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「学級づくり」の波紋

   いつも不思議に思うことがある。

 給食の時間のことである。給食室へ給食を取りに行く。もちろん、教師と給食当番である。

 決められたコースを並んで取りに来ることになる。

 ここまではいい。ところが、その並び方で、ほとんどの先頭が教師なのである。

 今まで初任者指導で、3校の学校へ行っているのだが、一人の先生を除いて、後は全部先生が先頭で子供達を連れて、給食室へ来られていた。

 6年生の1人の先生だけは、給食当番の子供達の後ろについて来られていた。

 私は、教師は、どうして給食当番の後ろについてこないのだろうかと不思議に思っていたのである。

 もちろん私はいつもそうしていた。

 後ろへいると、給食当番がきちんと並んでいるかよく分かる。2列にきちんと並んで整然と給食室へ行ける。

 4月の当初は、何回かきちんと並ぶ練習をさせる。並び方がまずいとやり直しをさせる。そういうことを繰り返して定着していくのである。

 教師が先頭にいると、後ろがどうなっているか分からない。だから、ほとんどの給食当番がばらばらで、いい加減である。

 まだ、利点がある。後ろへいると、給食を運んでいてこぼれた場合などにすぐ気づき、ペーパー当番に連絡することができる。とっさの場合もすぐ対応することができる。

 でも、ほんとうに大切なことは、子供達が、自分たちで給食当番を並べ、自分たちで「出発します」と合図をして、でかけることである。教師は、黙って後に付いていけばいい。

 1年生でも、そうだ。そのように練習することである。

 当番活動の中で「自分たちで行う」という気持ちを育てるのである。

 教師が、「さあ、並びなさい」「まだ、並んでいない人は何をしているの?」……毎日声かけて、並んでいない子どもを叱りつける。

 そして、「さあ、行くよ」と声かけて、出発する。

 後ろはぐちゃぐちゃで、列もばらばらで、喋りながらついて行っている。

 あまりにもこういうクラスが多いのである。

 ★

 教師が先頭につこうが、後ろにつこうがたいしたことではない。

 そのように思われるなら、もうそこで話は終わりである。

 私は、このような小さいことにこだわる。クラスの活動を子供達の自主活動にしていこうとする試みが、この後ろに教師がつくということにも貫徹されていなければいけないはずである。

 イチローも言ったじゃないですか。

 「小さいことの積み重ねが、大記録へつながる」と……。

 ★

 土作先生の「学級づくりが大切だ」という考えは、さまざまなところで波紋を呼んでいるようである。

 しかし、「授業づくり」は声高に主張されるが、学級づくりは、まだそんなに重要視されていない。

 それは、学校の時間のほとんどが、授業で構成されているから、……というのがほとんどの考えである。

 授業さえおもしろく、楽しく構成されていれば、あとのことは(学級づくりなど)必要に駆られて付け足し程度で間に合うはずだと考えられてきたはずである。

 私もそのように思ってきた。80年代の頃までは、そのように考え、法則化運動で明らかになる授業づくりをせっせと学んできていたのである。

 しかし、考えてみてほしい。

 授業をおもしろく、楽しくできるという力量は、そんなにすぐ身に付くことではない。

 初任者などは絶望的なことではないか。

 それから学級崩壊が大きな社会問題となり、その事例を追求する過程のなかで、授業づくりだけではダメだと思うようになったのである。

 子供達が大きく変貌し、クラスの一部に確実に「生徒」しない子供達が存在するようになって、もはや授業づくりだけをターゲットにするのではダメだと確信するようになった。

 それでも、授業づくりだけ(学級づくりをやらないということではない)で充分乗り切っていけるスーパー教師達は、いるはずだ。

 私は、そんな教師を目指さなかったし、目指してもなれなかったと思う。

 「普通の教師」が、目の前の子供達にどのような働きかけをすれば、クラスはうまく動いてくれるのか。

 それが私のテーマだったし、その視点を忘れないで追求していこうと思い続けてきた。

 今まで出し続けてきた本を読んでもらえば、存分に私の思いは伝わるのだと思う。

 ★

 さて、「学級づくり」についてである。

 「困難な現場を生き抜く教師の仕事術」「学級経営力を高める3・7・30の法則」(学事出版)「新卒教師時代を生き抜く心得術60」(明治図書)の3冊は、セットで「学級づくり」について展開している。

 ただ、仕事術が絶版になっているのが残念だ。何とかしたいという思いがあるが、学事は今のところ渋っている。(問い合わせが何件もある。)

 「学級づくり」は、5つの提案をしている。

  1. 学級の仕組みづくりのコツ~3・7・30の法則~
  2. 学級を集団として高めるコツ
  3. 個別対応を意図的に行うコツ
  4. 交流活動を組織するコツ~コミュニケーション力をつける~
  5. 秩序ある教室づくりのコツ

 1は、大きな広がりを持っている。また、現在では、「縦糸を張ること」として「3・7・30の法則」を位置づけている。

 2は、目標達成法として多くの人たちが実践されている。しかし、もっともっと集団として高める手立ては打っていかなくてはならない。さらに、追求していく必要がある。

 3は、「横糸を張ること」である。これから多くの実践が積み重ねられなければいけない。

 4は、法則化運動が生み出した会社活動の実践である。今、クラスはこのようなイベント活動、コミュニケーション活動を展開しなくてはもたなくなっている。

 5は、いま最もおろそかにされている活動である。ゴミが溢れる教室、教室環境にほとんど無頓着なこと。こういうクラスから文化の薫り高い教室が生み出されるはずはないであろう。

 この5つは、普通の教師が、その気になればいつでも展開できる「学級づくり」である。

 しかし、今の子供達の現状にこの5つの目標で通じるのかどうか、そこが心配である。

 これからの「学級づくり」に多くの人たちの叡智が必要である。

   

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