教員養成6年制に思う
朝日新聞11/21の夕刊に「教員養成『6年』の波紋」という見出しで、トップに掲載されていた。
教師の新たな質向上策として、文部科学省の政務三役が導入を表明した「教員養成6年制」である。
多くの現場関係者からは、疑問の声が上がっている。
私も、とんでもない制度だと思う。
鈴木寛副大臣には、期待する気持ちがあったが、これは期待はずれである。
教員の質を向上させるのに、あと2年の修士の年数がどうして必要なのであろうか。
今、初任者がどこで、どのように問題を抱えているか、分かっていない。
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現在の初任者が、最も大変なのは、小学校では直接担任を持たされるということである。
学級経営の方法をほとんど知らないままに投げ出されているので、まさに博打を打っているみたいなものである。
なんとかなるか、ダメになるか。
もちろん、学校には、初任者担当の教師がいる。また、週1回の初任者指導教員もいる。
しかし、関わりは限定される。
とにかく、初任者に任されていく部面は多い。
こういう博打みたいな仕事をしているところは、他にあるのだろうか。
必ずベテランがついて仕事を教え、なんとか仕事ができると判断したところで、その人に仕事が任されているということになっているはずである。
しかし、教員は、そうなっていない。
★
朝日によれば、「6年制導入」の理由を2つ上げている。
1つは、世の中が複雑になって学校運営も子供への対処も難しくなり、4年間では教育期間が足りないという見方。
もう1つは、大学院修了という肩書きが、保護者や子供への尊敬を受ける箔付けになるということ。
1つめの理由は確かにその通りである。しかし、あと2年間で、それに対処できる力量がつくのであろうか。
2つめの理由は、ほとんど現場を知らないものの考えである。
保護者が、初任者を迷惑だと考えるのは、うまくクラスを運営していくことができないことに対する不安である。
ほとんどの保護者は、初任者を育てていこうなどという発想を持っていない。
我が子に対して、うまくやってくれるかどうかだけが問題である。
だから、大学院を出ているかどうかが問題ではなく、うちの子とうまくやってくれるかどうかが問題なのだ。
★
現在のシステムでさえ、教員になろうとする学生が減っている。
6年制になったら、希望者が激減することは目に見えている。
そこまで予測できて、さてうまくいくのであろうか。
私なら、今まで通りで採用して、副担任として1年間を過ごさせていくようにしていくことが一番のベターな案だと思っている。
とにかく、現場の風に慣らせて方が一番いいはずである。
2年間大学院なんかにいくより、一番いい方法である。
そのくらいの財源は、絶対に生み出せるはずだと思う。
どうだろうか?
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