくて、「しずかにしてください」と日直に何十回と叫ばせている。先生も注意をしているが、モグラたたき状態である。

 毎日、毎日同じ事が続く。

 一日中、注意と叱りが続く。その場は、なんとか静かになるが、また同じ事が続く。

 私は、「北風」対応と言っている。

 これでは、子供達は、絶対に良くならない。

 子供達は、クラスの中で自分の居場所を求めて行動している。

 まず、「安心感」「安定感」を求める。先生に認められたり、ほめられたりすることを求める。

 次に、「所属感」を求める。クラスのみんなに認められたいという欲求である。

 この欲求にきちんと対応していくことである。

 これを私は「太陽」対応という。

 注意も、叱りも必要である。だが、いつまでも、そんなことばかりしていると、子供達はちっとも育たないのだ。

 ★

 「一対一」対応は、「全体」対応に変えていかなくてはならない。

 「やさしさ」対応は、「教師」対応に変えていかなくてはならない。

 「北風」対応は、「太陽」対応に変えていかなくてはならない。

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