石川晋さん、音楽ベスト10
今年も、最後に石川晋さんの「ベスト10」が発表された。
音楽の話である。
ここ数年、このベスト10の「ベスト3」は必ずアマゾンに注文するか、直接買いに行くかしている。
昨年の「ベスト1」の川江美奈子の「letters」は、最高でしたね。
今年も、ここで貼り付けておきたい。
○今年のアルバムベスト10
22年目に突入した今年のアルバムベスト10です。
これだけ、ちゃんと読んでくれる人も多い(笑)。
気になったものから。
松たか子"Time for music"。曽我部恵一バンド"ハピネス!"。植村
花菜"春の空"。椿屋四重奏"CARNIVAL"。いきものがかり"ハジマリノウ
タ"。種ともこ"カナリヤとおひさまとそれから"。原田知世"eyia"。湯
川潮音"Sweet children O'mine"。The Boom"四重奏"。鈴木祥子"Roman
ces sans paroles"。
いずれもとてもステキでした。特に種さん、湯川さん、鈴木さんの
アルバムは素晴らしいです。ベストとか、カヴァーとか、サウンドト
ラックとか、そういう条件の中でのアルバムなので、ベスト10には
入れないけれど。特に鈴木祥子はもうKOされてしまいました。去年
のアルバムがひどく気が抜けていたのですが、これで帳尻が合った感
じです。
AIR"Three Cheers For Goodbye~The Best Of AIR"
AIRこと車谷浩司くんの最後のアルバム。ベストアルバムかぁ。BAK
U、スパイラル・ライフ…本当にごくろうさま。結局最後にオリジナ
ルアルバムを出すことなくシーンを静かに去って行った。メロディラ
インの美しさは最後まで飛びぬけていたと思います。
コブクロ"CALLING"
ぼくはコブクロの熱心なファンではないが、ライブはなかなか楽し
いものでした。このアルバムは、彼らのアルバムの中で飛びぬけて素
晴らしいというようなものではないけれど、彼ららしい等身大のメッ
セージ、親しみやすいソングライティングに裏付けられたよい出来栄
えです。
川江美奈子"LIFE375"
昨年の"Piano"は素晴らしいアルバムでした。今作も、スタン
ダードになりうるような名曲が目白押しなのに、ぼくの心には届かな
い。彼女の最初のアルバム"時の肖像"を聞いた時と同じ感覚を持つ…。
川江の姿が出来栄えのよい曲達のずうっと後ろに潜んでしまっている
感じです。
では、いよいよ。
次点は2枚。
GRAPEVINE"TWANGS"
グレイプバインに期待する音はこういう、エレクトロなものではな
い。でも、自虐的で意味深長な歌詞は健在です。バインもライブで聴
くべきバンドなんだろうな。
BINNIE PINK"ONE"
ボニー・ピンクは際立った声があるわけでも歌唱力があるわけでも
ないのですが…。でもいつも一人のリスナーとしての貪欲さと、表現
者としての挑戦とが同居していて、ぼくをうならせます。今作も、そ
の辺の女性アーティストでは足もとにも及ばぬクオリティ。
10位 くるり"魂のゆくえ"
前作があまりにもひどかったので、今作はあまり期待していなかっ
たけれど、原点回帰を感じさせる歌詞とサウンドで、くるりに期待す
るものはとりあえず揃っていました。
9位 柴田淳"ゴーストライター"
しばじゅんの天使の歌声を堪能できるアルバム。いや、その声のは
かなげな魅力だけなら前作の方がより鮮明だったわけですが、今作は
楽曲の出来栄えが圧倒的によくて、ようやくしばじゅんがアーティス
トとして独り立ちできるレベルに到達したという感じです。
8位 石野田奈津代"60億の涙"
何かが新しいわけではないのですが…。でも、この声とこの歌詞と
この曲とでなければならない切実な表現があって、耳が向かってしま
います。結局捨てられず、ここまで順位を上げた一枚です。
7位 ニルギリス"アールジービー"
ついに岩田アッチュだけが残ったニルギリス。でも、彼らが日本の
ポップシーンに取りこんだ「マッシュアップ」の手法は健在です。今
作はそれに岩田のポップ感覚が際立っていて、今までで一番聞きやす
いかな。歌詞も時に稚拙だけれど、ストレートでいい。今年よく聞い
たアルバムの一つ。でも売れないらしい、悲しいほど。エウレカセブ
ンの主題歌だった"sakura"が人気的には頂点だったということになる
のかな。
6位 高野寛"Rainbow Magic"
高野のデビュー20周年記念アルバム。ソロとしては8年ぶり?
かつての天才青年は、最先端ではなくなったけれど、でも見事なポッ
プチューンの連続で、大人の存在感を示しています。一曲目からはず
れなし。でも、最後にあの大名曲"虹の都へ"のセルフカヴァーがあっ
て、これが余計な感じで残念でした。
5位 RADWIMPS"アルトコロニーの定理"
文学系ロックバンドと何かの宣伝にあったけれど、まあ、そうかな。
アルトコロニーという架空の世界を想定して展開した楽曲群。その試
みはやや中途半端で成功しているとは言い切れないけど…歌詞も青い
けど…でも特別に意欲的。Bump of chickenにはまだ全然及ばないけれ
ど、でも可能性を感じます。"オーダーメイド"は好き嫌いが分かれる
けど、やはり名曲ですね。
「今 想い出が光る前に僕を見て/震えていたのは そう 僕の手
のほうだよ」(タユタ)
4位 Chatmonchy"告白"
チャットモンチーは、日本のガールズロックの歴史を一身に背負っ
た、まさに今、極北に立つバンドと思います。今作も素晴らしい出来
でした。今年一番聞いたかも知れないアルバム。
「月を見て綺麗だねと言ったけど/あなたしか見えてなかった/あ
の光はね 私たちの闇を照らすため/マクロの画用紙に開けた穴」
(8cmのピンヒール)
3位 相対性理論"ハイファイ新書"
メディアに一切出ない相対性理論。テクノポップが持つ諧謔さと自
虐、そして、グロテスクを、全て内包して、なおひょうひょうとして
いるすごさ。まあ、"地獄先生"にしても"学級崩壊"にしても、「好き
です、聞いてます」と、言うにはためらわれるものばかり(笑)。し
かし、すごいバンドです。ロックンロールというのは、こういうもん
だ、こういう破壊的で不道徳なものだ。
「先生 知らないこと知りたいの/見えないものが見たいの 教え
て おしえておしえて/ねえ先生 最近寝つきわるいの 金縛りはげ
しいの/どうして? どうして先生」(地獄先生)
2位 100S"世界のフラワーロード"
中村一義とその仲間たちが創り上げた傑作。彼らの歌う小さな小さ
な世界がとても愛おしく思える。そして、その小さな世界を切り口に
して、ディズニー的にもっと広いずうっと向こうの世界まで見えてい
く、そういう感じがたまらないアルバムです。中村が生まれ育った場
所は、小岩。ぼく自身が今年何度かあるいた小岩のフラワーロードが
アルバムのベースになっていることも、胸を揺さぶられる理由だな。
中村の声が嫌いな人も、取りすましたようでしかも珍妙さと哲学的な
言葉が同居しているような歌詞が嫌いな人も、たくさんいるのはわか
るけれど。
「そりゃそうだ、はしる。/そりゃ、そうだ、はしる。/「よっこら
しょ」か?/いらねぇな、もう、晴れていく。/そりゃ、そうだ、は
しる。/そりゃ、そうだ、はしるぞ、心。/そうか? 意味ねぇか?
/そう…愛していたいからね。」(そりゃそうだ)
1位 ソウル・フラワー・ユニオン"エグザイル・オン・メイン・ビ
ーチ"
ライブアルバム。彼らの真骨頂がライブにこそあることを知らしめ
る8年ぶりのライブアルバム。どの曲もアルバムを通して聞き知って
いるのだが、ライブ音源で聞き直すとまるで違う曲のように生き生き
としてきます。彼らが、日本最高のロックバンドの一つであり、おそ
らく世界有数のミクスチャーバンドであることが、改めてよくわかり
ます。ライブにいかなきゃ。それにしても、すごいボーカル。そして、
絶対曲がらない信念の歌詞。
「バグダッドで うたは自由をめざす/ノス・コリアで うたは自由
をめざす/沖縄から うたは自由をめざす/東京から うたは自由を
めざす」(うたは自由をめざす!)
ということで、今年のベスト10でした。
今年は、実際は、ほぼ女性が音楽シーンを席捲しました。
嵐など、ジャニーズだけが健闘。嵐はシングルだけ聞いていて、ア
ルバムを未聴なのでランクには入っていませんが、シングルの出来か
らするとアルバムもクオリティの高いものだっただろうと思います。
では、みなさんよいお年を。
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ショスタコーヴィチ"室内交響曲集"
ルドルフ・バルシャイ&ミラノ・ジュゼッペ・ウ゛ェルディ管を聴きながら
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